温室効果ガスの二酸化炭素の排出を抑え、環境負荷を減らす次世代自動車として、いま世界的に普及が進んでいる「EV(電気自動車)」。日本でも当たり前のように見られるほどに普及しましたが、どこの国の普及率が最も高いかご存じですか? 今回は、財務総合政策研究所の講演会資料「世界の自動車燃費規制の進展と電動化の展望」の情報をもとに、世界のEVの普及状況についてご紹介します。
EV普及率トップの国は?
欧州における電動車両の販売状況(2017年)をまとめた資料(P15)によると、販売台数・保有台数ともにEVのシェアは「ノルウェー」が断トツ。特に、乗用車全体の販売台数に対するEV・PHV(プラグインハイブリッド車)のシェアは、他国はどこも1ケタにとどまっているのに対し、ノルウェーは37.1%と圧倒的です。
断トツの普及率の要因
上記の理由から、最近は“EV大国”とも呼ばれているノルウェー。高い普及率の要因は、さまざまなEV優遇制度が設けられていることです。まず、購入時には輸入税や付加価値税(25%)が免除され、保有中には道路税(年税)や法人自動車税(50%)、 リース料への付加価値税(25%)が軽減。さらに税金以外のところでも、有料道路通行料やフェリー料金が免除、バスレーン走行が許可されるなど、EV保有者ならではのさまざまな恩恵を受けられるのです。
一方、日本の普及率は……
一方、同じ2017年の日本のデータを見てみると、EV販売台数のシェアは1.1%、保有台数のシェアは0.3%。日本でも、国や自治体が補助金や減税(免税)制度を導入したり、メーカー各社が次世代自動車の技術開発に力を注いだりしてはいるものの、まだまだこれからといったところです。
なお、日本では2030年までに新車販売台数の50~70%を「次世代自動車(EV・HV(ハイブリッド車)・PHV・燃料電池自動車・クリーンディーゼル自動車)」に、そのうち20~30%はEV・PHVにするという目標を掲げています。あと10年ほどでどれだけの変化が見られるのか注目ですね。
もともと日本は、2009年に三菱自動車が世界初の量産型EVを発売するなどして、新たな時代を切り開いてきました。日本国内における次世代自動車の販売数は、今のところHVが圧倒的に多い状況ですが、今後のEVの巻き返しに期待したいところです。