道路脇の草が芽吹き、花が咲き始め、少しずつ春を感じる2月。しかし、北国ではまだ雪に覆われた道ばかり。春めいた地域から、ちょっと遠出で北国へ…というときに知っておくと安心な、吹雪のときに注意したいことや雪用のパーツの利用についてなど、ふだんは雪道を走らない人向けの、雪道運転時のトリビアを紹介します。
ホワイトアウトに要注意
降雪地帯では突然大雪に見舞われ、車が動けなくなったり、車内に閉じ込められたりする可能性があります。その中でも注意したいのが「ホワイトアウト」です。地表に積もった雪が強風で巻き上げられる「地吹雪」が発生すると、視界が非常に悪くなり一面が真っ白になります。これが「ホワイトアウト」で、前後左右だけでなく上下の感覚も分からなくなってしまいます。
雪道を走行していてホワイトアウトが発生した場合は、ハザードランプを点灯して、周囲の車に自車の位置、存在を知らせるようにして停車します。身動きが取れなくなった場合は、道路緊急ダイヤル(#9910)やJAFに救援(#8139)を求めましょう。状況によっては警察へ通報することも必要です。
吹雪のときには排気口がふさがらないように注意を
吹雪の中で停車すると、数分で車が雪に覆われてしまいます。車内に閉じ込められないように風下側のドアが開くかどうか定期的に確認しましょう。また、同じく注意したいのが、マフラーの排気口です。排気口が雪でふさがれると排ガスが室内に流入し、一酸化炭素中毒の恐れがあります。
車には一酸化炭素などの有害物質が発生しないよう排ガス浄化装置が装着されているものの、触媒は内部温度が一定以上に上昇しないと機能しません。一酸化炭素は無臭のため、気づきにくく危険です。排気口がふさがらないよう、排ガスの逃げ道だけでも除雪することが大切です。
ディーゼル車用の軽油は、寒冷地(現地)で給油する
冬道の走行は思いのほか燃料の消費量が多くなるため、こまめな給油をしましょう。現在、国内で販売されているレギュラーやハイオクのガソリンは-50℃以下になっても凍結する心配はありません。
しかし、軽油の場合は冷えてくると中に溶けていたワックス分(蝋分)が固まり始めます。さらに冷やされた場合には流動性がなくなるという性質を持っています。このため、JIS規格では軽油を耐寒性によって5段階に分類されており、寒冷地ではその地域の特性に合った特別の配合をして凍結を防止しています。軽油を利用するディーゼルエンジンの車で寒冷地へ向かうときは、なるべく現地(寒冷地)で給油しましょう。
豪雪地帯ではワイパーも雪用を使おう
雪道を走るときに冬用・雪道用のスタッドレスタイヤをはくように、寒冷地で運転をする場合はワイパーも雪用のものを使うと便利で安全に走行できます。
通常のワイパーは雨の日にフロントガラスについた水滴を取り去るためのものですが、雪用ワイパーは雪や氷を取り除くためのものです。雪用のワイパーブレードは、特殊なゴムカバーで覆われており、低温下でもワイパーが凍結しづらいよう設計されています。そのため、低温時の拭き取り能力の低下を最小限に抑えることができます。
寒冷地では、通常使用しているワイパーのままだとワイパーが凍り付いてしまったり、ラバーが傷みやすくなったり、雪を取り除くことができず視界が悪くなったり、雪の重みでワイパー自体だけでなく、モーターなどに負担をかけることになります。
雪道での走行は想定外のことが起こることも多く、対応を知らずにいると命にかかわることもあります。普段は特に気にならなくても雪道を走行する可能性がある場合や降雪地帯で運転をする場合は、事前の調査や準備をして行くと安心ですね。