鉄やアルミなどの金属が大部分を占めるクルマは、廃車後そのほとんどがリサイクルされます。法律によってドライバーは新車購入時にリサイクル料金を支払うことが義務づけられているため、リサイクル自体をご存じの人は多いと思いますが、今回は意外と知らないパーツの再利用についてご紹介します。
エアバッグとシートベルトは強靭さを生かしてバッグに
いざという時にわたしたちの命を守ってくれる、エアバッグやシートベルト。もともと加工しにくい素材のためほとんどが捨てられていたそうですが、近年は丈夫な素材を生かしてバッグ(鞄)などの生地に再利用されています。エアバッグのバッグ……なんだかダジャレのようにも聞こえますが、一般的なバッグと変わらない優れたデザイン性を持ちながら、耐久性は抜群。さりげなくファッションに取り入れれば、クルマ好きとの会話もはずみそうです。
HV/EV車の充電池は再利用に
次世代自動車として注目を集めているハイブリッド車や電気自動車。燃費が良く排ガスが少ないなどのメリットがある一方で、使用済みとなった充電池の使い道も本当にエコなのか気になるところですよね。廃車後の充電池は、主に各自動車会社が回収・解体し再資源化しているほか、トヨタでは2013年から充電池を再利用した「定置用蓄電システム」も一部の車両販売店に導入。太陽光発電などと組み合わせて活用しています。
省エネだけでなく、震災などの非常時のバックアップ電源としても使える蓄電システムへの需要は高まっているため、将来的にはこうしたクルマ以外への再利用も増えていくのかもしれませんね。
レアメタル・レアアースもリサイクルへ
このように、実は廃車後もエコに貢献していたハイブリッド車ですが、1つ問題があります。それは、希少金属である「レアメタル」や「レアアース」を使う部品が従来の自動車よりも多いこと。これらの可採年数は限られており、産出国の集中などのリスクもあるため、今後は使用量削減などさまざまな対応策が求められます。そこでもう一度注目したいのが、充電池のリサイクル。
研究によって年々精度が上がっており、今ではレアメタルやレアアースといった原料の選別や抽出する技術もハイレベルになっているそうです。現在トヨタの研究では、こうした希少金属の「完全リサイクル」が最終実証段階に入っているとのことなので、完成した技術が自動車業界に定着すればハイブリッド車がわたしたちにとってもっと身近な存在になるかもしれません。
これから先もますます技術が向上していくであろう、クルマのリサイクル。自分の愛車の一部がまたいつか新しい人生を歩むと思うと、日頃大事に使う気持ちも高まりますね。