雨の日ドライブでのよくあるお悩みといえば、視界不良。景色がぼやけて見えにくくなるだけでなく、特に夜には「対向車のライトがギラギラしてやけにまぶしい!」と感じたことはありませんか? その視界の悪さ、単なる水滴やワイパーのせいではないかもしれません。
目次
フロントガラスに付着する油膜とは
雨の日に視界が悪くなる原因のひとつとして挙げられるのが、ガラスに付着した“油膜”。油膜とはクルマのオイルやワックスなどによるもので、通常の洗車や窓拭きではなかなか落ちないやっかいな汚れなんです。
油膜が付着する原因とは

ガラスに油膜がこびりつくのには、いくつかの原因があります。
大気中の排ガスに含まれる油分
クルマの排ガスに含まれる成分は油膜となって少しずつ付着していきます。特に交通量の多い地域では大気中に浮遊する油分も多くなり、油膜が発生しやすくなります。
雨などの油分を含んだ水分
排ガスを含んだ雨水をガラス面に浴びることも油膜の原因となります。さらに路面の水たまりにも油分が含まれているため、周囲のクルマが跳ね上げた水がかかることで油膜が発生する場合もあります。
ボディに塗布したワックスの油分
前述のとおり、クルマ用のオイルやワックスの油分も油膜の原因となります。ボディのみに塗布していても、雨水などと一緒にガラスの方まで流れ落ちることで油膜となってしまうのです。
撥水ガラスコーティングが溶けたもの
ガラスにシリコン系の撥水コーティングを施している場合、その成分が劣化して溶け出して油膜になることもあります。
油膜を自分でキレイに取り除く方法
洗車では落ちにくい油膜を取り除くには、どうしたらいいのでしょうか。ここからは具体的な手順をご紹介します。

用意するもの
油膜取りに必要なのは、洗車用品(カーシャンプーやスポンジなど)、油膜取り剤、仕上げ拭き用の柔らかい布(マイクロファイバークロスなど)です。
特に油膜取り剤は商品によって数百円~数千円と価格もさまざまで、機能や効果も少しずつ異なるので、お気に入りのものを見つけてみてください。なお、油膜取り剤には専用のスポンジやパッドが付属しているものも多いですが、もし付いていない場合はこちらも準備しておきましょう。
手順
まずはいつもどおりの洗車でガラス表面の汚れをしっかり洗い流します。そのあと水分を拭き取り、よく乾燥させたうえで油膜取り剤を使用していきます。適量をスポンジ(パッド)にとって全体に塗り込んだら、たっぷりの水で洗い流しましょう。最後に清潔な布で拭き取れば完了です。
油膜取り剤は種類によって使い方が少しずつ異なる場合もあるので、作業前には必ず説明書をご確認ください。
サイドミラーの油膜を取る場合
フロントガラスだけではなく、サイドミラーも運転中の視界確保に重要です。こちらもあわせて油膜取りをしておきましょう。
基本的な手順はフロントガラスと同様ですが、サイドミラーはクルマの進行方向とは逆向きに取り付けられているので、水滴が残りやすいという特徴があります。その分、油膜や水シミが発生しやすいので、こまめにお手入れしたいところです。
油膜取りでやってはいけないこと
油膜取りを行ううえで、注意したいポイントもあります。ここではやってはいけないことを3つ見ていきましょう。
ガラスを傷つける素材の道具を使う
まずひとつは、ガラスを傷つける素材の道具を使うこと。油膜がなかなか落ちないからといって、金属製のスクレーパーやスポンジなど硬い素材のものでガラスをこすると、かえって傷が付く危険性があります。油膜は力任せにこすっても落ちない場合が多いので、必ず専用の除去剤を用意するようにしましょう。
直射日光の下で作業をする
2つめは、直射日光の下で作業すること。特に炎天下でガラスが高温になった状態での作業は、除去剤が急速に乾燥してムラが発生しやすくなるので避けましょう。熱中症対策の面からも、涼しい時間帯や日かげでの作業をオススメします。
水あかと間違えて処理をする
そして3つめは、水あか(ウロコ汚れ)と間違えて処理をすることです。一見よく似た見た目の油膜と水あかですが、水あかには酸性洗剤、油膜にはアルカリ性洗剤といったように、効果的な除去成分はそれぞれ異なります。なかには両方落とせる除去剤も販売されていますが、基本的には専用の除去剤を使って一つ一つ確実に落としていくのがベストです。
プロに依頼する場合の工賃目安
ガラス面が広かったり、油膜が固着していたりして自分で作業するのが難しい場合は、プロにお任せするのも手です。ディーラーやガソリンスタンド、カーショップなどさまざまな場所で依頼できます。ガラスの大きさや業者などによって工賃は異なりますが、プロに依頼する場合の目安は1500~3000円程度です。ガラスコートとのセットメニューに対応しているところもあります。
フロントガラスの油膜を防止する方法

油膜を完全に防ぐことは難しくても、日頃の対策で付着しにくくすることはできます。
最も簡単で効果的なのが、定期的なクリーニングです。ついついフロントガラスばかりに気を取られてしまいますが、その周辺のお手入れもお忘れなく! 面積の小さいサイドミラーやドアミラー部分には、水滴防止スプレーが便利です。雨が降りそうなときにサッとひと吹きできるよう、車内に1本常備しておくと安心ですよ。
また、ワイパーのゴム部分はどうしても熱や紫外線で日々劣化してしまうもの。放置するとガラスの拭きムラや細かい傷の原因になることもあるので、定期的な状態チェックと交換をオススメします。ちなみにフロントガラスの撥水コーティングに適したタイプのワイパーもあります。買い替えるタイミングで検討してみてもよいかもしれません。
さらに油膜除去をしたタイミングで、撥水コーティングをしておくのもオススメです。撥水性を高めるコーティング剤は、キレイなガラスに使ってこそ真価を発揮してくれます。コーティング剤には定番の塗り込みタイプやスプレータイプ、ウォッシャー液タイプなど、さまざまな種類があるので使い勝手や好みに応じて選んでみてください。ただし、急な雨にも使える(ぬれたままでも使える)タイプはお手軽な分長持ちしにくいので注意が必要です。
まとめ
雨の日の視界不良の原因となる油膜は、排ガスや雨水、ワックスの油分などが原因で発生するやっかいな汚れです。通常の洗車では落ちにくいため、専用の油膜取り剤での除去が必要になります。
作業の際は、ガラスを傷つける硬い道具の使用や直射日光下での作業を避け、適切な除去剤を選びましょう。自分での作業が難しい場合は、1500~3000円程度でプロに依頼することも可能です。また、油膜の完全な防止は困難ですが、定期的なクリーニングなど日頃のメンテナンスによって付着しにくくできます。
視界がクリアになれば、自然と気分もすっきり。いつもは敬遠しがちな雨の日のドライブも、事前にしっかり対策して快適に楽しみたいものですね。