たかが小石、されど小石。運転中に路面から跳ね上げた小さな石がフロントガラスに当たると、傷がついたり、場合によってはヒビが入ったりすることもあります。今回は、「飛び石」の仕組みや対策などについて詳しく解説します。
目次
飛び石とは?どうして起こる?
フロントガラスや車体などに小石が飛んでくることを「飛び石」といいます。ドライバーが気付かない場合もあれば、石のサイズや当たりどころによっては「バチン」と大きな音がして傷やヒビなど重大なトラブルに発展することもあります。飛び石はスピードの出やすい高速道路などで起こりやすく、速度が高いほどダメージも大きくなる傾向があります。
飛び石が起こる仕組み
飛び石の発生にはいくつかの理由が考えられますが、最も多いのは走行中に路上の石を跳ね上げるパターンです。また、タイヤの溝に挟まっていた石が落下して、それを跳ね上げてしまう場合もあります。そしてもう1つレアなものとしては、街路樹などの除草作業中に機械が石を跳ね上げるというパターンも考えられます。
飛び石は誰の責任?
なかには自車ではなく、他車が跳ね上げた小石が運悪く当たってしまう場合もあります。クルマが損傷したら相手のドライバーに修理代の賠償を……と思うかもしれませんが、難しいのが現実です。
刑事事件でも民事事件でも、相手に責任を負わせるには「加害者(加害車両)の故意や過失で石を飛ばしたことを証明する必要」があります。ほとんどの飛び石は偶発的に起こり、どのクルマが飛ばしたかを特定するのが難しいのです。
飛び石の傷を放置したらどうなる?
飛び石は突然起こるうえに修理費用も高額になりやすいので、ドライバーにとっては痛い出費です。小さな傷ならいったん様子を見ようと思うドライバーさんもいるかもしれませんが、放置することでさらに修理費用がかさんでしまうことも……。
たとえば温度変化が起こるデフロスター付近にできた傷は、使用するにつれて悪化したりフロントガラスが割れたりする原因になります。また、視界をさえぎるような位置に傷があれば車検に通らない可能性もあります。
ちなみに、ボディーの傷で塗装が剝げている場合はそこからサビが発生して劣化が進む可能性もあるので、こちらも早めの補修が重要です。
飛び石で傷が入ったらまずすべきこと
飛び石でフロントガラスに傷が入ったら、まずは安全な場所にクルマを止めて傷の状態を確認してみましょう。
傷のサイズや位置を確認
2cm以上の大きな傷や、視界をさえぎる傷、フロントガラスの端から10~20cm以内の場所にある傷などは、早めの補修・交換が必要です。また、最初は小さな傷でも走行中の振動などによって徐々に広がってくる場合もあります。自己判断が不安であれば、一度プロに見てもらうことをおすすめします。
小さな傷なら応急処置も
小さな傷なら自分でリペアするという方法もあります。UVレジンを使ったガラスリペアキットは数百円~3000円程度で販売されており、修理にかかる費用と時間を大幅にカットできます。
ただし、処理によっては思うような効果を得られず、傷の範囲が広がってしまうことも。一度ガラスリペアキットを使った部分はプロでも再修理が難しく、ガラス交換でかえって費用が高くつく可能性もあるので、慎重に検討したいところです。
自動車保険は適用可能?
飛び石は基本的に「飛来中または落下中の他物との衝突」による事故に該当するため、自動車保険(車両保険)で補償を受けられます。ただし補償を受けると、翌年度の保険の等級が下がって保険料が高くなるという注意点もあります。修理にかかる費用と、補償を受けた場合の保険料を照らし合わせて、保険適用するかどうかを検討すると良いでしょう。
修理や交換の費用と時間は?
飛び石によるフロントガラスの傷は、大きさや場所などの状態によって修理で済むこともあれば、交換が必要になることもあります。それぞれにかかる費用と時間の目安は以下の通りです。
修理にかかる費用と時間
傷の状態やガラスの種類によっても異なりますが、修理費用の相場は1.5万円~3万円からと考えておきましょう。所要時間は30~60分程度です。
フロントガラスの交換にかかる費用と時間
交換となると修理よりもさらに高額になり、7万〜10万円程度が目安です。作業自体は1時間前後で完了しますが、そこから数時間接着剤を乾燥させる時間も必要なので、半日~1日程度と考えておくと良いでしょう。業者によっては、代車の貸し出しを行っているところもあります。
修理・交換はいずれも業者によって費用に幅があり、店舗によっては修理で済むものでも交換を薦められる場合もあります。そのため、ディーラーやガラス専門工場など複数の業者に金額の見積もりを取るのが大切です。
今回は、誰にでも起こりうる「飛び石」についてご紹介しました。完全に防ぐのは難しいものですが、タイヤの溝に詰まった石を除去しておく、ガラスに保護フィルムを貼っておく、車間距離を十分に確保するなどの方法でリスクを減らすことはできます。日ごろから意識してみてはいかがでしょうか。