クルマの取扱説明書などで、「無鉛レギュラーガソリン」といった表記を見かけたことはありませんか? 「無鉛レギュラーガソリン」というのはガソリンスタンドでいうレギュラー、「無鉛プレミアムガソリン」はハイオクのことを指しますが、この「無鉛」とはどのような意味をもつのでしょうか。今回の記事では、無鉛・有鉛ガソリンの特徴と違いについて解説します。
目次
無鉛ガソリンと有鉛ガソリンの違い
「無鉛ガソリン」とは、その名のとおり「鉛」が入っていないガソリンのことです。
一方、オクタン価を上げて異常燃焼を防いだり、バルブシートを保護したりするために、鉛が添加されたガソリンのことを「有鉛ガソリン」といいます。
異常燃焼とは「ノッキング」ともいい、エンジンの燃費を高めようとして圧縮比を高くするとノッキングが起こりやすくなるため、ノッキングを防ぐ目的でも有鉛ガソリンが使用されていたのです。
どうして有鉛ガソリンはなくなった?
かつては広く使われていた有鉛ガソリンですが、1970年頃になると、排出ガスに含まれる鉛化合物の毒性や環境汚染、排出ガスクリーナーの触媒の劣化などの問題が指摘されるようになりました。これを理由に、1976年以降は自動車用レギュラーガソリンが完全に無鉛化。1987年にはハイオクガソリンも無鉛化され、日本ではすべての自動車用ガソリンが無鉛ガソリンとなったのです。
有鉛仕様のクルマはまだある?
1971年度末(1972年3月)までに国内で製造・販売されていたガソリンエンジン車はすべて有鉛仕様でした。そのため現在も中古車販売店などで当時の状態のままの旧車が流通している可能性があります。
有鉛仕様のクルマで無鉛ガソリンを使うには
自動車用の有鉛ガソリンは現在生産・販売が終了しているため、有鉛仕様のクルマに乗る際は無鉛ガソリンを使用することになります。クルマに負担をかけないための2 つの対策をご紹介します。
バルブシートを交換する
一つは、バルブシートを交換する方法です。無鉛ガソリンをそのまま使うと、鉛による潤滑作用がないためバルブシートが摩耗しやすくなります。無鉛ガソリン専用のバルブシートに交換しておくことで対処できますが、費用がかかるのがデメリットです。
添加剤を混ぜて使用する
二つ目は、有鉛用の添加剤を無鉛ガソリンに混ぜる方法です。「有鉛 添加剤」などのキーワードで検索すれば、さまざまな製品が出てくるでしょう。混合比は製品によって異なるので、使用前に説明書をご確認ください。
ただし、上の二つはあくまでも推奨されている対策です。有鉛ガソリンが指定されているクルマに無鉛ガソリンを給油したからといって、すぐに性能が低下したり故障が発生したりするというわけではありません。長く乗りたいクルマであればきちんと有鉛対策をするに越したことはありませんが、ときどき乗る程度であれば、経年劣化したバルブシートの打ち直しのタイミングで無鉛ガソリン専用のものに切り替えるという形でも良いかもしれません。
なお、有鉛レギュラー仕様の場合は無鉛レギュラーを、有鉛プレミアム仕様の場合は無鉛ハイオクを給油する必要があるという点だけは必ず覚えておきましょう。
有鉛・無鉛ガソリンの違いについてご紹介しました。国産の旧車や輸入クラシックカーなどをこれから購入する予定がある方は、ぜひ頭の片隅に入れておいてくださいね。