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電動キックボードに免許は必要?交通ルールについて解説

近年、都市部を中心に新たな移動手段として注目を集めている電動キックボード。排ガスを出さないという点で環境にやさしく、手軽に利用できるこの乗り物について、多くの人が「運転には免許が必要なのか」「どんな交通ルールがあるのか」といった疑問を抱いているのではないでしょうか。

今回の記事では、日本国内での電動キックボードの法的位置づけや交通ルールについて、分かりやすく解説していきます。

電動キックボードに免許は不要

結論から言えば、「特定小型原動機付自転車(特例特定小型原付)」に該当する電動キックボードには運転免許が不要です。ただし年齢制限があり、16歳以上でなければ運転できません。

電動キックボードの定義

電動キックボードは道路交通法上では「車両」に該当し、そのなかでも一定の基準を満たすものが「特定小型原動機付自転車」となります。その定義について詳しく見ていきましょう。

特定小型原動機付自転車の基準

特定小型原動機付自転車として認められるためには、以下の6つの基準を全て満たす必要があります。

  • 車体の大きさ:長さ1.9m以下、幅0.6m以下
  • 原動機:定格出力0.6kW以下の電動機を使用すること
  • 最高速度:時速20km以下
  • 速度設定:走行中に最高速度の設定を変更できないこと
  • 変速機:オートマチック・トランスミッション(AT)機構
  • 装備:最高速度表示灯の装備(※)

これらの基準に加え、道路運送車両法の保安基準に適合していること、自動車損害賠償責任保険(共済)に加入していること、そしてナンバープレートを装着していることも必要な条件となります。

※改正法施行日(2023年7月1日)よりも前に製作された車両については、2024年12月22日までの猶予期間が設けられています。

原動機付自転車との違い

定格出力が0.60kW以下の原動機を備えた二輪車は、道路交通法上「原動機付自転車」に分類されます。そのうち、上にご紹介した1~3の基準を超えるものについては「一般原動機付自転車」に区分され、運転には原付免許やヘルメットの着用が必須となります

電動キックボードはナンバープレートが必須

先述のとおり、免許不要の電動キックボードであってもナンバープレートの装着が義務付けられています。特定小型原動機付自転車用のナンバープレートは、縦横ともに10cmのサイズです。このナンバープレートを装着せずに公道を走行すると法令違反となるので注意しましょう。

特定小型原動機付自転車に関する交通ルール

特定小型原動機付自転車に該当する電動キックボードを運転する際は、以下のような交通ルールを順守する必要があります。

16歳未満の運転の禁止

特定小型原動機付自転車の運転は16歳以上に限定されています。16歳未満の者が運転した場合、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される可能性があります。また、16歳未満の者に電動キックボードを提供する行為(貸与、譲渡など)も同様の罰則の対象となります。

飲酒運転の禁止

電動キックボードもほかの車両と同様、飲酒運転は厳しく禁止されています。わずかな量のアルコールでも脳機能に影響を及ぼし、事故のリスクを高めます。

飲酒運転をした場合、酒気帯び運転では3年以下の懲役または50万円以下の罰金、酒酔い運転では5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。さらに、飲酒運転者への車両提供や同乗、酒類提供も罰則の対象となります。運転者本人だけでなく、周囲の人々も責任を問われることを覚えておきましょう。

二人乗りの禁止

特定小型原動機付自転車での二人乗りは禁止です。これに違反した場合、5,000円の反則金が科されます。電動キックボードは一人乗りを前提に設計されています。二人乗りは車体のバランスを崩し、事故につながる危険な行為です。

そのほかの禁止事項

電動キックボードの運転では、一般の原付と同様に「二段階右折」が義務付けられています。交差点を右折する際は、まず青信号で交差点の向こう側まで直進し、そこで停止して右に向きを変え、前方の信号が青になってから進行しましょう。この規則に違反すると、3,000円の反則金が科されます。

また、電動キックボードは車道通行が原則です。歩道の通行(※)や、運転中のスマホの使用、ヘッドホンやイヤホンを使用しての運転なども大変危険で法令違反となる可能性があるのでやめましょう。

※「普通自転車等及び歩行者等専用」の道路標識等が設置されている歩道を除く。

まとめ

電動キックボードは、特定の基準を満たせば免許不要で運転できる便利な移動手段です。しかし、その手軽さゆえに、交通ルールを軽視してしまう方もいるかもしれません。ナンバープレートの装着、年齢制限、飲酒運転の禁止、二人乗りの禁止など、守るべきルールは多岐にわたります。また、乗車時のヘルメット着用も努力義務となっています。

電動キックボードを安全に、そして快適に利用するためには、これらのルールをしっかりと理解し、順守することが大切です。新しいモビリティとして社会に受け入れられるよう、一人ひとりが責任ある行動を心がけたいところです。