ビルを貫通する高速道路も!大阪に2か所ある「高速道路が通るビル」
- トリビア
- 2020.11.242022.05.25Update
西日本の最大都市・大阪。観光スポットも多く、国内外からたくさんの観光客を集めています。公共交通が縦横に走る大阪での観光は電車や地下鉄を利用することが多いでしょう。しかし、大阪には車でしか行けない「高速道路が通るビル」が、2か所もあることをご存じでしょうか?
目次
高速道路がビルを貫通!
「TKPゲートタワービル」
大阪市福島区にある、阪神高速道路11号池田線から大阪駅方面へと向かう梅田出口に差し掛かると不思議な光景が広がります。
ビルの真ん中を阪神高速道路が貫いており、高速を降りようとするとまさにビルに飛び込んでいくような感覚が体験できます。この外観で有名なビルの名前は「TKPゲートタワービル」。ただし、この内部はトンネルなのでビルの中がクルマの中から見られるわけではありません。
ビルの中に吸い込まれるように
梅田出口方面へ向かってカーブを抜けると目の前に突然ビルが現れるため、初めて走る人は驚くかもしれません。ビルに吸い込まれるかのように進んでいくと、中は1車線道路のトンネルになっています。トンネル内は急な左カーブになっているので速度に注意しましょう。
一方、TKPゲートタワービルのエレベーターからは、ガラス越しに間近で高速道路の本線を眺めることもできます。ビル1階のテナント案内板には5~7階に「阪神高速道路」と記載がありますが、エレベーターは止まらず、道路とビルは完全に分離した構造となっています。また、防火や落下物防止などのために、ビル内部とその前後5メートルの道路上空・側面はシェルターで覆われています。
なぜこんな高速道路が建設できたのか?
この高速道路は、平成元年に道路法が改正されて創設された「立体道路制度」の適用第1号としてつくられたものです。
特に大都市の中心部では、道路建設では大規模な用地買収が必要とされ、巨額の費用がかかります。また、地権者の協力を得るのも困難となるケースが多く見られます。
この問題を解消するために道路法が改正され、道路と地権者が共存する道が開かれました。それが「立体道路制度」です。これにより道路の上下の空間に建物を建設できるので、土地を有効活用し、道路と建物を一体的に整備することができるようになりました。
高速からビルに入るとそこはPAだった
「湊町リバープレイス」
大阪にはこの他にも立体道路制度によって建てられた施設があります。浪速区にあるイベントスペース「湊町リバープレイス」の2階にある「湊町パーキングエリア」は、阪神高速道路の湊町出口の出路を分岐して、PAの入り口に到達する形になっています。
パーキングエリアには何がある?
湊町パーキングエリアには、普通車用駐車場が21台(高さ2.1m、長さ5.0mまで)と身障者用駐車場が2台設けられており、大型車の駐車はできません。売店やレストランはなくこぢんまりとしたPAですが、トイレや自動販売機、休憩所、道路交通情報板、スマホ充電器の貸し出し、無線LANなど、ドライブの小休止にうれしいサービスがひととおり揃っています。なお、同じビルにはライブハウス「なんばHatch」などの施設も入っていますが、PAから別の階に行くことはできません。
ここで一つ注意したいのが、湊町パーキングエリアを利用すると湊町出口からは出られない点です。PAを出る際は阪神高速道路の本線に合流し、最寄りの出口は信濃橋出口となります。
立体道路制度は都市部で効率的に道路建設をするために生み出された制度ですが、そのおかげでユニークな施設が各地に誕生しました。ドライブをしていてユニークな建物や道路に出会ったら、それらが生まれた背景に思いをはせるのも楽しいかもしれませんね。