運転中にはさまざまな標識が目に入りますが、その中でもよく目にするのが「○○まで20km」といった、現在地からの距離が示されているもの。この標識の「○○」とは、いったい何を基準に、どこまでの距離を測っているのでしょうか。今回は、よく見る案内標識の豆知識を紹介します。
「○○まで◎km」の基準とは
「○○まで◎km」という表示を見てだいたいのイメージは浮かぶかもしれませんが、地名の指す範囲は東西南北に広がっていますし、市の真ん中だとしても、どこを基準とするのかは決めるのが難しそう…。いったいどの地点までの距離を表しているのかをご存じでしょうか。
案内標識に記された距離は、その標識の設置場所から、目標地の中心地点までの道路に沿った距離が表示されています。「目標地」の中心地点とは、原則として市役所や町村役場の正面地点となっていますが、その地点が市街地や中心から大きく離れている場合などは、主な交差点や駅、繁華街など、その地域を代表する地点が基準になることもあります。
つまり、一般的には標識のある場所から、その市区町村の役所、役場の正面までの距離が表記されており、そうでない場合でも、その地域の中心地に近いランドマークまでの距離となります。ちなみに、距離については、例えば、実際には、21.4kmであってもキロメートル以下を四捨五入して21kmと、キロメートル単位で表示しています。
特殊な「東京まで◎km」の基準
関東地方の道路を走っていると「東京まで◎km」という案内標識を見かけることがあります。「東京まで◎km」の基準となる「東京」とはどの地点かというと、今でも東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道の「五街道」の起点となっている「東京・日本橋」です。
1604年(慶長9年)に五街道の起点として定められた日本橋までの距離が、現在の標識にも示されています。例えば、国道1号線などに「東京まで◎km」という標識があれば、その地点から東京の日本橋までの距離、より正確に言えば「日本国道路元票」までの距離ということになります。
日本橋上の中央には五街道の起点を表す標識「日本国道路元標」が埋め込まれています。こちらは車道の真ん中なので、普段はなかなか間近で見ることはできませんが、日本橋の北西のたもとには「日本国道路元標」のレプリカが設置され、こちらは自由に見ることができます。
標識は誰が取り付けている?
今回紹介したような「○○まで◎km」という標識など、よく目にする道路標識は誰が取り付けているのでしょうか。
実は道路標識には、4つの種類があります。
- 「案内標識」…目的地や通過地までの距離、そして、地名や国道番号などを示している標識。
- 「警戒標識」…交差点・踏切・信号機があることなど注意深い運転を促す標識。
- 「規制標識」…通行止め・駐車禁止・一時停止など、禁止、規制、制限などを知らせる標識。
- 「指示標識」…駐車可・横断歩道・安全地帯など、通行するうえで守るべきことを促す標識。
このうち「案内標識」「警戒標識」は、道路管理者が取り付けます。国道は国、都道府県道は都道府県、市長村道は市町村が管理者として定められています。「規制標識」「指示標識」は、都道府県警察(公安委員会)が取り付けています。つまり、破損している標識を見つけたときなどに連絡すべき先は、その種類によって異なるわけです。
車に乗っていると、たくさんの道路標識を目にしていますが、意外と細かい意味まで知らないということも多いかもしれません。今回は案内標識の「○○まで◎km」の基準について紹介しました。今度、車に乗る時にはぜひ「市役所の前までの距離かな」などとちょっと注目してみてくださいね。