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オービスは何キロオーバーで光る?違反後の流れや罰則についても解説!

警察庁が公表した資料によると、2022年中に検挙された道路交通法違反の数は505万3,271件。最も多かった「一時不停止」に次いで2番目に多かったのが、「最高速度違反」(93万2,260件)でした。スピード違反を取り締まる方法には、パトカーや白バイによる速度計測のほかに、「オービス」という自動装置を使う方法があります。

今回の記事では、このオービスの仕組みや違反後の流れなどについて詳しく解説します。

オービスとは

「オービス(ORBIS)」とは、走行する車両の速度をセンサーで測定し、速度違反している車両を自動で撮影して記録する装置のことです。正式名称を「速度違反自動取締装置」といい、日本では1970年代後半に初めて設置されました。

現場に警察官を配置する必要がないことから、天候や昼夜を問わず取り締まりができるほか、取り締まりによる事故の危険性が少ない、交通の流れを阻害しないなどのメリットがあるといわれています。

さまざまな種類のオービス

オービスにはさまざまな種類があります。現在は初期に設置されたレーダー式のものから新しいタイプのものに移行しており、設置場所も従来の高速道路や幹線道路などから生活道路にまで広がりつつあります。ここでは6種類のオービスの特徴を見ていきましょう。

  1. レーダー式
    オービスのなかでも古くからあるタイプで、大型の支柱で道路上部に設置されています。走行車両にレーダーを照射して速度を計測し、路肩に設置されたフィルムカメラで速度違反車両を撮影します。
  2. ループコイル式
    こちらも古くからあるタイプです。道路脇に埋め込まれたループコイルで走行車両の速度を計測し、路肩のフィルムカメラで速度違反車両を撮影します。カメラは目視できますが、速度計測装置は埋設されているためドライバーが気づきにくいのが特徴です。
  3. Hシステム
    道路上部に設置された装置からレーダーを照射して走行車両の速度を計測し、デジタルカメラで違反車両を撮影する固定式オービスです。撮影データは通信回線を通じてすぐに警察に送信される仕組みになっており、いわばレーダー式オービスの進化版です。
  4. LHシステム
    道路に埋設されたループコイルで速度を計測し、道路上部のデジタルカメラで撮影するタイプです。ループコイル式の進化版で、現在日本では最も設置数が多いといわれています。
  5. レーザー式
    レーダー式やループコイル式とは異なり、レーザー光を走行する車両に照射し、対象車を立体的に把握して移動速度を計測する、新しい技術を搭載したオービスです。
  6. 移動式
    近年はコンパクトで持ち運び可能な移動式オービスの普及も広がっています。タイプによって大きさや形状は異なりますが、速度計測には主にレーザーもしくはレーダーが使われます。

さらに2020年には、従来から使われてきた「光電管方式」を採用した移動式オービスのテスト機が話題となりました。光電管方式のものはレーダー探知機で発見できないうえに小型で見つけにくいため、“最強”との呼び声も高いオービスです。

オービスの光り方

オービスといえば「撮影されると赤く光る」という噂が存在しますが、実際のところはどうなのでしょうか。多くの固定式オービスは確かに赤く光りますが、最近は白く発光するタイプのものも増えています。機種によってはオレンジ色で警告発光するものもあるようです。

白黒写真では赤く発光し、カラー写真では白く発光するとの情報もあり、今後は白い光のものが主流になっていくという見方もあります。光の色は機種によって異なるため、必ずしも赤いとは限らないようです。

オービスは何キロオーバーで光る?

オービスは制限速度を超えた車両に反応して発光(=写真撮影)します。しかし制限速度を1キロでも超えたからといって必ず撮影されるというわけではなく、明確な基準は公表されていません。

一般的には、一般道では時速30km以上オーバー、高速道路では時速40km以上オーバーのいわゆる“赤切符”に相当する違反で撮影されるといわれていますが、近年はその定説が崩れつつあります。生活道路に設置される移動式オービスでは、さらに低い速度で作動する場合があるのです。これは住宅地などの生活道路では、軽微なスピード違反も大きな事故につながる危険性があるためと考えられます。

オービスを光らせてしまった場合

オービスを光らせてしまった場合は後日、速度超過(スピード違反)の処分を受けることになります。ここでは違反後の流れや処分内容について見ていきましょう。

違反後の処分までの流れ

オービスを光らせてから処分を受けるまでの基本的な流れは、以下の通りです。

  1. 出頭通知書が届く
    オービスを光らせた日から数日~1ヶ月ほど経つと、違反した車両の所有者宛てに出頭通知書が届きます。
  2. 警察署に出頭する
    出頭通知書に記載された内容にしたがって、運転者は指定の日時・場所に出頭します。オービスで撮影された写真や当時の状況についての事情聴取が行われ、運転者が違反を認めれば赤切符が交付されます。
  3. 出廷通知書が届く
    警察署に出頭してから数日後、裁判所から出廷通知書が届きます。
  4. 簡易裁判所に出廷し、罰金を支払う
    出廷通知書に記載された内容にしたがって、裁判所に出廷します。検察官の提出した書面により審査する「略式裁判」に同意すると、当日中に判決結果がでるので、そこで決定された罰金を支払えば刑事処分が完了します。
  5. 行政処分を受ける
    警察署から呼出通知書が届いたら、記載内容にしたがって警察署に出頭します。赤切符に相当する速度超過をした場合は免許停止処分を受けることになるでしょう。手数料はかかりますが、免許停止処分者講習を受講すれば免許停止期間を短縮することも可能です。

違反による違反点数や罰金

速度超過による違反点数は、30km/h(高速道路40km/h)以上50km/h未満の場合は6点、50km/h以上は12点となっています。また、30km/h(高速道路40km/h)以上の刑事罰は「6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金」となっており、多くの場合は罰金刑となります。

なお、30km/h(高速道路は40km/h)未満の速度超過で検挙された場合の違反点数は、速度に応じて1~3点となります。さらに「交通反則通告制度」に基づいて、刑事処分の代わりに9,000~3万5,000円の反則金を納めることになります。

オービスの通知が届かない場合

以前は「フィルム切れで撮影に失敗して通知が来なかった」というケースもときおり聞かれましたが、現在ではほとんどのカメラがデジタル化されているためその可能性は低くなっています。ただしオービスのなかには老朽化で稼働していないものや、故障で修理中のものもあるため、このような場合は速度超過をしても通知が届かないことがあります。

まとめ

従来は“赤切符”相当の違反で光るといわれていたオービスですが、設置場所や機種によってはそれよりも厳しい基準で光ることもあります。速度違反は交通事故につながる危険性も高いため、オービスが光る・光らないにかかわらず適切な速度での安全運転を心がけたいところです。