ETCの意味は?実はキャッシュレスの先駆けだった!
- トリビア
- 2022.03.01
キャッシュレス化が急速に進む昨今。クルマもその例外ではありません。国土交通省は2020 年12月、ETC専用化等による高速道路料金所のキャッシュレス化・タッチレス化に向けたロードマップを発表。都市部は5年、地方部は10年程度での実現を目指し、今春には首都高の34カ所の料金所がETC専用化されるなど、着々と整備が進められています。そこで今回は「ETC」について詳しく解説します。
目次
ETCとは
「ETC(イーティーシー)」とは、専用の機器を使って高速道路などの通行料をノンストップで支払える自動料金収受システムのこと。Electronic Toll Collection Systemという英語の頭文字をとった略語です(「その他」「など」を意味する「etc.(エトセトラ)」はラテン語)。
日本では2001年4月に導入され、翌年3月にはわずか1.6%だった利用率は、導入から約5年後の2006年3月には56.9%にまで拡大。その後もさらなる広がりを見せ、2021年11月には93.6%と、いまや高速道路を利用するほとんどのドライバーにとって欠かせない存在となりました。
いまや一般的になったキャッシュレス決済手段ですが、Suicaのサービス開始(2001年11月)よりも早くスタートしたのがETCでした。実はキャッシュレス決済の先駆けだったのです。
さらに2021年春には「ETCX(ETC多目的利用)」がスタート。今後数年で、駐車場・ドライブスルー・ガソリンスタンドなど高速道路外のさまざまな施設(※)でも、乗車したまま料金を自動で決済できるようになる見込みです。
※加盟店の更新は2022年3月上旬ごろ予定
ETCの仕組み
ETCの料金所ゲートでは、クルマに装着されたETC車載器とゲートに設置されたアンテナとの間で、料金や入場記録などの情報が無線で交信されます。それにより自動で通行料金が支払われ、停車することなく通過できる仕組みです
ETCを利用するには車載器とETCカードが必須
ETCを利用するには、上に述べた無線通信を行うための「車載器」とそれに挿入して使う「ETCカード」が必要です。ETCカードはクレジットカード会社から発行されるもののほか、保証金(デポジット)方式のものもあります。
車載器とETCカードの規格は統一されており、1セット用意すれば全国どこの高速道路・有料道路でも利用できます。
また、車載器とカードの組み合わせは自由なので、例えば1枚のカードを愛車とレンタカーなど複数の車載器で使ったり、反対に1つの車載器で複数のカードを使い分けることも可能です(※)。
※ETCカードは原則、名義者のみ使用可能。入口と出口では同じカードを使用してください。
ETC2.0との違いは?
また、2016年ごろから本格的な運用が開始された「ETC2.0」には、従来の使い方に加えて、高速道路に設置された通信アンテナ(ITSスポット)との双方向通信により、迂回ルートの提供や安全運転のサポートなど新たな機能も追加されています。
中でも注目なのが、道の駅に立ち寄るために高速道路を一度降りても、連続して走行した場合と同じ料金で高速道路を利用できる「賢い料金」という制度。現在は国内23カ所限定で実験的に行われており、休憩施設不足の解消だけでなく地域活性化なども期待されています。
しかし現段階ではETC2.0対応の車載器が従来のものよりも高価ということもあってか、ETC2.0の利用率は2021年11月時点で27.0%と全体の3割にも満たず、まだまだ利用台数は多いとは言えない状況です。
高速道路・有料道路でのETC割引制度
ETCを使うメリットは、高速料金のスムーズな支払いだけではありません。各高速道路・有料道路では、ETCの利用者向けに通行料金がお得になるさまざまな割引を行っています。
1.深夜割引
0時~4時の間に対象区間を走行すると、通行料金が約30%オフ。
2.休日割引
土・日・祝日に対象区間を走行すると、通行料金が約30%オフ(大都市近郊区間を除く。軽自動車等(二輪車)、普通車のみ対象)。
3.平日朝夕割引
平日の朝6~9時、夕方17~20時に対象区間を走行すると、1カ月間の利用回数(最低5回~)に応じて、約30~50%分の還元額を翌月に付与(※)。
※「ETCマイレージサービス」の事前登録が必要
4.ETC限定企画割引
期間限定で、対象エリア内が定額料金で乗り放題。
その他にも、ETC2.0搭載車を対象にした「ETC2.0割引」など、さまざまな割引が実施されています。対象区間など詳しい利用条件は各有料道路のWebサイトをご確認ください。
ETCエラーが発生したときには
ETC車載器の動作は、基本的に音声やブザー音でわかるようになっています(機種によっては消音設定も可能)。運転中、警告音が鳴るなど様子がおかしいと感じたときは、以下のポイントをチェックしてみましょう。
カード挿入ミスがないかチェック
よくあるミスが、ETCカードの挿し忘れです。カードが入っているにもかかわらず警告音が鳴る場合は、一度抜いてカードの向きが合っているか、ICチップ部分が汚れていないかなどを確認してから再度挿しなおしてみてください。
カードの有効期限切れをチェック
また、意外と見落としがちなのがETCカードの有効期限。期限の切れたカードを使用すると、ETCレーンのバーが開きません。クレジットカード会社が発行するETCカードは原則自動更新で、期限を迎える前に新しいカードが届く場合がほとんどですが、ときどき有効期限を確認しておきましょう。車載器のメーカーによっては、カードの有効期限を音声で教えてくれるものもあります。
なお、運転中にETCカードを抜き挿しするのは大変危険です。高速道路や有料道路を利用する際は、必ず出発前にETCカードと車載器のチェックをお忘れなく!
まとめ
スピーディーで便利なETCですが、ときには何らかのトラブル(バーが開かない、先行車両が急停止した、緊急時に係員が横断した……など)が起こる場合もあります。
思わぬ事故を防ぐためにも、料金所に進入する際は必ず時速20km以下に減速し、レーン内では徐行を心がけてくださいね。