エンジンの始動からライトの点灯、エアコン、さらにはカーナビ・カーオーディオまで、クルマのさまざまな機能への電力供給を担う「バッテリー」。クルマになくてはならない存在ですが、消耗品でもあります。
この記事では、そんなクルマのバッテリーの交換時期と寿命について解説します。
目次
クルマのバッテリー交換時期はいつ?
バッテリーの寿命は使用環境などによっても異なりますが、おおよそ2〜3年です。また、バッテリーのメーカー保証には「使用期間」と「走行距離」が設定されており、どちらかを満たすと保証切れとなります。保証期間は一般的に、使用期間は24〜36カ月、走行距離は3~10万km程度。製品によって異なるので、新しいバッテリーに交換した際は必ず確認しておきましょう。
こんなサインが出たら要注意!
いつの間にかバッテリーが劣化して「突然エンジンがかからなくなった!」という事態に慌てないために、日頃のメンテナンスが重要です。バッテリーの状態はこまめにチェックし、バッテリー液が減っていれば補充しましょう。バッテリー寿命が近づいてくると、電圧が低下して以下のような異変が起こることがあります。
エンジンがかかりにくくなった
エンジンの始動には、大きな電力を消費します。バッテリーが劣化するとセルモーターの回転が弱まり、エンジンがかかりにくくなります。
ヘッドライトが暗くなってきた
ヘッドライトや室内灯などのライト・ランプ類が暗くなります。ただし、エンジンが回転しているときはバッテリーも充電されるため、信号待ちなどの停車時に顕著に現れる症状です。
アイドリングストップができなくなった
アイドリングストップ搭載車の場合、アイドリングストップ機能の頻度が減る、もしくは使えなくなることがあります。アイドリングストップは、燃料消費量や排出ガスを減らせるエコな機能ではありますが、使うたびにエンジンを再始動させなければならないため、実はバッテリーにとっては大きな負担がかかります。実際、アイドリングストップ車のバッテリーはそうでないクルマのバッテリーとくらべて寿命が短いといわれています。
パワーウィンドウの開閉が遅い
バッテリーの電圧が低下していると、パワーウィンドウの開閉が遅くなることがあります。走行中にパワーウィンドウの動作不良が起こる場合は別のパーツの不具合も考えられるので、プロに相談することをおすすめします。
バッテリー本体に異常がある
バッテリー液の消耗が早くなったり、バッテリー本体が膨張したりといったように、バッテリー本体に異常があらわれることもあります。ちなみにEVやハイブリッド車では、バッテリーの温度センサーがダッシュボードに設置され、異常が一目で分かるようになっている車種もあります。
バッテリー上がりのときはどうする?
ここではバッテリー上がりの主な原因と対処法についてご紹介します。
バッテリー上がりの原因
バッテリー上がりの原因で最も多いのが、室内灯やライト類の消し忘れです。エンジンを停止した状態でライト類を点けっぱなしにしていると、バッテリーが充電されないまま電気が徐々に消費され、やがてバッテリー上がりが起こります。
エンジンがかかっていても油断はできません。気温や天候、渋滞などの状況によっては、エアコン、ヘッドライト、ワイパー、オーディオ、カーナビなど複数の電装品を同時に稼働させるためバッテリーに負荷がかかります。発電量を消費電力が上回るとバッテリーが上がってしまうこともあるので注意しましょう。
なお、バッテリーに蓄えられた電気はクルマを使用していなくても自然に放電されていきます。車載ECU(電子制御コンピューター)やカーナビなどは記憶装置や時計機能を維持するために少しずつ電力が必要になるため、「久々にクルマに乗ろうとしたらバッテリーが上がっていた……」なんてケースもあるので注意が必要です。
バッテリー上がりの対処法
それでは、実際にバッテリーが上がってしまったときにはどのように対処すれば良いのでしょうか。3つの対処法をご紹介します。
1:ロードサービスを要請
まず1つは、事故や故障などのトラブルを手助けしてくれるロードサービスに救援を依頼する方法です。例えば大手ロードサービスのJAFでは、会員なら無料(※昼間、一般道での場合)で応急始動作業を依頼できます。そのほかにも、ご加入の自動車保険によってはロードサービスが付帯している場合もあります。詳しい内容は各社にご確認ください。
2:他車のバッテリーを使って始動
2つめは、他車から一時的に電力を分けてもらうことでエンジンを始動させる「ジャンピングスタート」を行う方法です。友人や家族などのクルマ(救援車)と、2台の車両を接続させるためのブースターケーブルが必要になります。
ちなみに、電気自動車やハイブリッド車は救援車として使用できません。また、バッテリーが上がったクルマ(故障車)と救援車が同じ電圧であることも、必ず確認しておきましょう。
基本的な復旧作業の流れは以下の通りです。
- ブースターケーブル本体に異常がないか確認しておく
- 2台のクルマを近くに停め、エンジンを停止させてボンネットを開ける
- ブースターケーブルの赤いケーブルの片方を故障車のプラス端子に、もう片方を救援車のプラス端子に接続する
- 黒いケーブルの片方を救援車のマイナス端子に、もう片方を故障車のエンジンの金属部分に接続する
- 救援車のエンジンをかけ、故障車のバッテリーが充電されるまで数分間待つ
- 故障車のスターターを回し、エンジンを始動する
- つないだときと逆の順番でケーブルを取り外す
3:ジャンプスターターを使う
救援車がなくても「ジャンプスターター」があれば自力での復旧が可能です。1万円前後から購入でき、スマホなどの充電器やLEDライトとしても使用できる商品もあるので、緊急時に備えて1台常備しておくと安心です。
上記の方法で復旧できた場合でも、バッテリー上がりを起こしたということはクルマに何らかのトラブルが隠れている可能性が考えられます。修理や交換が必要な部品はないか、念のため整備士の点検を受けておくことをおすすめします。
バッテリーの寿命を延ばすためには?
バッテリーを長持ちさせるには、なるべくバッテリーに負担をかけないクルマの乗り方を意識することが大切です。特に気を付けたいポイントをご紹介します。
一定距離以上の定期的な充電ドライブ
バッテリーは、エンジンをかけて走行することで充電されます。近距離の運転が多いと充電不足になりやすいので、できれば定期的に長距離ドライブをしたいところです。長時間のドライブが難しければ、クルマ用の「バッテリー充電器」を使うのもおすすめです。
電装品系の使いすぎに注意する
カーナビやドライブレコーダーなど電装品をいくつも後付けしていたり、エアコンなどの消費電力の高い電装品を同時に使用していたりすると、バッテリーに負担がかかります。
特に炎天下の渋滞などでノロノロ運転が続くと、バッテリーを疲弊させやすくなるので注意してください。
バッテリー上がりに気を付ける
一度バッテリーが上がってしまうと、充電しても本来の性能が戻らなかったり、使えなくなってしまったりする可能性があります。上にご紹介した原因を参考に、なるべくバッテリーが上がらないように気を付けながらクルマを使うようにしましょう。
バッテリーが上がったらすぐに交換したほうが良い?
バッテリー上がりは、大きく分けて2つの種類があります。
1つはバッテリーが放電状態で、充電すれば回復するもの。そしてもう1つは、バッテリー自体が寿命を迎えていて、蓄電量が落ちているため充電しても回復しないものです。寿命によるバッテリー上がりの場合は、すぐに交換する必要があります。
なお、新品に交換したばかりなのにバッテリーが上がってしまうなどのトラブルがある場合はオルタネーター(発電機)が故障している可能性があります。
バッテリー交換にかかる費用の目安
バッテリー本体の価格は、容量やタイプによって数千円から4万円以上まで大きな幅があります。一般的に国産車よりも輸入車のほうが高く、アイドリングストップ車やハイブリッド車なども価格が高くなる傾向にあります。愛車に対応したカーバッテリーの購入にいくらかかるのかは、お近くの店舗にお問い合わせください。
また、専門店や整備工場などに交換作業を依頼する場合は、本体価格に加えて工賃がかかる場合があります。工賃の目安は無料~数千円程度で、所要時間は数十分~1時間程度です。
自分で交換すれば工賃はかかりませんが、使用済みバッテリーは通常のごみ収集には出せないため、廃棄費用がかかる場合があります。買い取り業者に持っていけば数百円で買い取ってもらえる可能性があるので、費用を抑えたい方は探してみても良いでしょう。
バッテリー交換を自分でする方法
バッテリー交換は、方法さえ分かればそれほど難しくない作業です。自分でやれば費用を少し節約できるという利点もあります。大まかな手順は以下の通りです。
1.ケーブルを外す
エンジンを止めたら、「マイナス端子→プラス端子」の順にケーブルを外します。
2.古いバッテリーを取り外す
固定金具を外して、古いバッテリーを取り外します。取り付け台にゴミやほこりがたまっていたら掃除しておきましょう。
3.新しいバッテリーを載せ替える
プラスとマイナスの位置が合っているか確認しながら新しいバッテリーを載せて、固定金具を付けます。
4.ケーブルを取り付ける
外したときとは逆の順番で、「プラス端子→マイナス端子」の順にケーブルを取り付け、固定します。正しい順番で取り付けをしないと、ショートなどの原因となります。
なお、バッテリーを外している間に、車内の電子機器のメモリーや設定がクリアされてしまう場合があるので、必要に応じてバックアップ用アイテムも用意しておきましょう。
まとめ
バッテリーの寿命は、種類や使い方によってさまざま。気になる不調があれば、交換のタイミングにかかわらずディーラーやカー用品店などに相談くださいね。