ドライブや旅行の楽しみを半減させてしまう「車酔い(乗り物酔い)」。その不快な症状に悩まされた経験がある人は多いのではないでしょうか。今回の記事では、車酔いのメカニズムや対策、予防法について詳しく解説します。
目次
車酔いの原因と仕組み
車酔いは、体の感覚器官から脳に送られる情報の不一致によって引き起こされます。
クルマの動きは耳の奥にある内耳の三半規管や耳石器(前庭のなかにある平衡感覚に関与する末梢器官)で感知していますが、目から入る情報とのズレが生じることがあります。この矛盾した情報を脳が処理しきれず、自律神経系に異常をきたすことで、めまいや吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
ドライバーが酔いにくいのは、自分の運転操作でクルマの動きやスピードをある程度予測でき、このような情報のズレが生じにくいからです。
また、筋肉や関節からの情報、嗅覚刺激、さらにはストレスや不安などの気分的な要因も車酔いに関与するといわれています。
車酔いしやすい人としにくい人の違い
車酔いのしやすさには個人差がありますが、いくつかの特徴があることがわかっています。
まず、年齢による違いがあります。一般的に、大人よりも子どもの方が車酔いしやすい傾向にあり、これには三半規管の発達度合いが関係しているといわれています。車酔いの症状は一般的に2歳頃から現れ始め、5〜12歳頃にピークを迎えます。その後、成長とともに乗り物に慣れていくことで徐々に軽減していきます。
また、持病のある人も車酔いしやすいことがわかっています。内耳・脳の異常や、自律神経失調症、低血圧、ぜんそく、アレルギーなどの病気も、車酔いに関係するといわれています。
車酔いしてしまったときの対策
車酔いの症状が現れた場合、すぐに対処することが大切です。ここでは効果的な対策を2つご紹介します。
自律神経の乱れを緩和する
車酔いの症状は、自律神経の乱れによって引き起こされます。そのため、自律神経を整えることが重要です。
応急策として、氷を口に含むという方法があります。口の中に刺激を受けることで自律神経の乱れを抑える効果があるといわれています。また、同様の効果が期待できる唐辛子や生姜などを乗車前に摂取しておくのもおすすめです。
ただし、梅干しや柑橘類など酸味の強いものは、胃を刺激して逆効果になる可能性があるので注意が必要です。
遠くの景色を眺める
車酔いの症状を和らげるもう一つの方法は、遠くを眺めることです。遠くの景色を見ることで、脳に入ってくる情報のバランスを整えることができます。後部座席よりも揺れが少なく視界が広い助手席に座るとさらに効果的です。
近くの景色を見続けると、高速で変化する景色によってさらに酔いが悪化する可能性があります。そのため、クルマの動きがほとんど影響しない雲や山など遠くの景色をぼんやりと眺めるようにするといいでしょう。
車酔いを防ぐ方法
車酔いは、いくつかのポイントに気をつけて予防することも可能です。以下に効果的な予防法をご紹介します。
乗る前に体の状態を整える
車酔いを防ぐためには、まず体調を整えることが大切です。疲労や睡眠不足は車酔いの原因になりやすいので、長時間のドライブの前日はしっかりと睡眠をとるようにしましょう。
また、乗車前の食事も重要です。空腹でも満腹でも車酔いを誘発しやすいので、適度な量の食事を心がけてください。乗り物酔いしやすい方は、乗車前に酔い止め薬を服用しておいても良いでしょう。
車内ではスマホなどの使用を控える
車内での過ごし方も、車酔いの予防に大きく関係します。特に、スマホ操作やゲーム、読書などは控えめにしましょう。これらに集中することで、目から入る情報と体感する動きの情報に大きな差が生じ、車酔いを引き起こす原因となります。
車内では、なるべく広い視野を保つことを意識しましょう。可能であれば窓を開けて新鮮な空気を取り入れたり、なるべく頭を動かさないようにして三半規管のリンパ液の動きを抑えたりするのも効果的です。
まとめ
車酔いは、体の感覚器官からの情報の不一致によって引き起こされる不快な症状です。年齢や体質によって個人差はありますが、適切な対策と予防法を知っておくことで、その影響を軽減できるでしょう。
もしも車酔いしてしまった場合は、自律神経の乱れを緩和する方法や、遠くの景色を眺めるなどの対策が有効です。また、乗車前の体調管理も忘れずに。みなさんが車酔いに悩まされることなく、素晴らしい旅の思い出を作れますように!