適切なタイヤの空気圧について
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- 2022.01.252023.10.18Update
タイヤが適切な空気圧を保っているかを確認することは、タイヤの溝の深さの点検と同じくらい重要で、安全運転に関わるポイントです。タイヤと路面との接地面積はわずかハガキ1枚ほどの大きさで、タイヤの空気圧が変わるとタイヤの形が変わり接地面積も変わってしまうため、クルマの運動性能の変化に直結してしまうのです。
今回は、適切なタイヤの空気圧についての基礎知識と、点検方法などを解説します。
目次
タイヤの適正空気圧とは
タイヤには、新車装着されたタイヤサイズごとに設定された「指定空気圧」があります。適正な空気圧とはこの「指定空気圧」のことを指します。
タイヤの適正空気圧の調べ方
適正空気圧を調べるには、一般的に運転席側のドアの開口部に貼られているラベルを確認します。このラベルには、そのクルマの指定タイヤサイズとともに車両指定空気圧が記載されています。もし見つからない場合は、クルマの取扱説明書にラベルの位置が示されていますのでそちらを確認しましょう。
よく見ると、前輪と後輪とで指定空気圧が異なる場合もあります。片一方の空気圧だけを確認して、すべて同じ空気圧にしてしまわないよう注意します。
空気圧が不適切な場合に起こるトラブル
タイヤの空気圧は、高すぎても低すぎてもドライバーにとってよくありません。空気圧が適正値になっていない場合に起こるトラブルの例をご紹介します。
空気圧過多の場合
タイヤの空気圧が高いと「センター摩耗が発生しやすくなる」「縁石などに接触した際のカット傷を受けやすくなる」「タイヤがはねる感じになり、乗り心地が悪くなる」といった影響が生じます。あえて空気圧を高めにすることで燃費が上がるという説もありますが、その差は微々たるものです。
空気圧不足の場合
また空気圧が不足した状態での走行にはさらに多くのデメリットがあります。「両肩摩耗が発生しやすくなる」「ハイドロプレーニング現象やスタンディングウエーブ現象が発生しやすくなる」「パンクやバーストが起きやすくなる」「ホイールからタイヤビード部が外れやすくなる」「発熱によるセパレーションやコード切れが発生しやすくなる」「燃費の悪化」「タイヤが揺れる感じになる」といった事象や影響が発生しやすくなります。
クルマの運動性能は、タイヤの接地形状と密接に関連しています。タイヤの空気圧が変化して路面との接地面積や形状が変わると各種の偏摩耗や外傷、セパレーションなどの故障の元になるのです。安全運転のためにもタイヤの空気圧は適正に管理することが重要なのです。
タイヤの空気圧の点検・調整
タイヤの空気圧は気温差によって変わり、20℃で7%変化します。高速道路を長時間走行した直後などはタイヤの温度が上がって空気圧が高まることもあるので、メンテナンスはタイヤが冷めた状態で行いましょう。ここでは空気圧の点検と調整の方法について解説します。
タイヤの空気圧の点検方法
タイヤの空気圧は、1か月で約5%減少してしまいます。そして、空気圧が適正かどうかは、見た目やタイヤのたわみ具合では判断できません。そのため1か月に一度程度は点検や空気の充塡を行って、適切な空気圧を保つようにしましょう。
空気圧の点検には「エアゲージ」と呼ばれる整備工具を使います。はじめから車載されているものではないので、自宅で点検したい場合は別途購入する必要があります。
タイヤに空気を入れる方法
タイヤの空気圧の点検・調整をするのに、最も身近な場所はガソリンスタンドです。スタッフに空気圧の点検とともに空気の充塡を依頼することもできますし、セルフで利用できる空気充塡機が設置されているところでは、自分で適正空気圧まで充塡可能です。
エアタンクタイプの空気充塡機は、あらかじめタイヤのエアバルブのキャップを外してからバルブにエアチャックを押し当てて現在のタイヤの空気圧を測定し、そこから適正空気圧になるよう手動で空気圧を調整します。据え置きタイプの空気充塡機は、現在の空気圧を測定できませんが、ボタンで指定空気圧の数値を設定するとその空気圧になるよう自動的に充塡してくれます。
タイヤから空気を抜く方法
手動での調整で空気圧が高くなりすぎてしまった場合は、エアゲージの空気抜きボタンやエアタンクの「-(マイナス)ボタン」を押すことで空気を抜けます。据え置きタイプでは設定した空気圧になるように自動的に充塡してくれるので、空気を抜く必要はありません。
ちなみに空気を抜く専用の機械として「クイックデフレーター」というものも販売されていますが、こちらはオフロード走行などの際に意図的に空気圧を下げて走行性能をアップさせるためのものなので、通常の走行であれば基本的に用意する必要はなさそうです。
スペアタイヤの点検
いざというときに使うスペアタイヤの空気圧も、しっかり確認しておきましょう。黄色いホイールのテンパータイヤ(応急用タイヤ)では、通常のタイヤよりも指定空気圧が高く約2倍になっています。
通常のタイヤの空気圧が見た目では分からないように、触った感触などでは適正な空気圧かは分かりませんので、年に一度程度はクルマに搭載されているスペアタイヤやテンパータイヤの空気圧もチェックしておきましょう。
窒素ガス充塡のメリット
タイヤに空気を充塡する際、空気ではなく「窒素ガス」を充塡するケースもあります。窒素ガスには、空気と比較して空気圧が下がりにくく、タイヤ内部の金属パーツがさびにくいため、タイヤやホイールを傷めにくい。また、温度変化に強いというメリットがあります。
空気充塡では無料のところがほとんどですが、窒素ガスを充塡する場合はタイヤ1本につき500円程度~が相場です。空気圧の不足に気付いたときには、ガソリンスタンドのスタッフに尋ねてメリットを確認してみるのもいいでしょう。
まとめ
2022年にJATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)が全国で行った路上タイヤ点検の結果によると、整備不良があったクルマのうち最も多かった項目が「空気圧不足」だったそうです。日常点検はもちろん、タイヤ交換の後や長距離運転の前には特に念入りにチェックしておいてくださいね。