踏切の前で一時停止していたら、警報機が鳴りだして、間を置いて遮断機が下りて、列車が目の前を通過…。ごくごく当たり前の光景ですが、実はここに「時間のルール」があったのに気付いていたでしょうか。一度知ると、踏切待ちのときに秒数を数えたくなる「時間のルール」について紹介します。
目次
踏切の警報機と遮断機と、列車到達までの時間のルール
実は、踏切のほか線路やホーム、トンネル、送配電線路、乗務員室の構造などなど、あらゆる設備の基準を定めた「鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準」によって「警報が鳴ってから遮断機が降りきるまでの時間」「遮断機が下りてから電車が踏切に到達するまでの時間」「警報機が鳴り始めてから列車が到達するまでの時間」も細かく規定されているのです。
警報が鳴ってから遮断機が下りるまでの時間は、10秒〜15秒
踏切の設備についての基準を示した「Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係」では、遮断機の動作について次のように規定されています。
4 踏切遮断機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
「鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準」の「Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係」より抜粋
(3) 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、10秒以上であること。
つまり、警報が鳴ってから遮断機が下りるまでは、10秒〜15秒ということになります。
遮断機が下りてから電車が踏切に到達するまでの時間は、15秒〜20秒
また、「遮断機が下りてから電車が踏切に到達するまでの時間」は次のように定められています。
(5) 遮断動作の終了から列車等の到達までの時間は20秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、15秒以上であること。
「鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準」の「Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係」より抜粋
遮断機が下りてから列車が到達するまでは、15秒〜20秒。警報機が鳴って、遮断機が下りて、列車が到着するまでの時間は標準で15秒+20秒=35秒(25秒以上)ということになります。
警報機が鳴り始めてから列車が到達するまでの時間は、20秒〜30秒
そして警報機のほうにも時間のルールが定められています。同じ解釈基準では次のように示されています。
5 踏切警報機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
「鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準」の「Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係」より抜粋
(3) 警報の開始から列車等の到達までの時間は、30秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、20秒以上であること。
つまり、「警報機が鳴り始めてから列車が到達するまでの時間」は、20秒〜30秒ということになります。ご存じだったでしょうか? 踏切通過前に警報が鳴り始めたら、時計で秒数を計ってみましょう!
車で踏切を渡るときの注意をおさらい
遮断機が下りきってから電車が到達するまで、最短で15秒。通過待ちをしているときは長く感じる時間ですが、万が一踏切内に閉じ込められたり事故が起きた場合を想定すると、時間の猶予はほとんどありません。今一度、車で踏切を渡るときの注意をおさらいしておきましょう。
- 遮断機や警報機が鳴っていなくても、踏切では一時停止
- 前方に車がいて進路がふさがれている場合は、警報が鳴っていなくても進入しない
- 警報機が鳴り始めたら必ず停車
- もし閉じ込められてしまったら、遮断機を押して脱出
- もし踏切内で車が動かなくなったら、すぐに非常停止ボタンを押すか発煙筒を使って危険を知らせる
遮断機の遮断棒は、車で押しても折れずに斜め上に上がる構造になっているため、車で押し切れば踏切内から脱出できます。踏切内に閉じ込められた場合は、落ち着いてそのまま車を発進させましょう。
踏切事故の約36%は「無理な横断」が原因となっています。自分が踏切を渡ろうとしたときに遮断機が下りてしまうと、ついイライラ・せかせかしてしまうかもしれません。ですが、時間のルールと横断時の注意をぜひ意識してみてくださいね。