意外と知られていない?タイヤを修理できる「範囲」の基準とは
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- 2017.06.292020.07.30Update
ドライバーなら誰もが一度は経験する、タイヤの損傷トラブル。クルマのタイヤは高価なだけに、なるべく修理して大事に使いたいところですが、すべてが修理可能とは限りません。社団法人日本自動車タイヤ協会では、自動車タイヤの「安全基準」として、タイヤの“修理可能な範囲と箇所数”がきちんと規定されています。しかし2011年に実施されたインターネット調査によると、この安全基準に対するドライバーの認知度は約10%とかなり低い結果に。これだけは覚えておきたい、タイヤの安全基準について解説します。
目次
修理ができないタイヤ
スリップサインやベルトの露出は言うまでもありませんが、以下の損傷がある場合もタイヤの修理は不可能となります。
- ショルダー、サイド又はビード部にコードに達している外傷またはゴム割れのあるタイヤ
- トレッド部のコードに達している外傷またはゴム割れがあり、それらが修理可能の範囲を超えているもの
- セパレーションしているタイヤ
- コード切れ、またはひきずり(空気圧が極端に低い場合又はパンク等により空気が抜けた状態で走行した為に発生する損傷)のあるタイヤ
- 油、薬品等によるゴム層に変質のあるタイヤ
- インナーライナーに損傷のあるタイヤ
このような損傷を見つけた場合は、すみやかにタイヤを交換しましょう。
修理ができるタイヤ
修理が可能となるのは、タイヤのトレッド面(地面に接触する部分)に空いたクギ穴または類似の貫通傷の場合。さらに安全基準として以下のように損傷の大きさや個数、間隔が細かく定められています。
【普通乗用車、軽トラック、小型トラック用タイヤ(6.50相当以下)の場合】
- 損傷の直径…6㎜以下
- 損傷の個数…2個以内
- 損傷の周上間隔…40㎝以上
【トラック及びバス、小型トラック用タイヤ(7.00相当以上)の場合】
- 損傷の直径…8㎜以下
- 損傷の個数…3個以内
- 損傷の周上間隔…70㎝以上
損傷がこの基準を超えてしまっている場合、タイヤの修理や再利用はできません。
例えば、空気圧の低い状態での走行などによりトレッドセパレーションが発生したタイヤや外部からの衝撃などによりタイヤが破裂する「バースト」の場合、一般的なパンクよりも損傷が大きいため修理は不可能です。
また、タイヤ側面(サイドウォール部)の損傷も、トレッド面とくらべてゴムが薄いため修理が難しくなります。特に側面の一部が膨れて盛り上がる変形「ピンチカット」は、タイヤ内部のコードが切れている状態なので、修理や再利用ができません。そのまま走り続けるとバーストを引き起こす危険性があるため、すみやかに交換しましょう。縁石に強く乗り上げたり側面をこすったりしてしまったときには要注意です。
修理したタイヤの取り扱い方
修理方法やその技術にもよりますが、パンク修理をしたタイヤは新品と比較すると多少なりともリスクがあります。修理後のタイヤの取り扱いにも十分注意してくださいね。ポイントは、修理したタイヤを前輪に装着しないこと。走行中、万が一再度パンクやそのほかのトラブルが生じたときに、操縦不能状態に陥りやすいので、必ず守ってくださいね。また多くの国産車が当てはまるFF車(前輪駆動車)が、制動、駆動、コーナリングにおいて、前輪に負担がかかりやすいというのも理由のひとつです。以上のポイントに気をつけて、修理後のタイヤとも上手に付き合いましょう。
ベテランドライバーでも意外と見落としがちな、タイヤの安全基準。もちろんトラブルが起きないことが一番ですが、いざというときのために頭の片隅に入れておいてくださいね。