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低温時のゴム硬化とは?乗用車タイヤの安全と冬の走り方

低温時のゴム硬化とは?乗用車タイヤの安全と冬の走り方
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冬の路面で安全に走行するには、タイヤの状態が何よりも重要です。気温が下がると、通常のタイヤは本来の性能を発揮できなくなることをご存じでしょうか。

今回の記事では、低温環境下でタイヤのゴムに起こる変化と、スタッドレスタイヤが冬に強い理由、そして適切な交換時期について詳しく解説します。

冬の低温でタイヤのゴムに何が起きる?

寒い季節になると、タイヤのゴムは見た目には変わらないように見えても、内部では大きな変化が起きています。特に氷点下になる地域では、この変化がタイヤの性能に直接影響するため、正しく理解しておくことが安全運転につながります。

ゴムの「分子鎖」の可動性が低下すると起こる影響

まずは、ゴムが伸び縮みする仕組みについておさらいしておきましょう。ゴムは「分子鎖」と呼ばれる、非常に細長い糸のような構造が無数に絡み合ってできています。これらの分子鎖は普段、ボールのようにコイル状に丸まった形で存在しており、力が加わると変形し、力を抜くと元に戻ります。この動きこそが、ゴムの弾力性の正体です。

タイヤのゴムは、製造工程で「加硫(かりゅう)」という処理を施されています。天然ゴムに合成ゴムやカーボンブラック、硫黄など、ゴムを強くする材料を混ぜて熱と圧力を加えることで、分子同士が結びつき、適度な弾力性と耐久性が生まれます。この加硫処理により、タイヤは路面からの衝撃を吸収しながら、繰り返しの使用にも耐える強さを得るのです。

しかし、気温が低下し、タイヤの温度が下がるほど分子鎖の動きが鈍くなり、変形しても元の形に戻るまでに時間がかかるようになります。さらに温度が下がり続けると、分子鎖はほとんど動けなくなり、ゴムは硬く、脆くなってしまいます。この状態では、路面の凹凸にしっかり密着できず、本来のグリップ力を発揮できません。結果として、ブレーキの利きが悪くなったり、カーブで滑りやすくなったりするのです。

スタッドレスタイヤはなぜ低温に強い?

低温時のゴム硬化とは?乗用車タイヤの安全と冬の走り方

通常のタイヤが低温で硬化してしまうのに対し、スタッドレスタイヤは氷点下の環境でも安定した性能を発揮します。その秘密は、特殊なゴム配合と、氷上の滑りを防ぐ独自の技術にあります。

低温でも“しなやかさ”を保つゴム

スタッドレスタイヤは、極寒の環境でも硬くならない特殊なゴムを使用しています。トーヨータイヤの最新モデルでは、「密着長持ちゴム」という新開発のコンパウンドを採用しています。

この密着長持ちゴムには、「持続性高密着ゲル」と「サステナグリップポリマー」という2つの新素材が配合されており、温度変化によるゴムの硬度変動を最小限に抑えます。低温下でも柔軟性が保たれるため、凍結した路面にしっかりと密着し、優れた制動性能を発揮します。さらに、配合されたゲルの量を増やすことで経年劣化も抑えられ、高いアイスブレーキ性能を長期間維持できるのです。

ただし夏場の高温時には、スタッドレスタイヤのゴムは柔らかくなりすぎて、濡れた路面での摩擦力が低下し、滑りやすくなります。そのため、冬が過ぎたら早めにノーマルタイヤに履き替えることをおすすめします。

薄い水膜を処理するメカニズム

凍結路面が滑りやすい理由の一つに、氷とタイヤの間に発生する「水膜」があります。タイヤと氷の接地面にかかる圧力で氷の表面がわずかに溶け、薄い水の層ができると、この水膜が潤滑剤のようになってタイヤを滑らせてしまうのです。

トーヨータイヤは、この問題に「NEO吸水カーボニックセル」という技術で対応しています。水と親和性の高い素材で、タイヤが路面と接触する瞬間に水膜を素早く吸水・除去します。一部に天然由来の成分を使用しているため、環境への配慮も実現しているのもポイントです。

このように、柔らかいゴムによる密着性と、吸水技術の組み合わせにより、スタッドレスタイヤは冬の時期でも高い安全性を確保しているのです。

スタッドレスタイヤの寿命と交換サイン

低温時のゴム硬化とは?乗用車タイヤの安全と冬の走り方

スタッドレスタイヤは消耗品であり、適切なタイミングでの交換が欠かせません。一般的な目安として、使用開始から5年以上経過したタイヤは点検が推奨されており、製造から10年が経過したタイヤは、外観上問題がなくても新品への交換がすすめられています。しかしタイヤの状態によっては、それよりも早く交換が必要になることもあります。

硬度チェックやひび割れなどのチェック

スタッドレスタイヤは、使用していなくても時間とともに少しずつゴムが硬化していきます。硬くなったゴムは路面への密着性が低下し、溝が十分に残っていても本来の性能を発揮できません。

タイヤの柔らかさをチェックするには、見て触るだけでなく、「硬度計」もあると便利です。タイヤ用には「A型」の硬度計を選びましょう。スタッドレスタイヤの適正硬度は目安として30〜55程度とされており、測定値が60を超えたら交換を検討すべきタイミングです。

また、溝が残っていても、表面にひび割れや傷が見られる場合は要注意です。シーズンの使い始めには必ず全体を点検し、少しでも気になる部分があれば専門店に相談しましょう。小さなひび割れでも、そのまま使い続けると深刻なダメージに発展し、最悪の場合はバーストやパンクを引き起こす危険性があります。

プラットホームでスタッドレスの使用限度をチェック

スタッドレスタイヤには、冬用タイヤとしての使用限界を示す「プラットホーム」というサインがあります。これは溝の中に設置された突起で、タイヤが摩耗して溝の深さが新品時の半分(50%摩耗)になると露出します。プラットホームが1カ所でも現れたタイヤはスタッドレスとしての十分な性能が期待できないため、すみやかに買い替えましょう。残り溝の深さチェックは、身近な100円玉を使っても確認が可能で、スタッドレスタイヤの溝に100円玉を差し込んだときに「1」の数字が見えたら、残り約5mm、タイヤ交換のサインです。ぜひお試しください。

FAQ:在庫期間中のスタッドレスタイヤの性能変化は?

最後に、よくある質問にお答えします。

Q. スタッドレスタイヤは在庫期間中に性能変化するのでしょうか? 購入したタイヤが製造から時間が経過していたら、性能が落ちているのでは?

A. タイヤ公正取引協議会の試験により、適正な環境で保管された新品のスタッドレスタイヤであれば、製造から2シーズン経過したタイヤでも、氷上での制動性能は新品と同等であることが確認されています。したがって、正規販売店で購入した在庫品であれば、製造年月日が多少古くても性能面での心配はありません。

まとめ

冬の安全運転は、タイヤ選びから始まります。ノーマルタイヤは低温下で硬くなりやすいため、凍結や降雪がなくても、冬はスタッドレスタイヤに履き替えておくと安心です。タイヤの状態に少しでも異変があれば、早めに専門店での点検を受けましょう。定期的な点検と適切な保管を心がけることが、タイヤを長持ちさせる秘訣です。

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