安全運転の大切なポイントとして、必ず挙げられるのが「車間距離の確保」です。道路交通法(第26条 車間距離の保持)では、先行車が急停止しても追突を避けられる程度の距離を保つように定められています。
今回の記事では車間距離を取らなかった場合の罰則や適切な車間距離の目安、煽り運転(あおり運転)との違いなどについて詳しく解説します。
目次
車間距離不保持違反(車間距離保持義務違反)とは

適切な車間距離を取らないと、道路交通法第26条により「車間距離不保持違反」に問われる場合があります。
一般道での違反点数と反則金
一般道では「車間距離不保持違反」として、反則金6,000円(普通車の場合)と違反点数1点の罰則が設けられており、さらに5万円以下の罰金が科せられる場合もあります。
高速道路での違反点数と反則金
また、高速道路では「高速自動車国道等車間距離不保持違反」として、反則金9,000円(普通車の場合)と違反点数2点の罰則が設けられており、さらに3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる場合もあります。
適切な車間距離とは
クルマの速度や天候などによって停止距離は異なるという理由から、適正な車間距離=○○kmという明確な数字はありません。以下では2つのシチュエーションにおける目安をご紹介します。
一般道路の場合

時速30~60kmの一般道路では、走行速度から「15」を引いた数値(m)が目安です。50kmで走っているなら、「50-15」で35m程度ということになります。
一般道路の白い破線になった区画線(センターライン)は、線と間隔がそれぞれ5mずつ(=合わせて10m)である場合が多いほか、日本全国の電柱は約 30m~50m間隔で設置されています。車間距離を測るときはこういった目印も活用してみてください。
高速道路の場合

高速道路には、制限速度が時速80kmの場所では40mごと、時速100kmの場所では50mごとに「車間距離確認表示板」が設置されています。高速道路での車間距離は、時速100kmなら100mというように「速度と同じ距離(m)を空ける」と教習所で習った人も多いのでは?
しかし、公益財団法人「高速道路調査会」がまとめた資料では、このルールについて「逆に割り込みにより安全性や快適性が阻害され、混雑した状況では守られていない」と指摘しています。
そこで代わりに推奨されているのが、車間距離を「時間」で測る方法です。路面のジョイントや照明灯などを基準にして、前車がその地点を通過してから自分が到達するまでの時間を数えます。適切な時間は高速道路で3秒以上(一般道では2秒以上)が目安です。そのまま数えると早くなりやすいため、「ゼロイチ、ゼロニ」と間にゼロを入れてゆっくりと数えることがポイントです。
車間距離の不足が引き起こすこと
車間距離の不足は、主に以下2つのトラブルの原因になります。
追突事故の要因に
交通事故のなかでも毎年3割以上を占めているのが「追突事故」。車間距離が足りていないと、前方のクルマの急ブレーキに間に合わず追突してしまう危険性が高くなります。
煽り運転と誤解される可能性
また、先行車との車間距離が狭すぎると先行車のドライバーに「煽り運転」と誤解される可能性もあります。
煽り運転はまた違う罪に問われる
ほかのクルマを妨害する目的で車間距離を詰めていると見なされた場合は「妨害運転罪」が適用され、車間距離不保持よりも厳しい処分が設けられています。
まず通常の妨害運転罪(妨害目的の煽り運転)では、違反点数25点、欠格期間2年の免許取り消し(前歴がない場合)、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
また、煽り運転によって高速道路でほかの車両を停止させるなど“著しい交通の危険を生じさせた場合”には、違反点数35点、欠格期間3年の免許取り消し(前歴がない場合)、5年以下の懲役または100万円以下の罰金といったように、より重いペナルティーを受けることになります。知らず知らずのうちに加害者とならないように気をつけましょう。
まとめ
車間距離が不足すると追突事故のリスクが高まるだけでなく、車間距離不保持違反(車間距離保持義務違反)に問われたり、意図せず煽り運転と誤解されたりする可能性もあります。特に妨害目的の行為と判断された場合は妨害運転罪が適用され、免許取り消しや懲役刑など車間距離不保持違反よりもはるかに重い処罰を受けることになります。
安全で快適なドライブを実現するためにも、日ごろから適切な車間距離を意識し、余裕を持った運転を心がけましょう。