エンジン車がガソリンスタンドで給油するように、EV(Electric Vehicle:電気自動車)は充電スタンドで充電し、FCV(Fuel Cell Vehicle:燃料電池車)は水素ステーションで水素を補給します。今回は、まだ多くの人にはなじみが薄い水素ステーションとFCVについて解説します。
目次
水素ステーションとは?
水素と酸素の化学反応によって、自ら発電しながらモーターを回して走るFCV。燃料となる水素は「水素ステーション」で補給します。
水素ステーションには、街なかのガソリンスタンドと同じような「定置式」と、トレーラーで移動可能な「移動式」があります。さらに定置式は、ステーション内で水素を製造する「オンサイト方式」と、別の場所で製造された水素をステーションに運んでくる「オフサイト方式」に分かれます。
水素ステーションの普及率はまだ低いため、複数の場所で運営できる移動式ステーションがそれをカバーしている状態と言えるでしょう。
全国の設置件数は156件(2022年5月現在)
2022年5月現在、全国で運用されている水素ステーションの数は159カ所(首都圏:59カ所、中京圏:46カ所、関西圏:19カ所、九州圏:14カ所、その他:21カ所)。今後も四大都市圏とそれらを結ぶ幹線沿いを中心に整備される予定です。ちなみに給油所(ガソリンスタンド)の数は、令和3年3月31日時点で全国で29,005カ所となっています。
2027年度までの整備目標は?
経済産業省が2021年3月に発表した資料によれば、JHyM(日本水素ステーションネットワーク合同会社)は2027年度までに500基程度の水素ステーションの整備を目標としています。
水素ステーション1カ所あたりの整備費用は約4億円!
水素ステーションの1カ所あたりの整備費(※)は、2019年時点で4.5億円。2013年の5.1億円からは低減しているものの、それでも膨大な金額です。将来的には2億円を目標としていますが、規制改革・技術開発でコストダウンした数字を試算しても4.1億円と、まだまだ目標には程遠い状況と言えそうです。
※2013年実績は業界団体ヒアリングにより試算、2019年実績は補助金実績(定置式オフサイト・300Nm3/h)より試算したもの
水素で走る燃料電池車(FCV)の普及台数は?
また、2021年度のFCVの販売台数は、1997台。ガソリン車などを含んだ全体の販売台数が228万6589台なので、割合にして0.0873%です。
これまでのFCVの販売台数は、2015年度が494台、2016年度が1204台、2017年度が661台、2018年度が603台、2019年度が707台、2020年度が1545台と推移してきました。
なお、車種にもよりますがFCVの納車期間の目安は現在3~4カ月程度となっています。今後、新型コロナウイルスの感染拡大状況や半導体不足などの影響により変わる可能性もあるので、詳しくは各メーカーのサイトをご確認ください。
まとめ
水蒸気(水)のみを排出し有害ガスを一切出さないことから、「究極のエコカー」とも呼ばれるFCV。普及台数や水素ステーションの整備など課題は多いものの、徐々に広まりつつあります。今後の展開に期待したいところですね!