TOYO TIRES

タイヤがパンクしたとき交換は1本だけでいい? 正しい対処法を解説!

JAFの調査によると、2023年度のロードサービス出動理由で最も多かったのは「バッテリー上がり」、そして2番目に多かったのが「タイヤのパンク」だったそうです。パンクは毎年上位にランクインするほどメジャーなトラブルですが、なかには一度も経験がないという方もいるかもしれません。

そこで今回の記事では、タイヤがパンクしたときの対処法とタイヤ交換のポイントについて詳しく解説します。

タイヤがパンクしたらどうすれば良い?

タイヤがパンクしたときは、次の2つの条件を考慮して正しい対処法を選ぶことが重要です。

4本すべて交換した方が良い理由

多くのメーカーでは基本的に、タイヤがパンクした場合は4本すべてのタイヤ交換が推奨されています。なぜなら、新しいタイヤと古いタイヤではグリップ性能や外径などに差があるからです。タイヤは経年劣化などによって徐々にグリップ力が落ち、さらに摩耗していくことで溝が浅く、外径も小さくなっていきます。

タイヤを1本だけ新品に交換すると、ほかの3本とのあいだにグリップ差や回転差が生まれ、クルマの安定性が下がる可能性があります。また、各タイヤの回転数を検知して制御する安全装置にも異常が発生する場合があるので注意が必要です。

1本のみ交換でも良い場合とは

ただし、ほかの3本のタイヤが比較的新しく、経年劣化や摩耗が進んでいない場合は1本のみ交換することができます。この場合、すべてのタイヤのトレッドパターンが均一であることが重要です。交換したタイヤとほかのタイヤのトレッドパターンが異なる場合、駆動力や制動力のバランスが変わり、クルマの安定性に影響が出る可能性があります。

駆動方式別のタイヤ交換のポイント

クルマの安定性を保つためには、タイヤを交換した後も定期的なローテーションが必要です。4本のタイヤの摩耗を均一化させることでタイヤの寿命も延ばせます。ここでは駆動方式別のローテーション方法をご紹介します。

前輪駆動車(FF車)の場合

前輪駆動車(FF車)の場合は、前輪→後輪、後輪右→前輪左、後輪左→前輪右というように、後輪のみ左右を入れ替えて装着します。

後輪駆動車(FR車)の場合

後輪駆動車(FR車)の場合は、後輪→前輪、前輪右→後輪左、前輪左→後輪右というように、前輪のみ左右を入れ替えて装着します。

4輪駆動車(4WD車)の場合

4輪駆動車(4WD車)もFR車と同じく、後輪→前輪、前輪右→後輪左、前輪左→後輪右という位置で入れ替えて装着します。

いずれの駆動方式でも、同一サイズのスペアタイヤがある場合は5本で位置交換を行います。ただし、非対称パターンや方向性パターンのタイヤは入れ替えられる位置が限られますので、詳しい装着方法は取扱説明書を参考にするか、タイヤ専門店などにご相談ください。

修理可能なパンクと修理不可能なパンク

1本でもパンクをしたら全タイヤ交換が基本。とはいっても、費用やタイミングの関係でいったん修理して様子を見たいという方もいるでしょう。しかしパンクには修理可能なものと不可能なものがあります。ここでは一般社団法人日本自動車タイヤ協会が規定している自動車タイヤの「安全基準」をもとに、2つの違いについて見ていきましょう。

修理可能なパンク

修理可能となるのは、パンクの原因がタイヤのトレッド面(地面に接触する部分)に空いたクギ穴または類似の貫通傷である場合です。さらに安全基準として、以下の条件が定められています。

【普通乗用車、軽トラック、小型トラック用タイヤ(6.50相当以下)の場合】

  • 損傷の直径:6mm以下
  • 損傷の個数:2個以内
  • 損傷の周上間隔:40cm以上

【トラック及びバス、小型トラック用タイヤ(7.00相当以上)の場合】

  • 損傷の直径:8mm以下
  • 損傷の個数:3個以内
  • 損傷の周上間隔:70cm以上

上の条件に収まる傷であればパンク修理は可能ですが、修理はあくまでも応急処置。特に自分で作業した場合は修理が不十分になることもあるので、なるべく早めにタイヤ交換することをおすすめします。また、FF車(前輪駆動車)は前輪に負担がかかるため、修理したタイヤを前輪に装着しないことも重要なポイントです。

修理不可能なパンク

上にご紹介した基準を超えた傷のほかにも、以下の損傷がある場合も修理不可能となります。

  • スリップサイン、ベルトが露出したタイヤ
  • ショルダー、サイドまたはビード部にコードに達している外傷またはゴム割れのあるタイヤ
  • トレッド部のコードに達している外傷またはゴム割れがあり、それらが修理可能の範囲を超えているもの
  • セパレーションしているタイヤ
  • コード切れ、またはひきずり(空気圧が極端に低い場合またはパンク等により空気が抜けた状態で走行したために発生する損傷)のあるタイヤ
  • 油、薬品等によるゴム層に変質のあるタイヤ
  • インナーライナーに損傷のあるタイヤ

このような場合は修理をあきらめて速やかにタイヤ交換を行いましょう。

パンクしたタイヤの交換方法

続いて、パンクしたタイヤの交換方法について解説します。ここでは2つの方法を見ていきましょう。

自分で交換する

スペアタイヤをクルマに積んでいれば、自分での交換が可能です。大まかな流れは以下のとおりです。

  • クルマを安全な場所に停めてパーキングブレーキをかけ、パンクしたタイヤの対角線上にあるタイヤに輪止めを設置する。
  • ホイールキャップを外し、ホイールナットを少しゆるめる。
  • ジャッキアップポイントを確認し、タイヤが地面から少し浮く程度までジャッキで車体を持ち上げる。
  • ゆるめておいたナットを外してパンクしたタイヤを取り外す。外したタイヤはジャッキが外れたときのために、車体の下に入れておく。
  • スペアタイヤを取り付ける。ナットは2、3回に分けて仮締めし、車体を下ろした後に本締めする。既定のトルクがわからない場合やトルクレンチが手元にない場合は、専門店で速やかに点検を受ける。

タイヤ交換には、スペアタイヤのほかに工具や知識も必要になってきます。手順に不安がある場合はロードサービスを利用するのも手です。また、応急用のテンパータイヤは長距離走行には向いていないので、その後タイヤの履き替えが必要になるという点も覚えておきましょう。

タイヤ専門店に依頼する

また、タイヤ専門店に交換を依頼するという方法もあります。軽度のパンクであれば、クギなどの異物は取り除かずにパンク修理キットで応急修理をしたうえで、専門店に車両を持ち込みましょう。

交換にかかる費用は業者によってバラつきがありますが、1本あたり数千円程度が目安です。タイヤを店舗で購入するか持ち込むかによっても費用は異なるので、各店舗にお問い合わせください。専門店に交換を依頼することによって、正確で迅速なサービスを受けられるほか、他のメンテナンスや点検を同時に依頼できるというメリットもあります。

タイヤのパンク予防対策

最後に、タイヤのパンク対策についても確認しておきましょう。2つの方法をご紹介します。

定期的に空気圧を確認する

空気圧の過不足は、クルマにさまざまなトラブルを引き起こします。特に空気圧不足は、走行時にタイヤが大きくたわむことによって損傷やパンクの原因になるので注意が必要です。少なくても月1回を目安に点検・調整して適正空気圧を保ちましょう。

タイヤローテーションを行う

定期的なタイヤローテーションもパンク予防に効果的です。偏摩耗を防いだり、タイヤの性能を維持したりするメリットもあります。

まとめ

安全のためとはいえ、突然のパンクでタイヤを全部交換となるとかなり手痛い出費です。タイヤの状態や駆動方式などによっては1~2本の交換で済むケースもあるので、まずはお近くの店舗やディーラーに相談してみてはいかがでしょうか。