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免許証がスマホと一体化!デジタル免許証とは?

日常生活のデジタル化が急激に進むなか、ドライバー必携の運転免許証もより便利な形に進化しようとしています。今回の記事では、近年注目を集めている「デジタル免許証」について詳しく解説していきます。

運転免許がスマホと一体化する

近い将来、運転免許証とスマートフォンが一体化する時代がくるといわれています。

運転免許とマイナンバーカードの一体化

まず、国民の利便性向上や負担軽減に向けた取り組みの一環として、警察庁とデジタル庁が共同で準備を進めているのが、運転免許証とマイナンバーカードの一体化です。運転免許証の情報をマイナンバーカードのICチップに記録することで、マイナンバーカードが運転免許証としても使えるようになります。

政府は2024年度後半以降に一体化させる方針を示しており、警察では運転者管理システムや遺失物管理システムなどの各種システムを集約する「警察共通基盤」の整備が進められています。

マイナンバーカードのスマホ化

さらに注目すべきは、マイナンバーカードのスマホ化です。運転免許証とマイナンバーカードが一体化した後は、マイナンバーカードの機能を搭載したスマホを運転免許証代わりに使用できる「デジタル免許証(モバイル運転免許証)」の導入も計画されています。

2023年5月から、一部のAndroid端末ではマイナポータルアプリを通じてスマホに電子証明書を搭載できるようになりました(2024年8月時点でiOSには未対応)。これにより、マイナンバーカードを利用したサービスをスマホだけで完結できます。サービスの内容は順次拡大中で、健康保険証や運転免許証としての利用については今後対応予定となっています。

デジタル免許証によるメリット

デジタル免許証を使うメリットとして挙げられるのは、主に以下の3つです。

スマホを持っていれば免許携帯が不要になる

デジタル免許証の最大のメリットは、物理的な免許証を常に携帯する必要がなくなることです。スマホがあればいつでもどこでも運転免許証を提示できるようになるので、免許不携帯の心配もなくなります。

ただし、一体化については任意であるため、従来の免許証を使い続けることも可能です。紛失が心配な方は、デジタル免許証と従来の免許証を併用することもできます。

手続きのワンストップ化

デジタル免許証のもう1つの大きなメリットは、各種手続きの簡素化です。地方公共団体情報システム機構と警察庁の運転者管理システムがデータ連係されることで、例えば住所変更手続きの際には市町村に情報を提出するだけで警察のシステムにも自動的に反映されます。これにより、変更手続きは市町村役場での手続きだけで完結できるようになります。

免許更新の簡易化

現在の免許証では、免許更新は原則として記載の住所地で行う必要があります(優良運転者のみ住所地外での更新が可能)。しかし、運転免許証とマイナンバーカードが一体化すれば、住所地外でも運転免許証の更新手続きが可能になります。

なお、2022年2月からは一部地域で、マイナンバーカードを保有する優良運転者を対象としたオンライン更新時講習のモデル事業が行われています(2023年10 月からは一般運転者も対象)。スマホやパソコンから講習動画を視聴して確認テストを受けることで、オンラインで更新時講習を受講できるという内容です。

警察庁は2024年度末までにこのオンライン更新時講習を全国展開する方針を示しています。

デジタル免許証のデメリット

一方、マイナンバーカードとの一体化やデジタル化によるデメリットも考えられます。

例えば、スマホを忘れてしまったり、電池が切れてしまったりした場合に、免許証を持っていることを証明できなくなってしまいます。また、マイナンバーカードと免許証と両方の更新が必要になり、手続きが煩雑化する可能性や、スマホの紛失時に運転免許証の情報が流出してしまう可能性が指摘されています。

海外での事例

最後に、海外での事例も見ていきましょう。

韓国では、2022年からデジタル免許証の実用化が始まっています。韓国のデジタル免許証は、国が提供するアプリと民間が提供するアプリの大きく2種類に分かれており、そのうち国アプリが公的身分証として認められています。民間アプリは利用できる機能に制限があり、コンビニやレンタカー店などでの本人確認が主要機能となっています。

また、アメリカ・カリフォルニア州では、2023年5月から「モバイル運転免許証(mDL)」の提供が試験的に開始されました。mDLは主に空港の保安検査や、一部の小売店でのアルコール購入時の年齢確認などで利用できます。ただし、現時点でmDLは物理的な免許証の完全な代替にはなっていないため、車の運転時には従来の免許証の携帯が必要です。

ちなみにアリゾナ州やコロラド州などではすでにmDLが導入されており、そのほかの州でも導入が検討されている状況です。

まとめ

いまやスマホ1台でなんでもできる時代。デジタル免許証が導入されれば、ドライバーの日常生活はさらに便利になることでしょう。一方で、セキュリティーへの不安やデジタルに不慣れな方々への配慮など、解決すべき課題も残されています。

テクノロジーの進化とともに、より安全で快適な運転環境が整っていくことを期待しましょう。