今回は、海外にあるちょっと不思議な道路をご紹介します。それが信号のない環状の交差点、ラウンドアバウト。欧米に数多く見られ、運転中にラウンドアバウトを通ると「海外にいるな」と実感する人もいるかもしれません。しかもイギリスには、ちょっと変わったラウンドアバウトが存在します。
海外では一般的!
ラウンドアバウトの仕組みをおさらい

ラウンドアバウトとは、日本語では「環状交差点」と呼ばれます。交差点が環状で時計回りの一方通行になっており、信号や一時停止の規制を受けずに走行ができます。環状路への流入には徐行が必要ですが、環状路に通行車両がなければ一時停止なしに流入でき、タイミングを見ながら行きたい方向の道路に出て行きます。
例えば、有名なパリの凱旋門は何車線もある大きなラウンドアバウトの中心に建っており、慣れていない観光客はなかなか脱出するタイミングがつかめずに、グルグル回り続けてしまうこともあるのだとか。
こうした円形の交差点は古くから存在しましたが、イギリスでは1960年代よりラウンドアバウト導入のために調査と研究を行い、1993年にガイドラインを発行。ここで作られた設計基準に基づき、各国で導入が推進されていきました。アメリカやヨーロッパではよく見られる道路ですが日本にはあまり数がなく、32都道府県に140カ所程度のみ存在しているそうです。
イギリスには、目が回りそうな巨大ラウンドアバウトが!
そんな現代のラウンドアバウトの生みの親ともいえる国・イギリスにはなんと7個ものラウンドアバウトが組み合わさった「マジック・ラウンドアバウト」が存在します。
「マジック・ラウンドアバウト」があるのは、ロンドンから車で約1時間の位置にある郊外の街・スウィンドン。この街には、中心の円とそれを囲む5つの円、さらにそれらを包括する大きな円、合計7つで構成された巨大なラウンドアバウトが60年前に作られました。
マジック・ラウンドアバウトでは、中心円を反時計回りに、小さな円を時計回りに走ります。それぞれの道からマジック・ラウンドアバウトの中に入ってきた車は、進む方向が書かれている道へと進みます。あとは流れに乗っていけばOK。
中心円を通るのは複雑で危なっかしく見えますが、ここを通ると外側へと遠回りをせずに最短ルートで通り抜けられるようになっています。あるいは道が渋滞しているようであれば、外側の小さな円だけを経由するルートも選べます。
交通状態に応じて走りやすい道を選べるため、衝突することもなく効率的に走行できるようになっている様子。実際にマジック・ラウンドアバウトでは深刻な交通事故が30%減り、過去5年間で交通事故は1件のみだったとか。
日本でもこのラウンドアバウトの事故抑制効果が注目され、国土交通省の資料ではその理由として「交差点に進入する際の速度が下がること」「交錯箇所の数が減ること」「横断する歩行者が注意する方向が1方向のみになり、安全に渡りやすくなる」といったことが理由として考えられています。
日本からイギリスは飛行機で約14時間。自由な海外旅行が解禁された暁には、ぜひとも足を運んで複雑な交差点での運転に挑戦してみたくなりますね。