クルマを運転していると必ず通るのが「交差点」。多くは十字路ですが、中にはとても複雑なものも存在します。今回は、「多差路」と呼ばれる交差点にまつわる豆知識をご紹介します。
5本以上の交差点は「多差路」と呼ばれる
一口に交差点といってもさまざまな種類があり、Y字路や丁字路(ていじろ。「T」字路ともいう)といった3差路もありますが、もっとも身近なのは4本の道路が集まった4差路でしょう。さらに5本以上集まると「多差路」と呼ばれ、道路の本数に応じて5差路、6差路、7差路……と呼ばれる場合もあります。それでは、日本国内には最大何差路まであるのでしょうか?
大阪には「9差路(7差路)」が存在
例えば大阪府河内長野市にある「本町(七つ辻)」は、世にもめずらしい「9差路」です。「国道170号(旧道)」、「国道310号」、「国道371号」、市道が交差した七辻(7差路)となっており、さらに交差点東側の小さな市道と長野商店街を加えると9差路となります。
国道371号(高野街道)はここが起点となっており、交差点の北側にはそれをあらわす標石も建てられています。国道は南に向かって約200キロ走り、紀伊半島南端で本州最南端の地としても知られる和歌山県東牟婁郡(ひがしむろぐん)串本町で終点を迎えます。
さて、9差路でも十分レアな光景ではありますが、国内にはもっと多い多差路が存在するのをご存じでしょうか?
国内最大?「11差路」
現在国内最大といわれているのが、千葉街道こと国道14号が通る、東京都江戸川区の「菅原橋交差点」です。
「千葉街道」、「旧上八幡道」、「鹿骨街道」、「仲井掘通り」、「同潤会通り」、「小松境川親水公園沿いの街道」、そして昭和初期からの小道が交わり、合計で11本の道路が集まる「11差路」となっています。
菅原橋交差点の名前は、菅原道真を祀る天満宮(現在の「本一色北野神社」)に由来します。この場所にはもともと現在の千葉街道にあたる「元佐倉道」があり、その後、整備が進んで新しい道が作られていきましたが、旧道がいまも残されているため、このような複雑な形になったようで、今の形になったのは、1970年代前半のことだといいます。11の道路のうち小松境川親水公園沿いの街道と、昭和初期からの小道は、自動車で通行できませんが、一度通ってみたい交差点ではないでしょうか。
パリにはなんと「12差路」も!?
ちなみに、世界にはさらに上をいく多差路がありました。フランス・パリの観光名所「エトワール凱旋門」がある「シャルル・ド・ゴール広場」は、12本の道路が交差する「12差路」となっています。
こちらは12本の道路を環状道路で接続するラウンドアバウト交差点になっており、当初は景観の工夫のために考案されたものでした(もともとの道路の数は5本)。
普段から利用していればまだしも、慣れない土地で出くわしたらハラハラしてしまいそうな「多差路」。心配な方は、知らない場所を走る前にカーナビやGoogleストリートビューなどで大まかなルートを確認しておくと安心かもしれませんね。