以前はカーナビといえば据え置き型のものでしたが、最近ではスマホで使える高機能なナビアプリも多数登場しています。今回の記事では車載カーナビとスマホアプリのどちらを選ぶか迷っている方のために、それぞれのメリット・デメリットや注意点などについて解説します。
目次
車載カーナビの特徴
まずは定番の「車載カーナビ」の特徴から見ていきましょう。
車載カーナビのメリット
車載カーナビの主なメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
- 電波が届く範囲が広く、測位精度が高い
車載カーナビはGPSのほかにジャイロセンサーや車速センサーなど複数の情報から現在地を割り出すため精度が高く、トンネルや地下駐車場などのGPS信号を受け取れない場所でも正確な位置を把握しやすいという特長があります。
- 画面が大きく見やすい
また、大画面で地図や案内が見やすいのも大きなメリットです。スマホは平均6インチ程度であるのに対し、車載カーナビは一般的に7インチ程度。近年はより大きなディスプレーを取り入れる車種も増えており、10インチ以上の大型ディスプレーを採用している車種も珍しくありません。
- メーカー純正ナビは、クルマの他の機能と連動可能で、操作性が高い
さらにメーカー純正のナビなら、車両情報の閲覧や、地図の更新・緊急通報などのコネクテッドサービスが利用でき、操作性が高いという利点があります。クルマのバックモニターと接続できるのも車載カーナビならではのメリットです。Bluetooth(ブルートゥース)接続対応のオーディオ機能を搭載したカーナビなら、スマホの音楽を聴くこともできます。
車載カーナビのデメリット
一方で、車載カーナビには以下の2つのデメリットもあります。
- イニシャルコスト(機器の費用)が高い
車載カーナビの本体費用は安価なものでも5万円程度~、高機能なものは数十万円にもなり、導入にお金がかかるのが難点です。
- 地図データの更新など、ランニングコストがかかる
コネクテッドサービスのないカーナビの場合、地図情報は古くなっていきます。ディーラーやカーショップに更新を依頼する場合、マップデータの料金に加えて工賃もかかります。
カーナビアプリの特徴
スマートフォンの普及により、車載カーナビの代わりにカーナビアプリを使うドライバーも増えてきました。ここではカーナビアプリの特徴をご紹介します。
カーナビアプリのメリット
カーナビアプリの主なメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
- 初期費用が抑えられる
カーナビアプリのメリットは、何といってもその手軽さ。普段使っているスマホやタブレットにインストールするだけですぐに利用できるので、取り付け工事の費用や手間がかかりません。
- ランニングコストが低額
高機能なナビアプリが無料で配信されており、有料のものでも月額数百円程度からと比較的安価です。常に最新の地図データや機能が追加されていくのも大きな利点です。
カーナビアプリのデメリット
一方で、カーナビアプリには以下のデメリットもあります。
- 車載型に比べると測位精度は劣る
GPSに対応したスマホやタブレットでも、車載カーナビと比べると測位精度は劣ります。隣接する高速道路と一般道路では、正しい走行位置をキャッチできないことも。
- 電波が届かない場所がある
限られた場所ではありますが、基地局や中継局の通信電波が届かないような環境では、地図データを読み込めず案内が中断されてしまう場合があります。ただし、事前に地図を保存しておけるオフライン機能に対応したナビアプリがあれば、デメリットをカバーできる可能性があります。
- 画面が小さく車載型に比べると操作性は劣る
スマホを使う場合は画面が小さいため、車載カーナビと比較すると操作性は劣ります。また、長時間の運転になると通信費やバッテリー消耗が気になるのもカーナビアプリならではの欠点といえるでしょう。
カーナビアプリのおすすめの選び方
費用や自分が使っている端末との相性は前提として、カーナビアプリは「操作性(操作しやすさ)」が一番大切です。有料アプリはお試し無料期間などを利用して、必ず試用してから自分に合ったものを選びましょう。有料アプリを試してから、無料アプリを試してみることをおすすめします。
スマホをカーナビとして使う際の注意点
スマホをカーナビとして使う際には注意点もあります。
運転中の操作
まず、運転中の携帯電話などの操作(ながらスマホ)は「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」の罰則が科せられる場合があります(交通反則通告制度に基づいて、普通車の場合は18,000円の反則金を支払えば罰則は免除)。違反点数は3点です。
ながらスマホによって事故を起こすなどの交通の危険を生じさせた場合はさらに重い罰則として「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」が適用され、違反点数6点で一発免停となります。
スマホホルダーの取り付け位置
このように運転中の操作は禁止されているため、カーナビアプリを使う際はスマホホルダー(スマホスタンド)の取り付けが必須です。エアコンの吹き出し口やダッシュボードに取り付けるのが一般的ですが、ダッシュボードに取り付ける場合は視界を妨げない位置を選びましょう。道路運送車両法の保安基準では、前方の視界について以下のルールが定められています。
- 対象車種:1.専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員11人以上のものを除く)、2.車両総重量が3.5トン以下の貨物自動車
- 基準要件:自動車の前方2mにある高さ1m、直径0.3mの円柱(6歳児を模したもの)を鏡等を用いず直接視認できること
また、フロントガラスへの取り付けは違法になる可能性があるので避けましょう。道路運送車両法の保安基準とその告示によると、フロントガラスに取り付け可能なものは車検ステッカー(検査標章)やドライブレコーダーなどと定められており、スマホホルダーはそこに含まれていないからです。
カーナビの今後の展望
一時期はナビアプリに淘汰されるともいわれた車載カーナビですが、EVの普及により車内システムとの連動が重要視されつつあることなどから、今後少しずつ需要が伸びていくと予想されています。「高精度なナビゲートができる車載型」「安価で必要十分な機能が使えるナビアプリ」といった形で、すみ分けがされていくのではないでしょうか。
まとめ
近年はナビアプリのユーザーが増えているとはいえ、車載型カーナビの機能も時代とともに進化しています。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、ご自身のカーライフにぴったりのナビを選んでみてください。