いつも以上に慎重な運転が求められる雨の日、特に注意したいのが路面の水たまりなどで起こりやすい「ハイドロプレーニング現象(アクアプレーニング現象)」です。ハイドロプレーニング現象とは何か、そしてその危険性や対策についてご紹介します。
わずかな水たまりでも油断は禁物
通常、タイヤは表面の溝(トレッド)から路面の水を排水することで、雨の中でもしっかり路面を掴んで走行しています。ところが、ある程度以上のスピードになると排水が追いつかなくなってしまい、タイヤと路面の間にできた水膜にクルマが常に浮いた状態になり、路面との摩擦力が失われハンドル操作が効かなくなってしまうのです。この現象こそが「ハイドロプレーニング現象」。ハイドロプレーニングは英語でいうと「hydroplaning」で、「hydro(水の)」+「planing(プレーン=平面になる)」という状態を示しているのです。また、ラテン語で水を意味する「aqua」をつけて「アクアプレーニング現象(aquaplaning)」と呼ばれることもあります。
スピード以外にもタイヤの摩耗状態、空気圧、路面の水たまりの深さなども原因になります。溝の減ったタイヤを使わない、空気圧を高めに設定する、水たまりのある路面では速度を控えめにするなどの心がけが重要です。
気をつけたいのはこんな場面
ハイドロプレーニング現象が起こりやすい主な場面としては、急な水たまりが多い「トンネル出口」や、水はけの悪い「道路のわだち」、クルマのスピードが出やすい「高速道路」などが挙げられます。また、晴天時の約4倍も事故が起こりやすいといわれている(※首都高速道路株式会社の調査より)「雨天時」にも要注意。
前述のとおりタイヤの摩耗も原因となりますが、法律の基準値内のタイヤ(使用限度「溝1.6mm」に至っていないもの)であっても、雨天時の路面では速度が上がれば上がるほどハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります(※JAFのユーザーテストより)。「雨」×「速度」×「タイヤの摩耗度」の3つの要素の掛け合わせが、ハイドロプレーニング現象を引き起こすことを心得ておきましょう。
わたしたちが日頃からできる対策は、タイヤの摩耗・空気圧点検だけでなく、排水性能(ウェット性能)に優れたタイヤを選んでおくというのも効果的。燃費、静粛性、乗り心地……タイヤ選びで何に一番重きを置くかは人それぞれですが、次の買い替えの際にはぜひ排水性能にも注目してみてくださいね。
もしハイドロプレーニング現象に遭遇したら「アクセルとハンドルはそのまま」
なお、もし運転中にハイドロプレーニング現象が起きてしまった場合は、アクセルから足を離さずハンドルはそのままに、自然に速度が落ちてタイヤのグリップが回復するのを待ちましょう。急ブレーキやシフトダウンは禁物です。
もちろん、事前の対策で「起こさない」ことが一番ではありますが、緊急時のためにも頭の片隅にいれておいてくださいね。