ドライブや旅行などで高速道路を利用する際、「高速道路」と「有料道路」という言葉をなんとなく混同していませんか? 実は、これらの道路にはそれぞれ異なる特徴があり、走行可能な車両や制限速度、料金体系なども種類によって大きく変わってきます。
そこで今回は、高速道路と有料道路の基本的な違いから、それぞれの特徴、さらには運転時に注意すべきポイントまで、詳しく解説します。
目次
高速道路と有料道路の違い
多くのドライバーが混同しがちな「高速道路」と「有料道路」。どちらも基本的に通行料金がかかるという点では同じ“有料道路”といえますが、どのような違いがあるのでしょうか。
高速道路は、主に長距離移動や都市間の移動を目的とした道路であり、高速走行が可能な構造となっています。一方、有料道路は高速道路以外にも存在し、建設費用の回収を目的として通行料金を徴収する道路全般を指します。
これらの道路は、建設の目的や管理主体、適用される法律なども異なるため、利用する際のルールや制限も変わってきます。それでは、具体的にどのような違いがあるのか見ていきましょう。
高速道路には二種類ある
私たちが普段「高速道路」と呼んでいる道路は、実は法律上、「高速自動車国道」と「自動車専用道路」の二種類に分けられます。この二つを総称して「高規格幹線道路」と呼ばれることもあります。
高速自動車国道とは

高速自動車国道は、全国各地を結ぶ基幹的な道路ネットワークです。都道府県の境界を越えて広範囲にわたって整備されており、日本の交通の大動脈としての役割を担っています。
これらの道路は、他の道路や鉄道との交差部分において立体交差構造が義務付けられており(高速自動車国道法 第10条)、一般道路からの出入りはインターチェンジを通じて行われます。東名高速道路や名神高速道路などがその代表例です。
建設や管理は主に高速道路会社が担当してきましたが、近年は国や地方自治体が建設費用を負担する「新直轄方式」の高速自動車国道も増えてきました。料金所がなく無料で通行できる一方で、費用を抑えるためにサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が設置されない(道の駅で代用)、車線数が少ないなどの特徴もあります。
自動車専用道路とは

自動車専用道路は、主に地域の交通渋滞解消や騒音対策などを目的として建設された道路です。首都高速道路や阪神高速道路などの都市高速道路や、首都圏中央連絡自動車道などの一般国道の自動車専用道路などがこれに該当します。
高速自動車国道と比較すると距離は短めですが、こちらも一般道路からの出入りはインターチェンジで行われます。国道だけでなく都道府県道にも存在し、その地域の交通事情に応じて柔軟に整備されています。
管理は高速道路会社が行わない場合もあり、そのため無料で利用できる区間も存在します。
有料道路とは

有料道路は、高速道路や一般道路という分類とは別の観点から定義される道路です。建設費用などを利用者からの通行料金で回収するシステムを採用している道路全般を指します。
これには高速道路株式会社が管理する道路のほか、都市高速道路、本州四国連絡高速道路、地方道路公社の一般有料道路、さらには地方公共団体の一般道路や有料橋なども含まれます。
有料道路制度は、限られた税収だけでは対応しきれない道路整備需要に応えるため、受益者負担の原則に基づいて導入されました。通行料金は、建設費用や維持管理費、借入金の利息などをまかなうために設定されています。
三つの道路の異なるポイント
高速自動車国道、自動車専用道路、そして有料道路には、それぞれ特徴があります。
走行できる車両の違い
高速自動車国道と自動車専用道路では、走行できる車両に制限があります。いずれも自動車専用の道路と定められており(高速自動車国道法 第4条、道路法 第48条の2)、歩行者や自転車、原動機付自転車は通行できません。
一方、一般道路の有料道路の場合、一部の橋やトンネルなどでは歩行者や自転車なども通行可能な場合があります。
制限速度の違い
制限速度についても、道路の種類によって大きく異なります。
高速自動車国道では、速度制限の標識がない区間において、普通乗用車の最高速度は100km/h、最低速度は50km/hと定められています(道路交通法施行令 第27条)。ただし、登坂車線や対面通行区間では最高速度が60km/hに制限されます。
自動車専用道路の場合、標識による指定がない場合の法定最高速度は60km/hですが、標識により70km/hや80km/hに設定されている区間も存在します。また、法定最低速度の規定がないため、50km/h未満でしか走行できない車両も通行可能です。
料金制度の違い
各道路の特性や目的、利用状況などを総合的に考慮して、料金制度は決定されているため、道路ごとに明確な基準はありません。しかしいずれも基本的には、利用料金で建設・維持費用などをまかない完済したら無料開放する「償還主義」の原則に基づいて設定されています。
ただし、高速道路についてはこれまでに何度も有料期間の延長が繰り返されており、2023年には老朽化などを理由に最長2115年までの延長が決定されています。また、不採算路線を維持するために全国の収入を一本化して一律料金を設定する「料金プール制」も50年以上続けられています。
さらに一部の高速道路では利用者の支払い能力を加味して決定される「公正妥当主義」が、一部の一般有料道路では通行料金が利益の限度を上回らないようにする「便益主義」がそれぞれ適用されています。
そのほかにも、同じ道路でも一部区間では均一料金が設定されていたり、長距離割引があったり、通行料無料になっている場合もあります。このような複合的な要素が絡み合い、それぞれの道路状況を勘案した料金体系が構築されているのが現状です。
まとめ
高速道路と有料道路の違いについて詳しく解説しましたが、日本の道路システムは想像以上に複雑で、それぞれ異なる特徴を持つことがお分かりいただけたでしょうか。
高速自動車国道は全国を結ぶ基幹ネットワーク、自動車専用道路は地域交通の円滑化、そして有料道路は効率的な道路整備という、それぞれの役割を果たしています。
ドライブを楽しむ際は、利用する道路の種類に応じて制限速度や通行可能車両を確認し、安全運転を心がけることが大切です。また、料金体系の違いを理解しておくことで、より効率的なルート選択も可能になるでしょう。
今回ご紹介した知識を活用して、より安全で快適なドライブをお楽しみください。