手軽に愛車の印象をガラッと変えられる「インチアップ」。見た目はもちろん、機能面でもメリットがある人気のカスタムですが、一歩間違えると事故や違反につながる可能性もあるので注意が必要です。今回の記事では、インチアップのメリットとデメリットについて解説します。
目次
インチアップとは

タイヤ外径を変えずにホイール部分(リム径)のインチを大きくすることを「インチアップ」といいます。一般的に「偏平率の低い(薄い)タイヤ」と呼ばれているのが、インチアップなどによって横から見たときのゴム部分が薄くなっているタイヤです。
偏平率(扁平率)とは「タイヤ断面の高さ」と「断面の幅」の比率を表す数値のことで、これが低ければ低いほど接地面が広く、薄いタイヤになっていきます。
偏平率(%)の求め方=(タイヤ断面高さ÷タイヤ断面幅)×100
ちなみに、ホイール部分(リム径)のインチを小さくすることを「インチダウン」といいます。
インチアップのメリット

タイヤのインチアップには、主に2つのメリットがあります。1つはドレスアップ効果で、ホイールを大きくすることでクルマの外観をよりスタイリッシュに見せることができます。そしてもう1つは、クルマの走行性能アップが期待できる点です。ハンドル操作の安定性、ブレーキやコーナリングの性能が向上することがあります。
グリップが高まる理由
タイヤの外径を変えずに偏平率を下げると、タイヤの剛性も上がります。これによって「走る」「曲がる」「止まる」といった基本性能の向上につながるといわれています。
インチアップのデメリット
一方のデメリットとしては、クルマの乗り心地に影響しやすい点が挙げられます。タイヤが薄くなることで路面の凹凸が伝わりやすくなり、乗り心地が悪化する場合があります。また、接地面が増えることにより転がり抵抗が増えるのに加えて、ホイールが大きく(=重く)なることで燃費が下がる場合もあります。
インチアップの注意点
また、タイヤのインチアップをする際にはいくつかの注意点があります。
外径の変化
インチアップでタイヤを交換する際は、元のタイヤと外径がほぼ同じのものを選びましょう。外径を大きく変えてしまうと、スピードメーターに誤差が生じる原因になります。目安としては、動的負荷半径を以下の範囲で選びます。
- 2006年12月31日以前に生産された車両…-5%~+3%の範囲
- 2007年1月1日以降に生産された車両…-5%~+1.5%の範囲
車体への干渉
インチアップによってタイヤ幅が広くなると、フェンダーからはみ出す可能性があります。大きくはみ出したタイヤは車体やブレーキなどに干渉したり、歩行者に接触したりする危険性があるほか、不正改造として車検に通らない場合もあるので注意しましょう。具体的には、10mm以上のはみ出し(前方30度、後方50度の範囲に交わる2平面にはさまれる範囲)が整備不良車とみなされます(商用車ははみ出しNG)。
荷重指数の調整
タイヤはその規格やサイズによって、「荷重指数(ロードインデックス=LI)」が定められており、1本で支えられる最大荷重が決まっています。インチアップしたタイヤが元のタイヤの荷重指数を下回ると負荷能力が下がり危険です。また、インチアップによって適正空気圧が変わる可能性もあるので、こちらもあわせて確認しておきましょう。
まとめ
手軽にできるカスタムとはいっても、外径や荷重指数など確認すべきポイントも多いインチアップ。初めての場合は一度プロに相談することをおすすめします。今回ご紹介した注意点を理解したうえで、足元のおしゃれを楽しみましょう!