タイヤの日常点検をする際、代表的なチェックポイントとなるのがタイヤの摩耗状態。夏用タイヤにもスタッドレスタイヤにも、摩耗度合の目安となるサインが設けられていますが、そもそもこれって何を根拠に使用限度が定められているのでしょうか? 素朴な疑問について調べてみました。
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夏用タイヤの使用限度「タイヤの溝が1.6ミリ未満」の根拠は?
トレッド部がすり減って、溝が浅くなったタイヤは排水、拭水機能が低下し、滑りやすくなります。そのため、すり減ったタイヤで雨の日に濡れた道路を走行すると、スリップやハイドロプレーニングを起こしやすく危険です。そこで、夏用タイヤには摩耗度合の目安として「スリップサイン」が設けられています。このサインはタイヤの溝が1.6ミリになったとき露出するようになっており、それ以前に交換するよう法令で定められているのです(道路運送車両の保安基準第9条。)ただし高速道路を走行する小形トラックについては2.4ミリが使用限度となります。1カ所でもサインが現れたらそのタイヤは使用不可能となってしまうので、こまめに点検してサインが現れる前に交換したいところですね。
スタッドレスの使用限度「溝の深さが新品時の1/2(50%摩耗)」の根拠は?
また、冬のスタッドレスタイヤに関しても、溝がすり減るとグリップが効かなくなり冬道をとらえられなくなってしまうため、摩耗度合の目安として「プラットホーム」が設けられています。サインはタイヤの溝が新品時の50%未満になると露出するようになっており、これが現れた場合スタッドレスタイヤとしての使用はできなくなります。こちらの使用限度については、夏用タイヤのように道路運送車両の保安基準には定められていません。では、法的根拠はどこにあるのでしょうか?
各都道府県の「道路交通法施行細則」「道路交通規則」によって記載はまちまちだけど…
スタッドレスタイヤの使用限度については、各都道府県で定められている「道路交通法施行細則」「道路交通規則」に記載があります。ただ、この法令は全国共通ではなく、自治体ごとに記載が少しずつ異なります。積雪・凍結時の防滑措置において、「接地面の突出部が50パーセント以上摩耗していないものに限る」「効果限界線以上に摩滅していないものに限る」などと明記している自治体もあれば、未記載の自治体もあります。とにかく「プラットホームが露出していない」という基準さえ満たしていれば、どこへ行っても間違いないということになりますね。
タイヤの使用限度を表す数字やサインには、それぞれ根拠があることがわかりました。ただし、溝が十分に残っていても、ゴムの劣化などでタイヤ交換が必要になる場合もあります。少しでも異変を見つけたら、すぐに専門店に相談してみてください。