事故などで発生する「サブマリン現象」とは?予防対策とは?
- トリビア
- 2019.07.262021.04.21Update
クルマやドライバーに起こり得るさまざまな「○○現象」。ON THE ROADではこれまで数多くの現象を取り上げてきました。今回は、乗車している人がシートベルトから抜けて座席から滑り落ち、足元の空間にもぐり込んでしまう「サブマリン現象」について解説します。
車内で起こるサブマリン現象とは
クルマが強い衝撃を受けると、当然ながら乗っている人にも影響が及びます。速度が上がるとブレーキ時の制動距離が変わるように、衝撃力も変わって来ます。衝突時の運動エネルギーと速度との関係は、「クルマの速度の2乗に比例」して大きくなります。速度が2倍になれば衝撃力は4倍に、速度が3倍になれば衝撃力は9倍にもなるのです。
時速40kmでコンクリートの壁に衝突した場合、約6mの高さから、時速60kmの場合は約14mの高さから地面に落ちたときと同等の衝撃になるといわれています。そして人にかかる衝撃はどのくらいになるのでしょう? 時速40kmで衝突したとき、体重の約30倍の衝撃が加わるとされています。
この強い衝撃によって、乗車している人がシートベルトから抜けて座席から滑り落ち、足元の空間にもぐり込んでしまうことを「サブマリン現象」と呼びます。これはクルマに限らず、飛行機などほかの乗り物でも起こる現象です。
「サブマリン現象」が起こりやすいタイミングと原因
わたしたちのクルマで「サブマリン現象」が起こりやすいタイミングとしては、急ブレーキをかけたときや、衝突などの事故が起こったときなどが挙げられます。特に、座席のリクライニングを深く倒した体勢だと、衝突時の衝撃で腰のシートベルトが腰から外れやすくなり、サブマリン現象も起こりやすくなります。またシートベルトの着用位置がずれているときも、起こりやすくなってしまいます。
特に子どもは体が小さいためシートベルトが本来の機能を発揮できず、サブマリン現象のはずみで首や腹部がベルトで強く圧迫されてしまう場合があります。エアバッグの効果が失われたり、車内に投げ出されてしまったりする危険があるため、十分な注意が必要です。
子どものサブマリン現象への対策は?
子どものサブマリン現象の対策に効果的なのが、「チャイルドシート」。6歳未満の子どもには法律で使用義務がありますが、JAFと警察庁の調査によると1~4歳までの使用率は全体の約6割、5歳ではなんと4割未満にまで減少していました。
子どもの成長スピードや体格には、個人差があります。大人のシートベルトは140cm以上の体型を前提としていますので、身長の低い子どもにはチャイルドシートやジュニアシートを使って、正しくシートベルトを着用させましょう。
また、大人も油断は禁物! シートを寝かせた状態だとサブマリン現象が起こりやすくなるので、なるべく正しい姿勢で乗車できるよう心がけましょう。
重大な事故にもつながるクルマのさまざまな現象は、ドライバーはもちろんのこと、同乗者もきちんと知っておく必要があります。正しい使い方や運転方法を身につけ、安全なお出かけを楽しんでくださいね。