かつては、すべての自動車に装備されていた、高速走行時の警告音。「キン、コン、キン、コン」という音色に懐かしさを感じる世代もまだまだ多いのではないでしょうか。高速道路ではたびたび耳にしていたあの音も、いつしか聞く機会はなくなりましたが、いつからなくなったのか、ご存じですか? 昭和時代のノスタルジー「速度警告音」についてご紹介します。
そもそも「速度警告音」って?
あの音を知らない方向けに解説しますと、「速度警告音」とは、普通車では100km/h以上、軽自動車は80km/h以上に達すると注意喚起として鳴らされるものでした。高速道路では、警告音が連続して鳴り続けることもしばしば……。単調なリズムで続くために、かえって眠気を誘ってしまう、という声もあったようです。
義務付けられていた期間は1975年から1986年
あの装置の法律上の名称は「速度警報装置」といい、装備が義務付けられたのは1975(昭和50)年の4月のこと。前年の1974年(昭和49年)11月に公布された「運輸省令第45号」で、次のように記されていました。
第四十六条に次の一項を加える。
2 前項の規定により速度計の百キロメートル毎時を超える速度を示す部分にその旨を黄色又は赤色で表示しなければならない自動車には、次の基準に適合する速度警報装置を備えなければならない。一 当該自動車の速度計の指度が百キロメートル毎時を超えている場合に、その旨を運転者席の運転者にブザ(原文ママ)その他の装置により警報するものであること。
二 当該自動車の速度を調整する方法以外の方法によって、運転者席において作動を解除することができない構造であること。
これにより、道路運送車両の保安基準に「速度警報装置を設置すること」が加わり、あのキンコン音が鳴らない車は、車検に通らなくなったわけです。
この基準が改正されたのが、今から約30年前の1986(昭和61)年のことでした。この年の3月に交付し、即日施行された「運輸省令第3号」で、前述の項目が削除されます。必須項目ではなくなった後も、オプション装備として一部の車種に残りはしましたが、わざわざ選択するドライバーは少なく、徐々に姿を消していったようです。
今でもあの音を聞くには…?
「速度警告音」で動画を検索すると、古い車種の「キン、コン」の音色がたくさん見つかりますので、ご存じない方はぜひ一度検索を。最近では、それを再現するスマホアプリもあります。「DriveMate KingKong」(iOS・Android対応)は、GPSを利用して速度を計測し、設定した速度を超えるとスマホであの音を鳴らしてくれますよ。
「キン、コン」という警告音をBGMにすると、タイムスリップしたかのような、懐かしく感覚が味わえるかもしれませんね。