路面凍結は気温何℃で発生する?
- トリビア
- 2022.01.252025.12.04Update
天気予報の予想気温が氷点下になる日も多くなり、本格的な冬が到来しています。ドライブするうえで気になるのが路面状況。気温が0℃以下になったら、路面凍結にも注意しなければなりません。しかし、気温が0℃以上だからといって路面凍結しないとは限らないのです。今回は、路面凍結によって生じるアイスバーンと、路面凍結の始まる温度について紹介します。
目次
アイスバーン(路面凍結)とは?
「アイスバーン」とは、氷のように凍結した路面のこと。路面に積もった雪が気温の上昇によって解け、雪解け水が夜の冷え込みで凍って発生します。さらに道路状況などによって状態が変化し、以下のような種類に分類されます。
圧雪アイスバーン(圧雪路)
何台も車が通行するうちに降り積もった雪が踏み固められ、硬く凍った状態になった路面を圧雪アイスバーン(圧雪路)と呼びます。スタッドレスタイヤの制動能力が発揮されやすいのが、この圧雪路。路面が白くなって一見、雪が積もっていて滑りにくく見えるかもしれませんが、実は凍った路面だったということも。思わぬ箇所でハンドルを取られないよう用心しましょう。
ミラーバーン
圧雪アイスバーンの上をさらに多くの車が走行して、鏡のようなツルツルとした路面になった状態を「ミラーバーン」と呼びます。交通量が多い道路や交差点などに発生しやすく、特に交差点のミラーバーンはスリップの原因になり、複数の車を巻き込む大きな事故につながる危険性があります。
ブラックアイスバーン
アイスバーンの中でも特に危険なのが、黒いウェット路面に見えてしまう「ブラックアイスバーン」です。ただのぬれた路面だと誤認したまま走行して、ブラックアイスバーンに差しかかってから凍結路面だと気付くケースが多いためです。
JAFの実験では、ぬれた路面とブラックアイスバーン路面とで制動距離を比べたところ、ぬれた路面の約6倍に制動距離が伸びるという結果が公表されています。見た目には区別がつきにくいため危険度が高いのです。特に夜間走行中のブラックアイスバーンは見えづらいため、日没後はブラックアイスバーンになっていることを予測しながら走行しましょう。
路面凍結は気温0度以下で起こるとは限らない
水が凍結するのは0℃からですが、気温が0℃以下になれば路面凍結が起きるのかといえば、そうとは限りません。例えば夏の気温は30〜40℃ですが、直射日光に照らされたアスファルトの路面の温度は60℃以上にもなります。黒いアスファルトには蓄熱効果があり、冬も同様で気温が氷点下でも日光が当たっていれば、路面温度は上がるため凍結しにくいのです。
しかし、日の出前や日没後の太陽が顔を出さない時間や、また降雪などで路面が雪に覆われる時間が続くと、気温よりも路面温度のほうが低い状況が長くなり路面は凍結しやすくなります。「冬の路面温度と車のすべり」との関係についての論文データによると、夜間になると気温と路面温度との差は広がり、気温が5℃〜7℃程度あっても路面温度は0℃以下になるケースがあることが分かります。
また場所によっても、気温と路面温度との差は違ってきます。気温と路面温度との相関を調べた別の研究では、「郊外」「山間」「橋梁」では気温が0℃でも路面温度が0℃以下になるケースがありますが、「アンダーパス」「トンネル」では気温が0℃でも路面温度が0℃以下になるケースはほとんどなく、路面凍結の起こりやすい箇所・起こりにくい箇所があることが分かります。
つまり、気温が低くても日差しの当たる場所は路面凍結が起こりにくい一方、気温が高くても日差しの当たらない場所や風の強い場所などは路面凍結が起こりやすく、気温が5℃程度あっても路面温度が氷点下になり凍結が起こるケースがあります。車載の外気温計や道路上の電光掲示板が表示された気温が氷点下でなくても、路面凍結によってアイスバーンが発生する可能性はあるため、気温だけで判断しないよう心がけましょう。
路面凍結の起こりやすい場所は?
JAFによれば、路面凍結が発生しやすい場所が2つあるとのこと。その理由と合わせて紹介しましょう。
- 市街地の停止線付近
交差点などの「停止線付近」は、市街地の道路のなかでも路面凍結が起こりやすいスポットです。理由は多くのクルマがブレーキを踏むところだから。停止・発進が頻繁に繰り返されると、圧雪路面がタイヤで磨かれてしまうのです。 - トンネルの出入り口付近
トンネル内は風や日光の影響がないため放射冷却が起こりにくく、雪は解けにくくなります。しかし、出入り口付近は日が当たったり、強い風の影響を受けたりして、解け出した雪が凍結していることもあります。 - 橋の上
水面を渡る橋の上は、大地に接していないため地熱の影響がありません。さらに、川などの上は風を遮る地形や建造物もなく上下を風が通り抜け、路面の温度は下がりやすくなります。
路面凍結が起こりやすい場所では、クルマが通過して解けた雪や、降雪後の雨で解けた雪が、夜間の気温低下により再凍結を繰り返して氷が厚くなっていたり、凍結範囲が広がっていることもあります。ドライブ時には特に意識をしておきましょう。
アイスバーン走行時の安全対策
装備面の対策:スタッドレスタイヤ・チェーンの装着
まず基本となる対策は、足元の装備。アイスバーンでタイヤがスリップするのは、凍った路面が滑るのではなく、凍った路面をタイヤが圧力をかけて氷が解け、タイヤと氷との間に生じる水の膜によって摩擦が小さくなるためです。この水膜を瞬時に取り除き、路面にしっかりとタイヤを密着させてスリップを防ぐのがスタッドレスタイヤです。初雪が降るころまでには、スタッドレスタイヤへ履き替えて雪道ドライブに備えましょう。雪の深い地域では、チェーン規制が出される道もあるので、タイヤチェーンの準備もお忘れなく。
運転方法の対策:「急」のつく運転をしないこと
運転方法の対策は、「急ブレーキ」「急ハンドル」「急発進」など「急」のつく運転・操作をしないことです。ミラーバーンやブラックアイスバーンのような、摩擦が小さい路面では、少しの操作ミスやラフな操作で車の挙動を乱れさせ、コントロールできない状況に陥りがちです。いつも以上に慎重で落ち着いた運転を行いましょう。
また車間距離をふだんよりも長くとったり、アクセルペダルの踏み方も足首を動かして踏むのではなく、靴の中で足の指を折りまげる程度の優しい力でゆっくりじわじわと踏み、ゆるやかに発進するのも、アイスバーンや雪道を安全に走行するコツです。
2つの対策で、凍結した路面でも安全運転を
アイスバーンは、雪道につきもの。トンネルの出入り口などで、運転中に気付かないままアイスバーンの上を走行してしまうことも少なくありません。タイヤの備えと、運転方法の備え。2つの対策をしっかりと準備して、今シーズンも安全運転で冬ドライブをしましょう!
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