JAFの公開資料によれば、2021年度のロードサービス出動理由1位は「バッテリー上がり」。寒冷地ではバッテリーの電圧が下がりやすいため、これからの時期は特に注意が必要です。そこで今回の記事では、もしものときに便利なアイテム「ブースターケーブル」について詳しく説明します。
目次
ブースターケーブルとは

ブースターケーブルとは、バッテリーが上がってしまった車が他の車から電気を分けてもらうために使うケーブルです。赤と黒の2本1組で販売されています。
使うタイミング
ブースターケーブルを使うタイミングは、ライトの消し忘れや何らかのトラブルによりエンジンが始動しなくなったときです。バッテリーが上がった車(故障車)と正常な車(救援車)のバッテリーをケーブルでつないでエンジンを始動させます。
ブースターケーブルの仕組み
ブースターケーブルは、プラス(+)端子をつなぐ赤いケーブルと、マイナス(-)端子をつなぐ黒いケーブルの2本1組になっており、各ケーブルの端は金属のワニ口クリップになっています。このクリップ部分でバッテリー端子を挟んでバッテリー同士を接続し、救援車のエンジンを始動させることで、故障車に電気を分けられる仕組みです。
ブースターケーブルの使い方

故障車が救援車から一時的に電力を分けてもらってエンジンを始動させる方法を「ジャンピングスタート」といいます。ここではジャンピングスタートの手順を簡単にご紹介します。
つなぐ前にするべきこと
2台のバッテリーをつなぐ前に、必ずブースターケーブル本体の点検を行いましょう。ケーブルの被膜に破損がないか、ケーブルが断線していないか、クリップ部分に異常がないかを確認します。問題のあるケーブルをそのまま使うのは危険なので絶対に避けてください。
点検が済んだら、故障車に近い安全な場所に救援車を止めてボンネットを開けておきます。
端子の組み合わせ
バッテリーによってプラス・マイナス端子の位置が違うので、間違いを防ぐために両車のバッテリーの端子の位置を確認します。プラス端子にカバーが付いていれば外しておきましょう。
つなぎ方
それぞれの端子をブースターケーブルでつないでいきます。まず赤いケーブルの片方を故障車のプラス端子に、もう片方を救援車のプラス端子に接続します。次に黒いケーブルの片方を救援車のマイナス端子に、もう片方を故障車のエンジンの金属部分(エンジンブロックなど)につなぎます。「故障車のプラス端子→救援車のプラス端子→救援車のマイナス端子→故障車のマイナス(端子ではなく金属部分)」という順番を覚えておきましょう。
誤った順番で接続したり、クリップがボディーに触れたりすると、ショートや部品の破損を引き起こす場合があるのでご注意ください。
外し方
ブースターケーブルの接続が終わったら救援車のエンジンをかけ、バッテリーが充電されるまで数分間待ちます。その後故障車のエンジンが始動できれば完了です。ケーブルを外すときは、つないだときとは逆の順番で外していきましょう。
使用できない車種はある?

ブースターケーブルを選ぶうえで注意したいのが、ケーブルに流せる電流の最大値を示す「許容電流値」です。エンジンの始動に必要な電流値は、以下のように車種によって異なります。
- 50A以下:軽自動車や400ccまでのバイク
- 80A:2000ccまでの乗用車、バイク
- 100A:乗用車、ディーゼル車、2tトラック
- 120A以上:大型トラック、トレーラーなど
必要とする電流値よりも許容電流値が小さいケーブルを使用すると、発火やショートなどの事故の原因になります(反対に、許容電流値が大きいケーブルは使用可能です)。お使いの車に搭載されているバッテリーに合ったものを選ぶようにしましょう。
ちなみに、普通乗用車のバッテリーの電圧は12Vです。高電圧(24V)のバス・トラックや、ハイブリッド車などは救援車にならないのでこちらも合わせて覚えておきましょう。
ブースターケーブルは、一度使い方をマスターしてしまえばロードサービスに頼らなくても自力で応急処置ができるようになる便利アイテムです。車内で保管しているうちに経年劣化が進んでいくこともあるので、状態に応じて買い替えも検討してくださいね。