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AT車でもエンストすることがある!原因と対処法を解説!

エンストはMT車(マニュアル車)特有のトラブルだと考えていませんか? 実はAT車(オートマチック車・オートマ車)でも、状況によってはエンストを起こす場合があります。今回の記事では、エンストの基礎知識から予防法まで、詳しく解説していきます。

エンストとは

エンストとは「エンジンストール(Engine Stall)」の略で、自動車のエンジンが意図せずに停止してしまう現象を指します。ときどき耳にする「エンジンストップ」という表現は和製英語で、「エンジンストール」が本来の正しい英語表現です。エンストの初期症状として、アイドリング時の異音などが見られることもあります。

エンストの危険性

エンストが起きると、ブレーキの利きが極端に悪くなり、ハンドル操作も非常に重くなります。これは、エンジンの力で作動する「ブレーキ倍力装置」や「パワーステアリング」が機能しなくなるためです。特に高速走行や渋滞、信号待ちなどの際にエンストが発生すると、後続車への影響も大きく、事故につながる危険性が高まります。

MT車がエンストしやすい理由

そもそもMT車でエンストが起きやすい主な理由は、クラッチ操作の難しさにあります。特に坂道発進時は、クラッチのつなぎ方やエンジン回転数の調整が適切でないと、エンストを引き起こしやすくなります。初心者ドライバーの場合、クラッチペダルを急に離してしまったり、アクセルワークが不十分だったりすることで、エンストを起こしやすい傾向にあります。

AT車でエンストが起こる原因

AT車は基本的にコンピューター制御によって最適なギア選択が行われるため、MT車と比べるとエンストは起きにくい設計となっています。しかし、全く発生しないというわけではありません。

坂道発進

AT車でエンストが起こる原因として多いのが、坂道発進での操作ミスです。例えば、上り坂でDレンジのままブレーキを離して車両が後退したり、下り坂でRレンジのまま前進したりすると、エンジン回転と車輪の回転方向が逆になってエンストを起こす可能性があります。最近は、坂道で停車後の発進時にクルマの後退を防いでくれる「ヒルスタートアシスト機能」を搭載している車種も増えてきていますが、一定の時間を過ぎるとブレーキ力が解除されるので、完全に予防するにはドライバーが適切な操作を心がける必要があります。また、プッシュスタートを搭載している車種などでは、エンストではなく単にエンジンの始動を忘れていただけというケースもあるようです。

ブレーキ倍力装置、パワーステアリング失陥

操作ミスによるエンストが発生すると、ブレーキペダルを踏む力を補助するブレーキ倍力装置やハンドル操作を補助するパワーステアリングが正常に機能しなくなります。その結果、ブレーキの利きが悪く、ハンドルも重くなります。交通安全環境研究所の発表した「『エンジン停止走行』に繋がるおそれがある事象に関する調査」によると、これらの装置の異常報告のうち、約8%がエンストに関連するものとされています。

エンストに気づいたときの対処法

走行中にエンストが発生した場合は、まず慌てないことが重要です。操作ミスによるエンストであれば、ブレーキやハンドルは重くなりますが、強い力で操作すれば機能します。ブレーキは通常より強く踏み続けた状態を維持し、途中で足を離さないようにしましょう。再始動できない場合や、再始動してもすぐにエンストしてしまう場合は、故障などのトラブルが起こっている可能性が高いので、ロードサービスを要請することをおすすめします。その際は後続車への注意喚起のため、ハザードランプの点灯や停止表示板(三角表示板)の設置も忘れずに行いましょう。

エンストの修理代

エンストの原因がパーツの故障だった場合の修理・交換費用は、車種や部位によって異なりますが、例えばエンジン本体の場合は数十万円、燃料ポンプやオルタネーターの場合は数万円〜十数万円程度の費用が発生します。近年の車両は環境規制対応などで部品が高性能化しており、修理費用も高額になる傾向にあります。エンジン本体の深刻な故障の場合、修理費用が車両価値を上回ることもあるため、場合によっては廃車を検討したほうが良いかもしれません。

エンストを防止する方法

ATのエンストを防ぐ方法としては、必ず進行方向とシフトレンジが合っているかを確認することが基本となります。また、日頃から余裕をもった給油を心がけ、定期点検・整備を行えば、燃料切れや故障によるエンストも防げます。バッテリーやエンジンなどの警告灯類から異常が見つかることもあるので、点灯したときは早めに整備士にご相談ください。

まとめ

エンストはAT車であっても起こりうる現象です。特に坂道での発進時は注意を怠らず、万が一エンストが発生した場合は、慌てずに強めのブレーキ操作で安全な場所に停車することを心がけましょう。近年のクルマは高度な電子制御により、さまざまなトラブルを未然に防ぐ機能を備えていますが、それでもドライバーの適切な運転操作が安全運転の基本となります。あわせて定期的なメンテナンスもお忘れなく!