クルマの安全性向上を目指す新たな一歩として、新車へのバックカメラなどの装着が義務化されました。この記事では、バックカメラ義務化(バックモニター義務化)の背景から具体的な内容、さらには後付けする際の注意点まで、詳しく解説していきます。
目次
バックカメラ義務化の背景
今回の保安基準改正で装着が義務付けられたのは、正式には「後退時車両直後確認装置(後方視界看視装置)」と呼ばれるものです。これには車両後方を撮影する「バックカメラ」のほか、それで撮影した映像を映し出す「バックモニター」、バックセンサーなどの「検知システム」、「ミラー」なども含まれます。
バックカメラが必要とされている理由
交通事故総合分析センター(イタルダ)の資料によれば、四輪自動車のバック事故の件数は減少傾向にあるものの、死傷事故全体に占める構成率は増加傾向にあるそうです。
特に駐車場内などでの低速走行時(5km/h前後)、後方の歩行者や障害物を目視で確認しづらい状況での事故が多く報告されています。また、ドライバーの年齢層別で見ると、運転スキルがまだ十分でない若年層(10代)や、認知機能の低下が始まる高齢層(60代以降)での事故率がやや高いことも指摘されています。このような状況から、バックカメラ装着は事故防止の有効な手段として注目されているのです。
世界的な動向と日本での義務化の経緯
日本は国際連合の自動車安全基準に関する協定に加入しており、国土交通省は国際的な安全基準との整合性を図りながら、段階的に新しい基準を導入しています。義務化もこの国際的な流れに沿ったものです。当初は2024年5月からの施行が予定されていましたが、能登半島地震の影響により自動車生産に遅れが生じたため、11月からの施行となりました。
義務化の対象車両とスケジュール
今回の義務化は、自動車メーカーや消費者に与える影響を考慮して、段階的な導入スケジュールが組まれています。
新型車と継続生産車への適用時期
新型車については、2022年5月からすでにバックカメラの装着義務化が始まっていました。既存車種の継続生産車については、2024年11月から適用が開始されています。原則として、バスやトラックなども含むすべての四輪自動車にバックカメラ(もしくは同等の後退時車両直後確認装置)の装着が必要となります。
義務化対象外の車両とは?
二輪自動車や三輪自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車などの車両については、装置の取り付けが困難であることから、義務化の対象外となっています。
バックカメラの後付けに関する注意点
現時点ではすでに所有しているクルマや中古車などへのバックカメラの装着義務はありませんが、既存車両への後付けを検討する際はいくつかの注意点があります。
装着費用と保安基準の注意点
バックカメラの装着費用は、カメラの本体価格に加えて工賃として1~3万円程度が目安となっています。重要なのは単に装着するだけでなく、保安基準に適合させることです。特に外装の技術基準や後方視界看視装置取付装置等の技術基準などに適合していない場合、車検が通らない可能性もあるので注意が必要です。
後付け時の製品選びのポイント
具体的な保安基準としては、車体後方0.3~3.5mまでの範囲、高さ0.8mまでの範囲を確認できる性能が求められます。(なお、車両後面2m以下の高さにカメラを取り付ける場合、装置外部表面に曲率半径2.5mm 未満の突起を有さないといった規定もあります)。
お使いの車種にバックカメラが対応しているかどうかも重要な要素です。もしもメーカー純正品があるのならそれを選んでおくと確実でしょう。
バックカメラの選び方とおすすめポイント
バックカメラを選ぶ際は、実際の使用シーンを想定した製品選びも重要です。
夜間の視認性や画素数の重要性
画素数が高い方が鮮明に見えるため、夜間や暗所での使用を考慮すると、最低でも30万画素以上のカメラを選んでおきたいところです。夜間の使用がメインの場合は、さらに高い画素数の製品や赤外線センサー付きのモデルを選んでも良いでしょう。
また、レンズの種類によっても、後方の視界が大きく変わります。標準レンズは人の視野に近い自然な遠近感が得られるのに対して、広角レンズは死角が少なくなる分ひずみが大きくなる特徴があります。
配線方法と設置のしやすさ
バックカメラの配線方式には有線と無線があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。有線タイプは信号の安定性に優れていますが、配線工事を行う手間が発生します。一方、無線タイプは工事不要で手軽に設置できますが、電波干渉を受ける可能性があります。
カーナビやオーディオなどが設置されてないクルマであれば、カメラの映像を映し出すためのバックモニターもあわせて設置が必要です。
まとめ
バックカメラ(バックモニター)などの装置の設置義務化は、クルマの安全性向上に大きな効果が期待できる施策であり、新車に限らず既存車両への後付けもおすすめです。保安基準への適合を第一に考えたうえで、使用環境や目的に合った製品を見つけてみてください。