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ブレーキパッドは自分で交換できる?必要な道具や手順を紹介!

ブレーキパッドは自分で交換できる?必要な道具や手順を紹介!
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「ブレーキパッド」は、クルマのブレーキシステムのなかでも特に重要な部品の1つです。定期的にメンテナンスをして、状態によっては交換する必要もあります。今回の記事では、ブレーキパッドの点検・交換方法と注意点について詳しく解説します。

ブレーキパッドとその役割とは

「ブレーキパッド」は、タイヤと連動して回転するブレーキローターを挟み込むように設置されています。ブレーキをかけるとブレーキパッドがブレーキディスクに押し付けられ、その摩擦によって自動車が減速・停止するという仕組みです。

ブレーキパッドの交換が必要な理由

ブレーキパッドは自分で交換できる?必要な道具や手順を紹介!

新品時には厚さが約10mmあるブレーキパッドですが、使用するにつれて少しずつ摩耗していきます。残量が少なくなると性能が低下してブレーキが利きづらくなったり、異音が発生したりします。さらにそのまま使用を続けていると故障や事故の原因になることもあるので、状態に応じて交換が必要です。

ブレーキパッド点検・交換の目安

ブレーキパッドを点検・交換するタイミングの目安となるのは以下の3つです。

走行距離や厚さの目安

ブレーキパッドの残量は、ホイールを外してブレーキキャリパーの点検窓から目視で確認できます。新品時の約半分である5mm程度であれば次の車検時に交換すれば問題ありませんが、厚みが2~3mmになったらすみやかに交換しましょう。クルマの使用環境にもよりますが、走行距離が3~5万kmに達したタイミングを目安に点検することをおすすめします。

ブレーキフルードの残量の目安

ブレーキフルード(ブレーキオイル)は、リザーバータンクの上限ラインと下限ラインとの間に液面があるのが正常な状態です。液漏れなどの異常がないのに下限ラインを下回る場合は、ブレーキパッドの残量が少なくなっている可能性があります。さらに、ブレーキパッドの残量不足でリザーバータンクの液面が下がると、メーター内のブレーキ警告灯が点灯することがあります。パーキングブレーキを解除しているのにもかかわらず点灯し続けるときは何らかの不具合を疑いましょう。

異音がしたとき

多くの国産車には「パッドウェアインジケーター」という装置が取り付けられており、パッドの寿命が近づくとブレーキをかけたときに「キーキー」や「ゴーゴー」といった異音を発して摩耗を知らせてくれるようになっています。

ブレーキパッドの交換に必要な道具

ブレーキパッドを交換する際は、お使いの車種に適合する新品のブレーキパッドのほかに、以下の工具が必要です。

  • ジャッキとジャッキスタンド(リジットラック)…車体をジャッキアップして固定する
  • レンチ類…ホイールやキャリパーの脱着
  • キャリパーピストンツール(またはC型クランプ)…キャリパーピストンを戻す
  • S字フック…外したキャリパーを一時的につり下げておく
  • ブレーキパーツクリーナー…ブレーキ周辺の油分や汚れを除去する
  • グリス…振動を抑えて異音を防ぐ
  • 作業用手袋…ケガや汚れの防止

ブレーキパッドの交換の手順

ここからは、ブレーキパッドを自分で交換する手順についてご紹介します。

ホイールを取り外す

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まず、安全に作業を行うため車体をしっかり固定します。平らな場所に駐車し、パーキングブレーキをかけ、タイヤに車止めを設置してクルマが動かないようにします。

クルマのジャッキアップポイントを確認したら、あらかじめホイールナットを少し緩めておきます。ジャッキアップした後だとタイヤが回転してナットが緩めにくくなるため、クルマがまだ地面についている状態で行うのがポイントです。ナットは対角線上の順に少しずつ緩めると、バランスよく作業できます。

次にジャッキで車体を持ち上げ、ジャッキスタンドで支えます。これは万が一ジャッキが外れた場合の事故を防ぐための重要な手順です。

ジャッキアップできたら、先ほど緩めたホイールナットを完全に外し、ホイールを取り外します。

古いブレーキパッドを取り外す

ホイールを外すと、ブレーキローターとブレーキキャリパーが見えてきます。ブレーキパッドはこのキャリパーの内側に装着されています。まず、ブレーキキャリパーを固定しているボルトを確認します。通常、キャリパーは2本のボルトで固定されており、最初に下側のボルトだけを外します(車種によっては両方のボルトを外す必要があります)。

次に、上側のボルトを軸にしてキャリパーを持ち上げます。ブレーキホースに無理な力がかからないように、S字フックを使ってキャリパーを一時的につり下げておくと安全です。キャリパーを持ち上げると、ブレーキパッドが見えるので取り外します。

このとき、パッドの摩耗状態を確認し、特に片側だけが極端に摩耗していないかチェックしましょう。異常な摩耗がある場合は、ブレーキシステムに問題がある可能性があります。また、パッドに取り付けられている鳴き防止用のシムやスプリングは、新しいパッドへの装着時に必要になるので、紛失しないよう注意しましょう。

新しいブレーキパッドを取り付ける

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新しいパッドを取り付ける前に、重要な準備作業があります。まず、リザーバータンクのブレーキフルード量を確認し、満タンの場合は少し減らしておきます。これは、次の工程でピストンを戻したときにフルードがあふれるのを防ぐためです。

次に、キャリパーピストンを元の位置に戻します。古いブレーキパッドが摩耗している分、ピストンが飛び出している状態になっているため、専用のキャリパーピストンツールまたはC型クランプなどを使って押し戻します。ピストンをゆっくり均等に押し込み、元の位置に戻しましょう。

その後、古いパッドから取り外した鳴き防止用シムを、ブレーキパーツクリーナーでしっかり洗浄します。洗浄したシムにグリスを適量塗布し、新しいブレーキパッドに装着します。グリスはシムとパッドの接触面、そしてパッドとキャリパーの接触部分などに塗りますが、ブレーキローターと接触する面には塗らないよう注意してください。

新しいパッドをキャリパーに取り付け、スプリングなども正確に装着します。キャリパーを元の位置に戻し、先ほど外したボルトをしっかりと締め付けます。適切なトルクで締め付けることが大切ですので、可能であればトルクレンチを使用しましょう。

ブレーキフルードを確認・補充する

新しいブレーキパッドを取り付けた後、エンジンルーム内のリザーバータンクのブレーキフルードの量を確認します。通常、ピストンを戻すことで、リザーバータンク内のフルードレベルは上昇します。タンクの液面が上限(MAX)と下限(MIN)の間にあるか確認し、必要に応じて適切なブレーキフルードを補充します。

車種によって指定されたブレーキフルードは異なりますので、必ず取扱説明書を確認して正しい種類のフルードを使用しましょう。また、ブレーキパッド交換時にシステム内に空気が入るとブレーキの利きが悪くなる可能性があるので、エア抜きも必ず行ってください。

ホイールを取り付ける

交換作業が完了したら、ホイールを元の位置に戻します。ホイールナットを手で仮締めした後、対角線上の順に少しずつ締め付けていきます。最終的には、車種に適したトルクでナットを締め付けるのが理想的です。トルクレンチがあれば、メーカー指定のトルク値で確実に締め付けましょう。

ホイールを取り付けたら、エンジンをかけずにブレーキペダルを30回程度踏み込みます。これにより、キャリパーのピストンがブレーキパッドを正しく押せる状態になります。この手順を省くと、制動力がはたらかず危険な状態になる可能性があります。

すべての作業が完了したら、安全な場所で試運転を行い、ブレーキの利き具合や異音の有無を確認します。異常を感じた場合は、すぐに停車して点検するか、お近くの整備工場やカーショップなどに相談しましょう。

ブレーキパッド交換は専門家がおすすめ

ブレーキパッドの交換は技術と知識が必要な作業です。交換手順を誤るとブレーキの不具合を起こすため、専門のメカニック(自動車整備士)に依頼することをおすすめします。多くのメーカーのブレーキパッドの取扱説明書でも、整備士による取り付けが推奨されています。

費用と作業時間の目安

なお、プロに依頼した場合の交換費用は、部品代と工賃をあわせて1カ所あたり約5,000円~となっており、所要時間は30分程度です。ブレーキパッドの種類や車種、業者などによっても費用が変わるので、お近くの店舗にご確認ください。

一般的にはディーラーよりもカーショップや修理工場の方が工賃が安い傾向にあります。スタッドレスタイヤへの履き替えなど他のメンテナンスと同時に依頼したり、パッドも純正ではない商品を選ぶことで費用を抑えられる場合があります。

まとめ

ブレーキパッドは定期的な点検と交換が必要な消耗品です。目安として走行距離3〜5万km、パッドの厚みが2〜3mmになったら交換時期と考えましょう。また、キーキーという異音や、ブレーキの利きが悪くなったと感じたらすぐに点検することが大切です。

DIYでの交換も可能ですが、特殊な工具や技術が必要で、何より安全に関わる重要な部品です。不安がある場合は無理せず、専門の整備士に依頼することをおすすめします。費用も1カ所あたり5,000円程度からと、安全を考えれば決して高くない投資と言えるでしょう。

ブレーキパッドは自分自身と大切な人の命を守るための重要なパーツです。定期的なメンテナンスでクルマの安全性を高め、快適なカーライフを楽しみましょう。

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