自動車を所有している方にとって定期的に訪れる車検。法律に基づく重要な検査ですが、「いつから受けられるのか」「最新の制度はどうなっているのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。2025年4月からは車検を受けられる期間について改正が行われます。
今回の記事では、車検制度の最新情報や注意点について詳しく解説します。
目次
2025年4月から、車検期間の前倒し!
2025年4月から、車検を受けられる期間が変わります。これまで「有効期間満了日の1カ月前から満了日まで」とされていた期間が、「有効期間満了日の2カ月前から満了日まで」に拡大されるのです。
なぜ車検制度が変更されたのか
この制度変更の背景には、車検の需要が年度末に集中しているという点があります。多くのユーザーが整備や車検の予約を取りづらく、自動車整備士も残業や休日出勤を余儀なくされ、働き方の面でも問題が生じていました。
これらの課題を解決するために、道路運送車両法施行規則が改正され、2025年4月1日から車検の受検可能期間が拡大されることになりました。これにより車検需要の分散化が図られ、ユーザーにとっても整備士にとっても、より良い環境が整うことが期待されています。
自賠責保険も2カ月前から更新可能に
車検と同時更新されるのが一般的な自賠責保険についても、車検期間の拡大に合わせて制度が変更されます。自賠責保険の更新も「有効期間満了日の2カ月前から」可能になります。
近年の車検制度の変更点

車検制度は、自動車技術の進化や社会環境の変化に合わせて少しずつ変更されています。2025年4月の改正以外にも、近年いくつかの重要な変更がありました。ここでは2024年に行われた2つの変更点について見ていきましょう。
2024年8月に「ヘッドライトの検査方法の改正」
2024年8月からは、ヘッドライトの検査方法が変更されました。この改正は1998年9月1日以降に製作された自動車が対象となります(二輪自動車や特定の車両を除く)。改正の主なポイントは以下の通りです。
- 初回検査時は、ロービーム計測のみで基準適合性審査を実施。
- 再検査時はこれまでどおり、ロービームの照射光線が他の交通を妨げないことが確認できた場合に限り、ハイビーム計測を行う。
さらに、2026年8月1日からは、すべての対象自動車において、ロービーム計測のみで基準適合性審査を実施する予定となっています。このとき、ロービーム計測で基準不適合の場合、再入場時のハイビーム計測は行われません。
2024年10月に追加された「OBD検査」とは
2024年10月からは、OBD検査(On-Board Diagnostics検査)が追加されました。これは、自動車に搭載された自己診断機能を活用して、電子制御装置などの故障の有無を判定する検査です。
OBD検査が追加された背景には、自動ブレーキや車線維持支援機能といった自動運転技術の普及があります。これらの高度な電子制御装置が故障した場合、安全性に大きな影響を与える可能性があるため、車検においても電子制御装置の機能確認を行う必要性が高まりました。
検査では、特別な診断機(検査用スキャンツール)を自動車のデータリンクコネクタに接続し、故障に該当する情報(特定DTC)がないかを確認します。検査対象となるのは、2021年10月1日(輸入車は2022年10月1日)以降のフルモデルチェンジ車です。対象車両の車検証には「OBD検査対象」という記載があります。
なお、車検の際には、データリンクコネクタに接続されたドライブレコーダーなどの機器を事前に取り外しておく必要があるため、注意が必要です。
車検が切れてしまった場合どんな問題が発生する?
車検は、安全面や環境面から自動車が保安基準に適合していることを確認するための重要な制度です。それでは、うっかり車検の有効期限が切れてしまった場合、どのような問題が生じるのでしょうか。
所有しているだけであれば問題はない
車検が切れた自動車を所有しているだけであれば、法律上の問題は発生しません。ただし、私有地内でも車検切れの自動車を使用する場合は、安全面で不安が残るため、できるだけ早く車検を受けることをおすすめします。
公道走行はできない
車検切れの自動車で公道を走行することは、「無車検車運行」として道路運送車両法第58条違反となります。同法第108条により、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられるほか、違反点数6点で免許停止となるため、非常に重い罰則が科されます。
車検が切れてしまった場合の対応
車検が切れてしまった場合、車検場に自走して持ち込むことができません。そのような場合には、臨時運行許可証(いわゆる「仮ナンバー」)を取得する必要があります。
仮ナンバーの申請手続きは、最寄りの市役所や区役所などで行います。申請には以下の書類が必要です。
- 申請書(住所、氏名、車名、形状、車台番号、運行の目的、運行経路、運行期間などを記入)
- 車検証(車台番号確認用)
- 自賠責保険証書(運行期間をカバーしているもの)
仮ナンバーは、審査後すぐに交付されますが、許可される日数は最長でも5日間であり、必要最小限の日数しか許可されません。また、使用後は5日以内に返納する必要があります。
車検満了日の確認方法

車検切れを防ぐためには、車検の満了日を正確に把握しておくことが大切です。満了日を確認する方法は、主に以下の2つです。
車検シールで確認する
最も簡単な確認方法は、フロントガラス右上に貼られている検査標章(車検シール)を見ることです。車外から見える表面には、上の小さな数字が満了する年、下の大きな数字が満了する月を示しています。より正確な満了日を知りたい場合は、車内から見える裏面を確認してください。裏面には年月だけでなく日にちも記載されています。
ちなみに、フロントガラスの左上に貼られているステッカーは法定点検の時期を示す「点検ステッカー」と呼ばれるものです。車検の満了日を示すものではないため、混同しないようにしましょう。
車検証で確認する
車検の有効期間満了日は、車検証(自動車検査証)でも確認できます。車検証の「有効期間の満了する日」の欄に記載されている年月日が満了日です。
なお、公道を走行する際は必ず車検証を携行するように義務づけられています。車検満了日を確認した後は、車検証を元の保管場所へ戻しておくこともお忘れなく。
まとめ
2025年4月から、車検の受検可能期間が「有効期間満了日の2カ月前から満了日まで」に拡大されます。
車検のタイミングが近づいてきたら、なるべく早めに複数の車検対応店にサービス内容を見積もり、比較検討しておくことをおすすめします。指定工場と認証工場では、費用や手続きなどに違いがあるため、自分にベストな業者を選びましょう。余裕をもって行動することで、自分に最適なタイミングで車検を受けるメリットを最大限に活かせるはずです。