2016年、北海道のある交差点が話題となったのをご存じでしょうか? 札幌市中央区にあった「南4西3」「南4西4」交差点が「すすきの」交差点へと名称変更されたのです。これは道内の新聞や雑誌でも取り上げられ、反響が大きかったそうです。
一般的に交差点は「○○1丁目」「××前」などの名称が多いですが、北海道の交差点には多くの市町村において「南4西3」「南4西4」のような道路標示が設置されています。今回は、この北海道の交差点についての豆知識をお届けします。
交差点の道路標示=交差点名ではない!?
実は、冒頭で挙げた「南4西3」「南4西4」という標示は、交差点の名称ではありません。なぜならこの表記は、道路と道路が交わった地点の住所を表しているにすぎないからです。
「地元の人は混乱しないのか?」「待ち合わせの時はどうしているのか?」という疑問が浮かびますが、地元の人は「○○の交差点(例:丸井今井のある交差点)」などと、その交差点にある建物の名前などで交差点を特定しているようです。
そもそも条丁目制とは?
「南4西3」「南4西4」のような交差点の標示は、北海道の多くの市町村で採用されている「条丁目制」によるもの。札幌市では、明治5(1872)年の時点では「渡島通」「小樽通」など北海道の国名※や郡名に由来する通りの名前が付けられていました。その後、明治14(1881)年に条丁目制へと変更され、現在の住所表記としても使われています。
※当時、北海道には「11国86郡」が置かれ、「渡島国」はその一つ。
条丁目制によって付けられた名称は一見分かりにくいですが、ルールに則って付けられているため、一度覚えてしまえば分かりやすいものです。
例えば札幌の中心部の場合、札幌駅の南側を東西に走る「大通」が南北の境界となり、それより北を北一条、南を南一条とします。東西の境界は「創成川通」で、これを境に東を東1丁目、西を西1丁目としています。大通りや創成川から遠ざかるほど、数字が大きくなります。
条丁目制のルールは市町村によって異なる
この条丁目制は、北海道の市町村の約4分の1で採用されているため、道内各地でこのように表記されている交差点が見られます。一見、一定のルールに則っているようにも見えますが、実は、市町村によって条丁目の「数え方」の規則は異なっています。
札幌市の場合は主に、「北○条・南○条」が先に来て「西○丁目・東○丁目」が後に来ます。芦別町や倶知安町などもこの形を採用しています。また、砂川市のように「西○条、東○条」が先で「北○丁目・南○丁目」が後という、東西が先になるタイプも存在します。これらの市町村では、道路が区画の境目となり、1つの区画は道路で囲まれた範囲で、道路をまたぐと条丁目が変わります。
そのため、札幌市では1つの交差点が4つの区画の境目になることがあり、方向毎に「南21西15」「南21西14」「南22西14」「南22西15」と4つの標示が設置されている場所もあるのです。
ちなみに、北見市や網走市では「北○条・南○条」が先に来て「西○丁目・東○丁目」が後という表記で、「条の境目が道路」なのは同じですが、「丁目の境目が区画の中央(の道路)」になっていたり、名寄市などは区画と丁目を基準にしたものですが、表記としては西○条、東○条が先で北○丁目・南○丁目というパターンもあります。
なかには、変則的なパターンの条丁目の市町村、そもそも条丁目制を採用していない地域も存在します。北海道を訪れた際には、街々で少しずつ変わる、交差点の表記に注目してみるのも面白いかもしれませんね。