クルマにまつわる「音」と「光」のルール
- HOW TO
- 2021.08.30
クラクションやライトといえば、安全確保やドライバー同士のコミュニケーションなどに使われる重要なパーツ。今回は、こうしたクルマの「音」や「光」にまつわるルールやトリビアをいくつかご紹介します。
その1:クラクションの大きさには規定あり
「道路運送車両の保安基準」第43条に基づいて設置が義務付けられている、「クラクション(警音器)」。その音量や音色などにも基準があり、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第141条(警音器)には、
一 警音器の音の大きさ(2以上の警音器が連動して音を発する場合は、その和)は、自動車の前方7mの位置において112dB以下87dB以上(動力が7kW以下の二輪自動車に備える警音器にあっては、112dB以下83dB以上)であること。
二 警音器は、サイレン又は鐘でないこと。
「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第141条
とあります。参考までに生活音の目安を挙げておくと、地下鉄車内は80dB、ライブハウス・カラオケが100dB、飛行機が120dBといわれています。
そのほかにも、「(音が)連続するものであり、かつ、音の大きさ及び音色が一定なものであること」と基準が定められており、
一 音が自動的に断続するもの
二 音の大きさ又は音色が自動的に変化するもの
三 運転者が運転者席において、音の大きさ又は音色を容易に変化させることができるもの
「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第141条
の3つに当てはまるものは適合外となるので、交換する際は注意しましょう。
その2:バックブザーにはルールがない!
シフトを「R(リバース)」に入れたとき、「ピーッピーッ」「キンコンキンコン」などと音が鳴る「バックブザー」。トラックなどの大型車では、車外でも耳にすることがありますよね。
実はこういったバックブザーは、各自動車メーカーが誤操作・事故を防止するために自主的に取り入れたもの。法的な規定はないため、鳴らない車種があるほか、夜間は音を消せる機能をもつバックブザーも販売されています。
ただし徳島県では、全盲の男性と盲導犬が後退してきたトラックにはねられ死亡した事故を受け、2015年12月にバックブザーの使用を義務化(※装置が付いている場合)する条例が成立しています。
その3:ウインカーの点滅周期にも規定あり
また、「ウインカー(方向指示器)」にも多くの基準が設けられています。光源のW(ワット)数や照明部の面積、取付位置などは自動車の種類により要件が異なるため省略しますが、点滅回数については以下のように定められています。
一 方向指示器は、毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するものであること
「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第215条の4
この範囲内であれば点滅回数は自由なので、メーカーや車種などによって若干の違いが生じる場合があります。右左折待ちの際に注目してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、同じ第215条の「二」によってウインカーの灯光の色は「橙色」と定められています。
その4:ロービームの明るさの基準は?
夜間走行時や悪天候時の命綱ともいえる「ヘッドライト」。車検では2015年9月から規則が改正され、ハイビーム(走行用前照灯)ではなくロービーム(すれ違い用前照灯)での測定となりました(※自動車検査証の初度登録時期により例外あり)。
光の向きや色など細かく規定されており、明るさ(光量)の基準は1灯につき6400カンデラ以上。あまり聞きなれない単位かもしれませんが、1カンデラ=ろうそく1本分の明るさと言われています。
ちなみに照明選びなどの際、「ルクス」や「ルーメン」といった単位も耳にすることがありますが、ルクスは照度(照らされた明るさ)、ルーメンは全光束(光源が放つ光の総量)、カンデラは光度(距離にかかわらず、特定の方向に放射される光の強さ)という違いがあります。
よく知っているようで、実は奥が深いクルマの「音」と「光」。クラクションはあまり使う機会がないかもしれませんが、ドライブの際にぜひ思い出してみてください。