高速を走る前におさらいを!高速道路で起こりやすい「○○現象」(前篇)
- トリビア
- 2020.08.21
緊急事態宣言の解除後、徐々に交通量が増えつつある高速道路。この夏、久しぶりに高速を走るという方も多いのではないでしょうか。また、業務ドライバーの方にとっては、道路の混雑が気になってきているかも。夏の高速道路での安全走行のために、おさらいしておきたい3つの「高速走行中に起きやすい現象」をご紹介します。
雨の降り始めに起きやすい「ウエットスキッド現象」
雨の日の運転は、視界が悪いうえにぬれた路面でタイヤが滑りやすくなり、晴天時の運転よりも注意が必要になります。
首都高速道路株式会社が発表した「晴天・雨天別の事故件数の比較」の2019年度のデータによれば、2019年度の雨天時間は年間総時間の6%程度にすぎないのに、雨天時に発生した交通事故件数は、同年度の総交通事故件数の18.5%にも上ります。
晴天時・雨天時の1時間単位での事故件数で比較すると、晴天時は「1時間に0.95件」、雨天時では「1時間に3.34件」。晴天に比べると、雨天の方が同じ時間で約4倍の交通事故が起きているという計算になります。
その雨天時に起こりやすい現象が「ウエットスキッド現象」です。雨の降り始めに、路面の油や土砂などが雨と混ざって膜が生じ摩擦係数が低下するため、急ブレーキを踏んだときにスリップしてしまう現象をいいます。
速いスピードで走行する高速道路では、ウエットスキッド現象によって重大な事故につながる可能性が高まります。特に、雨の降り始めに発生しやすいので、雨が降ってきたらスピードを落とし、急発進、急ブレーキ、急ハンドルをしないように心がけることが大切です。
トレーラー特有の「ジャックナイフ現象」
昼夜を問わず、全国へ荷物を運んで高速道路を走る大型貨物トレーラー。ご存じの通り、大型トレーラーは運転席があるトラクター部分と荷物などを載せているトレーラー部分に分かれています。その機構がゆえに発生する特有の現象もあります。
トレーラーが急発進をしたときや急にハンドルを切ったときに、トラクター部分は停止してもトレーラー部分が慣性の法則のためにそのまま進行してしまい、連結部分を起点に「くの字」に曲がってしまうことを、折りたたみナイフ(ジャックナイフ)になぞらえて「ジャックナイフ現象」といいます。
この状態になるとコントロール不能となり、横転したり後続車をトレーラーに挟み込む事故につながったりする可能性がありますので、トレーラーの運転手はジャックナイフ現象の原因となる急ブレーキ、急ハンドルを防ぐために、カーブの手前で減速する、急な車線変更を行わないことが重要です。
また、高速道路でトレーラーの近くを走るときには、ジャックナイフ現象が起こる可能性を考慮に入れて、車間距離をあけるなど、周囲の車も注意をして運転をしたいものです。
窓から見える流れる景色が引き起こす「接近現象」
運転時に、窓の外を流れる景色を見てドライバーは速度を感じています。この視覚刺激を「流体刺激」と呼びます。
長い時間、高速で運転していると、流体刺激によって生じる疲れを回避するため、無意識に視線を遠くに移したり、前にいる車に視線を移したりします。そんなとき、前の車などに視線が集中してしまい、知らず知らずのうちに接近してしまう「接近現象」が起こることがあります。
接近現象によって、いつの間にか車間距離が詰まり、最悪の場合には前の車に追突する事故が起きてしまうケースもあります。自分自身が、ウィンカーやナンバープレートに必要以上に注目していると感じたり、車間距離が短くなり過ぎているといった危険を感じた場合には、視線を1点に集中せず、できるだけ周囲に視線を配るようにしましょう。
今回ご紹介したような高速道路で起きやすい現象に注意しつつ、適度に休憩を取り、無理の無い運転を心がけたいですね。
後篇では、さらなる「高速道路で発生しやすい○○現象」を紹介します!