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【保存版】ハイオクとレギュラーの違い|燃費・価格差・入れてはいけない車

【保存版】ハイオクとレギュラーの違い|燃費・価格差・入れてはいけない車
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ガソリンスタンドで給油するとき、「ハイオク」と「レギュラー」どちらを選べばいいか迷ったことはありませんか? 値段が違うのは分かるけれど、実際にどんな違いがあるのか、自分の車にはどちらが適しているのか、意外と知らない方もいるかもしれません。

今回は、ハイオクとレギュラーの違いについて基礎から分かりやすく解説します。間違った燃料を入れてしまった場合の対処法や、よくある疑問への回答も含めて、ドライバーが知っておくべき情報をまとめました。

基本の知識:何が違うのか?

ハイオクとレギュラーの最も大きな違いは、「オクタン価」という数値にあります。まずはそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

違いはオクタン価

ガソリンの品質を示す重要な指標が「オクタン価」です。オクタン価とは、エンジン内部で起こる異常な燃焼現象(ノッキング)に対する抵抗力を数値化したものです。数値が高いほど安定した燃焼を維持できることを意味しています。日本では、レギュラーガソリンは89以上、ハイオクガソリンは96以上と規格で定められています。

なお、価格面では、ハイオクガソリンの方がレギュラーよりも1リットルあたり10円程度高く設定されていることが多いです。

ハイオクの役割:高圧縮・過給エンジンでノッキングを防ぐための燃料

ハイオクガソリンが存在する理由は、高性能エンジンの特殊な環境に対応するためです。

高圧縮比のエンジンでは、燃料と空気の混合気がより高い温度と圧力にさらされます。このような厳しい条件下では、オクタン価の低いレギュラーガソリンでは自然発火しやすくなり、ノッキングが起こりやすくなってしまいます。ハイオクガソリンは、こうした高負荷な環境でも安定した燃焼を実現するために開発された燃料なのです。

オクタン価とノッキングの仕組み

エンジンの正常な動作について理解するために、ノッキングという現象とその対策システムについてさらに詳しく説明します。

ノッキングとは:早期自己着火による異常燃焼

ノッキングは、エンジントラブルの元になる燃焼現象の一つです。本来であれば、スパークプラグが点火するタイミングで燃料が燃焼するはずが、ノッキングでは点火より早く、燃料が勝手に発火してしまいます。

この現象が起こると、ピストンの上昇と爆発圧力が衝突し、エンジン内部で金属音や振動が発生します。軽微なノッキングであっても、エンジンの出力低下につながり、そのまま放置するとピストンやバルブなどの重要部品を損傷させる恐れがあります。

ノックコントロールシステム

現代の車には、ノッキングを検知して自動的に対処する「ノックコントロールシステム」が搭載されています。このシステムの中核となるのが「ノックセンサ(ノックセンサー)」です。

ノックセンサは、エンジンブロックなどに取り付けられる振動センサで、内部の圧電素子がエンジンの振動を電気信号に変換します。ノッキング発生時には通常より大きな振動が生じるため、発生する電気信号も増大します。

この信号をECU(車両のさまざまなシステムを制御するコンピューター)が監視することで、ノッキングの発生を即座に検知し、点火タイミングを調整してノッキングを抑制します。この仕組みにより、多少オクタン価が不足した燃料を使用してもエンジンを保護できるようになっているのです。

どの車にどちらを入れる?(車種・エンジン別)

燃料選びで最も重要なのは、愛車のエンジン仕様を正しく把握することです。メーカーが指定した燃料を使用することで、エンジン本来の性能を発揮でき、長期間にわたって安心して使用できます。

ハイオク指定車(高圧縮/ターボ/直噴高出力):原則ハイオク必須

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スポーツカーや高級車、一部のターボ車などに多いハイオク仕様車(無鉛プレミアムガソリン仕様車)は、ハイオクガソリンの使用を前提に設計されているため、レギュラーガソリンでは性能が低下する場合があります。

特に「ハイオク専用」と明記されている車両の場合、レギュラーガソリンの使用はエンジン破損や重大な故障や安全上のリスクにつながるおそれがあるため、使用しないでください。

レギュラー指定車:原則レギュラーでOK(ハイオクに替えても体感差は小さい)

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一般的な乗用車の多くは、レギュラーガソリン仕様車(無鉛レギュラーガソリン仕様車)として設計されています。これらの車両は、レギュラーガソリンで最適な燃焼が行われるよう調整されているため、基本的にはレギュラーガソリンの使用で十分です。

誤給油・混合時の対処

万が一間違った燃料を入れてしまった場合でも、適切に対処すれば基本的には問題ありません。状況別の対処法をご紹介します。

ハイオク指定にレギュラーを入れた場合

ハイオク指定車にレギュラーガソリンを入れてしまった場合、まず慌てる必要はありません。現代の車は、多少の燃料違いではすぐに故障することはほとんどないからです。

ただし、走行中は急加速や高回転での運転は控え、穏やかな運転を心がけてください。そして、できるだけ早めにハイオクガソリンで満タンにして、タンク内のレギュラーガソリンを希釈することが重要です。ハイオクガソリンの比率が高くなれば、徐々に本来の性能に戻っていきます。

レギュラー指定にハイオク

レギュラー指定車にハイオクガソリンを入れた場合も、基本的には問題ありません。そのまま通常通り走行して、ガソリンを消費してから次回給油時に指定のレギュラーガソリンに戻せば大丈夫です。

メーカーの公式Q&Aや取扱説明書での記載

各自動車メーカーも、燃料に関する指針を公式サイトのQ&Aや取扱説明書に記載しており、基本的な考え方は共通しています。

基本は指定されたガソリン(無鉛プレミアム or 無鉛レギュラー)を使う

すべてのメーカーが推奨しているのは、取扱説明書に記載された指定燃料の使用です。「無鉛プレミアムガソリン」(ハイオク)指定車にはハイオクガソリンを、「無鉛レギュラーガソリン」(レギュラー)指定車にはレギュラーガソリンを使用することが基本となります。

新車や中古車を手に入れた際は、初めに必ず取扱説明書で指定燃料を確認する習慣をつけましょう。

相互に利用することは可能だが性能などに影響が出ることも

緊急時など、やむを得ない事情で指定以外の燃料を使用することは可能ですが、メーカー各社は性能への影響があることを明記しています。特にハイオク指定車にレギュラーを使用した場合は、カタログ値通りの性能を発揮できない可能性があると注意喚起されています。快適な使用と適切なメンテナンスのためには、やはり指定燃料の使用が最適です。

海外表記との違い(つまずきポイント)

海外で給油する際や、輸入車のオーナーが気をつけるべき点として、オクタン価の表記方法の違いがあります。

日本の表記はRON、北米はAKI(RONとMONの平均)

日本では「RON」(リサーチ・オクタン価)という測定方法でオクタン価を表示していますが、アメリカなど北米では「AKI」(アンチノック・インデックス)という別の方法を採用しています。

AKIは、RONとMON(モーター・オクタン価)の平均値で算出されるため、同じガソリンでもAKI表示の方が数値が低くなります。

異なる測定方法による、値の違い

アメリカのガソリンスタンドの給油機。オクタン価が数字で表示されている

日本のオクタン価設定はレギュラー89以上・ハイオク96以上、アメリカのオクタン価設定はレギュラー87・ハイオク91~92程度となっているため、一見すると日本のレギュラーとアメリカのハイオクにはほとんど差がないように思えます。

しかし、実際にはアメリカのAKI表示は日本のRON表示より4〜5程度低い数値になる傾向があるため、単純な比較はできません。具体的にはアメリカのハイオクガソリンの値「91~92」をRON換算すると「96~97」となり、日本のレギュラーガソリンとは差があることが分かります。海外での給油時は、この表記の違いを理解したうえで適切な燃料を選択することが大切です。

FAQ

最後に、ハイオクとレギュラーの違いに関して、よく寄せられる質問にお答えします。

Q:ハイオク指定車にレギュラーを継続使用したら?

現代のハイオク指定車は、ノックコントロールシステムにより、レギュラーガソリンを使用してもある程度エンジンを保護できます。しかし、継続的な使用は本来の出力や燃費性能を発揮できないだけでなく、長期的にはエンジンに悪影響を及ぼす恐れがあります。

コストを抑えるためにレギュラーガソリンの使用を検討される方もいますが、将来の修理費用を考えると、指定燃料を使用する方が結果的にお得になる場合が多いでしょう。

Q:ハイオクでパワーアップは本当?

「レギュラー車にハイオクを入れるとパワーアップする」という話を耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、先述のとおり、レギュラー仕様車はレギュラーガソリンで本来の性能を発揮するように設計されています。

確かにハイオクガソリンには洗浄剤が含まれており、エンジン内部の洗浄効果や燃費向上が期待できるという意見もありますが、これはあくまでも本来の性能に戻るだけであって、規定値以上の性能向上ではありません。コストパフォーマンスを考えると、レギュラー指定車には専用の添加剤を使用する方が効果的です。

ハイオクとレギュラーガソリンの違いは、単純に価格の差だけではありません。オクタン価の違いにより、それぞれ適したエンジンが決まっており、メーカーの指定を守ることが愛車を長く大切に使うための基本です。

間違った燃料を入れてしまっても慌てる必要はありませんが、適切な対処を行い、次回以降は正しい燃料を選ぶことが大切です。また、海外での給油時は表記方法の違いに注意しましょう。

燃料選びで迷ったときは、まず愛車の取扱説明書を確認し、指定燃料を把握することから始めてください。正しい知識を身につけて、安全で快適なカーライフを楽しみましょう。

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