「高速道路に乗ると、なんだか車内がうるさい気がする」「走りだすとゴーッという音が気になって…」といった経験はありませんか? 走行中に感じる車内のノイズは、タイヤが原因かもしれません。
タイヤから発生するノイズは大きく分けて「ロードノイズ」と「パターンノイズ」の2種類で、それぞれ原因も対策もまったく異なります。この違いを知っておくだけで、タイヤ選びやメンテナンスへの向き合い方が大きく変わります。今回の記事では、「なんとなくうるさい」から一歩踏み込んで、ノイズの正体を探っていきましょう。
目次
ロードノイズとパターンノイズ──2種類のノイズの違い
まずはロードノイズとパターンノイズ、それぞれの特徴を整理しておきましょう。
① ロードノイズ──「ゴー」「ガー」という重い音
ロードノイズとは、路面の凹凸によってタイヤが振動し、その振動が車体に伝わることで生じる低周波音のことです。「ゴー」「ガー」といった重くこもった音が特徴で、高速道路や荒れた舗装路などを走行するときに特に感じやすくなります。
② パターンノイズ──「シャー」「ヒュー」という高めの音
一方パターンノイズとは、タイヤの溝(トレッドパターン)が路面と接触する際に発生する中〜高周波音のことです。「シャー」「ヒュー」といった音で、こちらは滑らかな路面でも発生します。走行中、タイヤの溝の中の空気が圧縮され、タイヤの回転によって押し出されることで音が生じます。
それぞれのノイズが大きくなる原因

ロードノイズとパターンノイズには、それぞれ音が大きくなりやすい原因があります。どちらのノイズが気になるかによって、見直すべきポイントも変わってきます。
ロードノイズが大きくなる主な原因
ロードノイズは、路面の凹凸がどれだけタイヤで吸収されるか、そして車体にどれだけ伝わるかによって大きさが変わります。
- ゴムの硬さ:ゴムが硬いタイヤほど、路面の凹凸をうまく吸収できず、振動が車内に届きやすくなります。特に使用年数を重ねたタイヤはゴムが経年劣化で硬くなっている場合があるため、注意が必要です。
- 空気圧が低い/高い:空気圧が適正値からずれていると、タイヤと路面の接触状態が乱れ、ロードノイズが増す原因になります。低すぎても高すぎても悪影響があります。
- 偏平率の低いタイヤ:サイドウォール(タイヤ側面)が薄く接地面が広いタイヤは、路面からの振動をダイレクトに伝えやすく、ロードノイズが発生しやすい傾向があります。スポーティーなデザインのクルマに採用されることが多いタイプです。
- タイヤの摩耗:摩耗が進んだタイヤや偏摩耗のあるタイヤは、路面との接触状態が均一でなくなるため、ノイズが増しやすくなります。
パターンノイズが大きくなる主な原因
パターンノイズは、タイヤの溝のデザインと摩耗状態が大きく影響します。
- トレッドパターンのデザイン:縦方向の溝が中心の「リブパターン」は静粛性に優れていますが、ブロックが大きい「ブロックパターン」は雪道などの走破性には有利な一方で、パターンノイズが出やすい傾向があります。
- 偏摩耗:前後左右のタイヤで摩耗に偏りがあると、溝の形状が崩れて音のリズムが乱れ、不快な音につながることがあります。
- 路面状態:どれだけ性能の良いタイヤでも、粗い舗装路など凹凸の多い道を走れば滑らかな道に比べてパターンノイズも大きくなります。
「低車外音タイヤ」ラベリングをチェック

日本自動車タイヤ協会(JATMA)では、2023年から「低車外音タイヤ」というラベリング制度を運用しています。これは、走行中にタイヤから発生する車外騒音が一定の基準値以下であるタイヤに、専用のアイコンを表示する制度です。
このラベリングが示しているのは、あくまでもクルマの外に聞こえる音の大きさです。そのためドライバーが車内で感じるロードノイズやパターンノイズの静かさを直接表すものではありませんが、交通騒音を抑えることにつながるため、タイヤ選びのひとつの目安としてチェックしてみるといいでしょう。
「コンフォート系」のカテゴリを選ぶ
静粛性を重視して設計されたタイヤには、大きく以下のようなカテゴリがあります。
- コンフォートタイヤ:静粛性・乗り心地・操縦安定性をバランスよく両立することを目指して設計されたカテゴリです。長距離ドライブや高速道路を頻繁に利用する方、日常の乗り心地を重視する方に向いています。
カタログスペックをいきなり比較するのではなく、まずは自分のクルマや使い方に合ったカテゴリを絞り込むことが、静粛性の高いタイヤへの近道です。
今日からできる!ノイズを抑える3つのメンテナンス

静粛性の高いタイヤに交換することはもちろん効果的ですが、今使っているタイヤでも、日常のメンテナンスを少し見直すだけでノイズを軽減できるケースがあります。おすすめの3つの習慣をご紹介します。
① 適正空気圧を維持する(月1回)
空気圧の過不足は、ロードノイズが大きくなる最大の要因のひとつです。月に1回、ガソリンスタンドなどで空気圧を確認する習慣をつけましょう。適正値は、運転席のドアを開けたところや給油口付近に貼られたシールに記載されています。正確な数値を計るために、走行前のタイヤが冷えた状態で測定するのがポイントです。
② 定期的にタイヤローテーションを行う
ローテーションとは、タイヤの装着位置を前後・左右に定期的に入れ替えることで、車両に装着された4本のタイヤの摩耗を均一化し、タイヤをより長く安全に使用するための作業です。
駆動方式やタイヤの向き指定により入れ替えパターンが異なります。例えば前輪駆動(FF)のクルマでは、駆動と操舵の両方を担う前輪が後輪よりも早く摩耗しやすいので要注意です。
目安としては、5,000〜10,000kmの走行ごとにローテーションを行うことで4本のタイヤを均等に摩耗させられる(=偏摩耗を防止できる)ため、パターンノイズの抑制につながります。シーズンごとのタイヤ交換時やオイル交換などのタイミングに合わせてプロにお願いすると忘れにくいのでおすすめです。
③ 偏摩耗・ひび割れを早期発見する
洗車や給油のついでに、タイヤのまわりをぐるりと一周確認してチェックしてみましょう。外側だけが極端に減っていたり、中央だけが削れていたりといった偏摩耗や、サイドウォールの細かなひび割れなどは早期発見が大切です。偏摩耗が進むとパターンノイズが増すだけでなく、安全性にも影響が出てくるからです。
少しでも気になることがあれば、ディーラーやタイヤ専門店などのプロに早めに相談してみてください。アライメント(車輪の取り付け角度)のズレが原因で偏摩耗が起きている場合は、調整によって改善できます。
まとめ──ノイズの種類を知れば、タイヤ選びの目線が変わる
最後に、今回ご紹介した内容を簡単にふり返りましょう。
- タイヤの騒音には「ロードノイズ(路面の凹凸が振動として伝わる低周波音)」と「パターンノイズ(トレッドパターンの溝から生まれる中〜高周波音)」の2種類がある
- ノイズが大きくなる原因は、ゴムの硬さや空気圧のズレ、タイヤの偏平率、摩耗の状態、トレッドパターンのデザインなど多岐にわたる
- 静粛性を示す公的指標は現在ないため、「コンフォート系」「ミニバン向け」といった製品カテゴリで絞り込むのが現実的な選び方
- 空気圧の管理・タイヤローテーション・偏摩耗のチェックを習慣にすれば、今のタイヤのままでもノイズを抑えられる可能性がある
タイヤから聞こえてくる音は、愛車のコンディションを伝えるサインでもあります。ノイズの種類を知るだけで、タイヤ選びもメンテナンスも一段と賢くなります。ぜひ今日から、愛車の足元の声に耳を傾けてみてくださいね。




