ABSって何?基礎知識から注意点まで解説!
- トリビア
- 2020.02.072023.05.26Update
現在ほとんどのクルマに標準装備されている「ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム)」。緊急時に作動する装置のため、名前は知っていても一度も使ったことがないというドライバーも多いのではないでしょうか。今回は、そんなABSの基本について解説します。
目次
ABSとは
ABSとは「Anti-lock Brake System」の頭文字をとった略称で、急ブレーキをかけたときなどにタイヤがロックするのを防ぐ装置です。車両の進行方向の安定性を維持し、ハンドル操作による障害物回避の可能性を高める効果があります。
ABSはもともと鉄道車両のフラット現象(車輪とレールの磨耗によって車輪外周に平坦面ができ、車輪がうまく回らず騒音が出る現象)や飛行機のタイヤのバーストを防ぐために生まれた装置で、ドイツのメルセデスベンツが1979年に発表したSクラスから本格的に四輪自動車に採用されるようになりました。
いまではほとんどの車で標準装備となっており、以前は同じモデルでABS搭載・非搭載が選べたバイクに関しても2018年10月からは新型車へのABS搭載が義務化されました(継続生産車などは2021年10月1日以降生産分から適用)。
ちなみにABSと似たような機能に「横滑り防止装置」がありますが、ABSは止まるときの横滑りを防ぐ装置であるのに対して、横滑り防止装置は曲がるときの横滑りを防止するという違いがあります。
ABSの使い方と仕組み
ABSを正しく作動させるためには、正しい使い方を踏まえる必要があります。ここではABSの使い方とその仕組みについてご紹介します。
ABSの使い方
ABSを作動させたいときは、ブレーキペダルを力いっぱい踏み続けます。作動するとブレーキペダルやハンドルが細かく振動したり、「グググ」という音が聞こえたりすることがありますが、これらはすべて正常な動作なのでそのまま踏み続けましょう。
ABSの仕組み
急ブレーキをかけたときや、滑りやすい路面などで作動する「ABS」。ブレーキペダルを強く踏み続けて
- タイヤがロック(回転が止まること)しそうになる
- ABSが作動してブレーキ力が弱まる
- タイヤの回転が回復する
- ABSによって最適なブレーキ力に調整される
この1~4が素早く繰り返されることで車体の安定性が保たれ、ハンドル操作が効きやすくなり、障害物なども避けやすくなる効果があるのです。
ABSランプについて
クルマのメーターパネルに表示される警告灯のなかには、ABSの状態を知らせてくれるものもあります。
ABSランプが点灯する原因
ABSやブレーキアシスト機能などに何らかの異常があると、ABSランプ(ABS警告灯)が点灯したままになります。この状態ではABSが作動しませんが、普通のブレーキ性能は確保されているので落ち着いて対処しましょう。
ABSランプが点灯したときの対処法
通常、各種警告灯はキースイッチ(電源ポジション)をONにしたときに一斉に点灯して数秒後に消灯するようになっています。ABSランプに限らず、警告灯が1つでも点灯・点滅し続ける場合はすみやかに販売店などにご相談ください。
なお、ABSが装備されたクルマには「ABSランプ」という警告灯がついています。正常に作動しているときは消えていますが、これが点灯したときはABSまたはブレーキアシストに異常が発生している可能性があります。使用頻度が少なくても、もしものときの重大事故を防ぐ大事な装置。すみやかに整備工場で点検・修理を受けることをおすすめします。
ABSの注意点
最後に、ABSを使ううえでの注意点を2つご紹介します。
ブレーキは踏み続ける
ABSを確実に作動させるために、ブレーキペダルはしっかりと踏み続けましょう。運転席には深く腰掛け、ブレーキを踏み込みやすい靴を履いておくことも大切です。
前述したように、ABSが作動している間は振動を感じたり、いつもと違う音が聞こえたり、ブレーキペダルが固く感じたりすることもありますが、これらはすべて正常です。ここで驚いてブレーキを緩めると正常に作動しなくなってしまうので注意しましょう。
制動距離について
また、大前提として覚えておきたいのが「ABSがあるからといって必ずしも制動距離が短くなるとは限らない」ということです。ABSはあくまでも緊急時の補助装置と考え、適切なスピードと十分な車間距離を保つなどの安全運転を心がけましょう。
なお、つぎのような状況では、ABSのないクルマと比較して制動距離が長くなることもあるのでご注意ください。
- 砂利道や新雪の深い積雪路
- 凸凹道などの悪路
- 道路の継ぎ目や段差などを乗り越えるとき
- タイヤチェーン装着時
まとめ
いざというときに便利な「ABS」ですが、過信は禁物です。機能をしっかりと理解したうえで、上手に付き合っていきましょう。