わたしたちの安全運転をサポートしてくれる、高速道路の交通標識。しかしときどき「アレなに?」と思ってしまう、見慣れないものを目にすることがありませんか? 教習所では教わらない、交通標識の雑学をご紹介します。
高速道路で見かける「□と+」のペア標識は?
まずは、黄(オレンジ)色と青色からなるこの標識。雪の多い地域の高速道路を走っていると見かけることも多いのではないでしょうか。これは「投雪禁止区域指定標識」といい、除雪車のために配置されている業務用の標識です。
除雪車は基本的に雪をかき集めて吹き飛ばして除雪作業を行うため、民家や道路など雪が落ちると危険な場所が隣接する区域では、この標識で除雪車の稼働を制限しているのです。 四角形のものが区域の始点、十字のものが終点をあらわしますが、これらは除雪車の投雪口の開閉をイメージしており、それぞれの標識を「グー」「パー」、2つ合わせて「グッパー標識」と呼ばれることもあるそうです。
日本では全部で18箇所!「アジアハイウェイ標識」
お次は、白背景に黒字で「AH1」の文字が大きく書かれたこちらの標識。よく見ると大きな文字の下に「ASIAN HIGHWAY」と表記されています。このアジアハイウェイとは、アジア23カ国を横断するように結ぶ国際道路網のことで、国際間の経済・文化の発展や友好親善を目指して計画されたものなのだとか。言うなれば、“現代のシルクロード”ですね。
アジアハイウェイは8本のルートからなり、そのうちの1本「アジアハイウェイ1号線」をあらわすのが「AH1」の標識というわけです。1号線は東京の日本橋を起点に、東名高速道路から西側の主要な高速道路を通って釜山へつながるフェリーに連絡し、13カ国を経由してトルコのカプクレ(ブルガリアとの国境)までの約2万kmを結ぶルート。さらにそこから欧州自動車道路にも接続しています。よく使っている高速道路も、遥かかなたの国につながっていると思うとなんだか不思議な気持ちになりますね。
徐々に消えゆく、公団文字(公団ゴシック)
最後は、高速道路標識独特のフォント(書体)「公団文字(公団ゴシック)」。公団文字は走行中でも読みやすいように独自にデザインされたもので、1963年日本初の高速道路である名神高速道路が開通したときから使われてきました。しかし長年にわたって1字ずつ手作業でデザインしてきたため文字ごとのバラつきが目立つようになり、さらに近年は視認性の優れたフォントが多く開発されていることから、2010年には新フォントが採用されることに。
新たに設置される標識や老朽化によって交換される標識には新フォントが使われ、「公団文字」は徐々に高速道路から姿を消しています。手作業ならではの味わい深いフォントが見られなくなるのはちょっぴり寂しいですが、ファンによって再現フォントも製作されているようですよ。
普段は何となく見かけていても、知れば知るほど奥が深い交通標識。冬のお出かけ先で高速道路を利用する際にはぜひ思い出してみてくださいね。くれぐれも、わき見運転にはご注意を。