カー用品店やガソリンスタンドなどでときどき見かける、「タイヤに窒素」という宣伝文句。もともと空気中の約80%を占めている窒素ですが、タイヤを窒素だけで満たすと一体どんなメリットがあるのでしょうか。遠出も多くなるこれからのシーズン、安全なドライブのために知っておきたい「タイヤの窒素(湿度ゼロのドライ窒素)」について解説します。
その1:空気圧が下がりにくい
タイヤの空気圧が下がる原因のひとつに、タイヤ内の微量の酸素がゴム分子の隙間に入り込んだり通り抜けたりすることが挙げられます。しかし不活性ガスの窒素は、酸素にくらべて分子の動きが遅いため、ゴム膜を透過しにくいといわれています。タイヤ内部の空気をすべて窒素に入れ替えることで、空気中の20%を占めていたゴム膜を透過しやすい酸素がなくなることにより、結果的に適正な空気圧を長く保てるという仕組みです。空気圧が下がりにくいとはいっても、窒素が全く抜けないわけではないので定期的な点検はお忘れなく!
その2:タイヤやホイールを傷めにくい
タイヤ内部にはスチールコードなどの金属パーツが使われています。これらのパーツはゴムで覆われているものの、ゴムを通り抜ける酸素が金属をサビ付かせる原因に。窒素は金属と反応しないため、タイヤのパーツを傷めにくいというメリットが注目されています。また、現在ほとんどの乗用車に採用されているチューブレスタイヤは、ホイールがタイヤ内部の空気に接しているため、空気中の酸素や水分の影響をそのまま受けてしまいます。水分を取り除いたドライ窒素を充填することで、ホイールのサビも防止でき、長く大事に使えるというわけです。
その3:温度変化に強い(変化しにくい)
窒素は、化学反応や燃焼が起きない不活性ガス。水分を含まないドライ窒素は温度変化による内圧変化が起こりにくく、安定した走行ができるため、レースカーのタイヤに用いられてきました。ドライ窒素は低温でも凍らないので、飛行機のタイヤにも使われています。温度変化に強いというメリットは、乗用車においても夏場や高速道路での乗り心地アップに期待できそうですね。
窒素の注入料金は店舗にもよりますが、タイヤ1本につき500円程度~が相場。一度注入したらそれ以降の補充は無料という店舗も多いようです。気になる方は、夏のお出掛け前にぜひお近くのカー用品店やガソリンスタンドに問い合わせてみてください。