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後部座席のシートベルト着用義務はいつから?その理由は?

後部座席のシートベルト着用義務はいつから?その理由は?
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数年来、交通事故件数や事故死者が減少しているとはいえ、死亡事故はゼロではありません。事故発生時の衝突による衝撃は想像以上に強く、もしシートベルトをしていないと車内で体を強打したり、車外に放り出されたり、後部座席の人が前部座席を押してエアバッグとシートに挟まれけがをしたりする可能性が高まります。

このような被害を防ぐためにも、後部座席でのシートベルト着用が義務化されましたが、前部座席の着用率に比べていまだに低いままです。今回は、後部座席のシートベルト着用についての基礎知識を紹介します。

シートベルトは全席着用が義務化

後部座席のシートベルト着用義務はいつから?その理由は?

一般道・高速道路等の区別なく、現在は自動車走行中のシートベルト着用は、全席で義務化されています。まずはその経緯について解説します。

前部座席(運転席・助手席)のシートベルト義務化について

日本において、シートベルトの設置義務がスタートしたのは1969年4月です。この月以降に生産された新車の運転席に必ずシートベルトが設置されるようになりましたが、この段階ではまだ着用の義務はありませんでした。

助手席のシートベルト設置義務が始まったのは1973年、後部座席のシートベルト設置義務化は1975年からです。そしてまだこの時点でも、どの席のシートベルトも運転中の着用義務はありませんでした。

前部座席でのシートベルト着用義務がスタートしたのは、1985年のこと。高速道路や自動車専用道路の走行中に運転席・助手席でのシートベルト着用が義務付けられ、違反者への罰則も設けられました。そして1992年には一般道での走行時にも運転席・助手席にシートベルト着用が義務化されます。

後部座席のシートベルト義務化について

その後、2008年には後部座席を含めた全座席でのシートベルト着用が義務化されました。同時に、高速道路走行時に後部座席のシートベルト未着用の違反があった場合、運転手に違反点数が付くことが定められました。

シートベルト未着用時は致死率が増大

後部座席のシートベルト着用義務はいつから?その理由は?

警察庁とJAFの共同調査結果によれば、2020年のシートベルトの着用率は運転席・助手席は96%以上となっているものの、後部座席では一般道路で40.3%、高速道路等で75.8%となっていて、前部座席よりも着用率が低くなっています。

前部座席はもちろん後部座席でも、シートベルトの着用が事故時の致死率に影響します。後部座席シートベルトを着用した場合と着用しない場合との致死率の差を比較したデータ(2016〜2020年の合計)では、着用した場合よりも着用しない場合のほうが、一般道路では約3.2倍、高速道路で実に約19.8倍も高いのです。同乗者の命を守るためにも後部座席シートベルトの着用は必ず行いましょう。

シートベルト着用義務違反の違反点数と罰則

運転席でのシートベルト着用率も、設置義務だけだった当時は低調で交通事故死者数の増加にともない社会問題化していましたが、シートベルト着用率を向上させた一因が、非着用時の罰則の強化です。運転者がシートベルトを着用するのはもちろんのこと、助手席や後部座席に座っている同乗者にもシートベルトを着用させなければなりません。

高速道路の場合

道路交通法第71条の3に基づいて、運転席と助手席でのシートベルト着用が義務付けられており、高速道路等でシートベルトを着用せずに運転すると運転者に行政処分の基礎点数(違反点数)1点が付されます。助手席の同乗者がシートベルト未着用だったときにも、運転者に基礎点数(違反点数)1点が同じく付されます。

高速道路での走行時に、後部座席の同乗者がシートベルトを着用していないときも、やはり運転者に基礎点数(違反点数)1点が付されます。

一般道路の場合

一般道の場合では、運転席と助手席の前部座席でシートベルトを着用していないまま運転していると、運転者に基礎点数(違反点数)1点が付されます。

高速道路・自動車専用道路以外の一般道でも、後部座席のシートベルト着用は義務化されていますが、罰則規定がないため基礎点数(違反点数)は付されず、口頭での注意のみです。このことから後部座席のシートベルト着用が義務化されていないという誤解をしているドライバーが多いのも事実です。同乗者がいる場合は、高速道路でも一般道でもドライバーからシートベルトを着用するよう働きかけを必ず行いましょう。

バイパス道路の場合

バイパス道路での、運転席と助手席でのシートベルト未着用は高速道路・一般道路と同様に運転者に行政処分の基礎点数(違反点数)1点が付されます。

後部座席シートベルトについては、「自動車専用道路」での着用義務違反は、高速道路と同様に運転者に対して行政処分の基礎点数1点(違反点数)が付されます。つまりバイパス道路が「自動車専用道路」かどうかによって、変わってきます。

シートベルト着用が免除されるケースは?

後部座席のシートベルト着用義務はいつから?その理由は?

高速道路等や一般道の区別なく、走行時にはどの座席でもシートベルトの着用が義務付けられていますが、やむを得ない理由があるときには着用が免除されるケースもあります。道路交通法第71条の3では以下のように規定されています。

(運転者の場合)

ただし、疾病のため座席ベルトを装着することが療養上適当でない者が自動車を運転するとき、緊急自動車の運転者が当該緊急自動車を運転するとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

「道路交通法第71条の3 第1項」より

(同乗者の場合)

ただし、幼児(適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有するものを除く。以下この条において同じ。)を当該乗車装置に乗車させるとき、疾病のため座席ベルトを装着させることが療養上適当でない者を当該乗車装置に乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

「道路交通法第71条の3 第2項」より

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

  • けがや障害などによりシートベルト装着が難しい場合
  • 座高が高すぎる、または低すぎる場合や肥満等によりシートベルト装着が難しい場合
  • 妊娠中でシートベルトの着用が困難な場合

また、冒頭に紹介したようにシートベルト設置義務化前に製造された車両で、シートベルトが設置されていない場合も違反には問われません。しかし、安全性が著しく低下して危険なため古い車でもシートベルトを設置し、必ず着用するようにしましょう。

まとめ

運転者はもちろん、どの席に座る同乗者も、運転中はシートベルトの着用が義務付けられています。また、6歳未満の子どもを載せるときにはチャイルドシートを使用する義務があります。同乗者に着用させることも含めて「安全運転」だという意識を持って、運転するように心がけたいものですね。

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