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内輪差の計算方法を知り、事故を未然に防ごう

交差点の曲がり角やカーブといった場所で発生する「内輪差」。ドライバーさんなら教習所などで一度は聞いたことのあるワードではないでしょうか。この記事では、内輪差の計算方法や注意したいポイントについて解説します。

内輪差とは

クルマが右折や左折をするとき、内側の前輪と内側の後輪は別の軌道を描き、前輪よりも後輪が内側を通ります。この違いが「内輪差」です。内輪差はハンドルを多く切るほど大きくなり、ホイールベース(前輪の中心から後輪の中心までの距離)が長いクルマほど大きくなります。

ちなみに、外側の前輪と外側の後輪の軌道のズレを「外輪差」といいます。こちらは後輪よりも前輪が外側を通り、特にバックのときに大きくなりやすいので駐車時や車庫入れ時に注意しましょう。

内輪差に起因する事故

内輪差を意識せずに運転すると、思わぬ事故やトラブルにつながる場合があります。例えば後方のバイクや自転車を巻き込む事故や、ガードレールや塀など周囲の障害物への接触事故です。中でも多いのが、歩道などの縁石への乗り上げ。場合によっては足回りだけでなく、エンジンやステアリングなどに重大なダメージを負う危険もあります。

もし乗り上げてしまったときは、損傷があれば速やかに警察とロードサービスに連絡を。見た目にダメージがなく自力で脱出できたとしても、念のためプロの点検を受けておくと安心です(なお、縁石などを傷つけた場合は物損事故となり、警察に連絡せずに立ち去ると道路交通法違反になるのでご注意を!)。

事故を防ぐための運転のコツ

自分のクルマの内輪差は、何度も運転するうちに自然と慣れていくものですが、いくつかのポイントを意識することも事故防止に役立ちます。ここでは3つのコツをご紹介します。

サイドミラーで後輪の位置を確認

曲がる際はサイドミラー(ドアミラー)でクルマの後輪を確認し、ぶつかりそうだと思ったら停止して周囲の状況を確認してから一度後退して軌道修正しましょう。サイドミラーは“やや下向き”にしておくと見やすくなります。

後輪の動きをイメージしながら曲がる

先に述べた通り、後輪は前輪よりも内側の軌道を通ります。また、ハンドルの切り具合や車種によっても内輪差は異なります。この内輪差の特性を把握して、後輪が通る位置をイメージしながら曲がりましょう

内輪差にとらわれすぎない

曲がり角の障害物を気にしすぎるあまり、曲がる方向とは逆にいったんふくらんでから大回りするドライバーさんがいます。このハンドル操作は「あおりハンドル」とも呼ばれ、ホイールベースの長い大型トラックなどには有効ですが、乗用車には基本的に必要ありません。むしろ周囲のクルマや歩行者の混乱をまねき、巻き込み事故などにつながることもあるので注意したいところです。

また、障害物は死角で見えなくなる場合もあります。内輪差にとらわれすぎず、広い視野をもった運転を心がけましょう。

内輪差は「最小回転半径」「ホイールベース」「トレッド」の数値から計算できる

内輪差の感覚がつかめないうちは、クルマのいくつかの要素から計算するのも手です。以下の計算方法を参考にしてください。

内輪差の計算方法

クルマの内輪差は、直角三角形の3辺の長さの関係をあらわす「ピタゴラスの定理」の公式(斜辺の長さをc、他の2辺をa、bとすると、cの2乗=aの2乗+bの2乗)を使って計算できます。


左折時のクルマを長方形に当てはめ、右上部分を運転席の位置、4つの頂点A、B、C、Dをタイヤの位置とします。左側の回転の中心となる点をOとして、OB(内側の前輪の回転半径)の長さからOC(内側の後輪の回転半径)の長さを引いた値が内輪差となります。

内輪差の計算式

例えば、

  • 最小回転半径:4.8m
  • ホイールベース:2.55m
  • トレッド:1.49m

の車種の場合、以下のように計算します。

OCの長さ=((AO 4.8の2乗)-(AD 2.55の2乗))の平方根=約4.07-(CD 1.49)=2.58m
OBの長さ=((OC 2.58の2乗)+(BC 2.55の2乗))の平方根=約3.6m
内輪差=OBの長さ(約3.6m)-OCの長さ(約2.58m)=約1.02mとなります。

暗算できる!簡単な内輪差の計算方法

上の計算式は複雑で覚えにくく、実際の内輪差はハンドルの切り具合などによっても変化するため、活用しづらいと感じる方も多いかもしれません。そこで、大まかな内輪差がわかる簡単な計算方法もあわせてご紹介します。

内輪差≒ホイールベースの長さ×1/3

例えば、ホイールベースが2.55mのクルマなら、内輪差は0.85m(=85cm)となります。

まとめ

内輪差をしっかり理解しておけば、愛車以外のクルマを運転する場面でも応用が利きます。今回ご紹介したポイントを参考に、いま一度おさらいしてみてはいかがでしょうか。