低燃費タイヤが、なぜ“エコ”なのか? その基本を解説!
- トリビア
- 2016.04.08
春本番を迎え、いよいよスタッドレスタイヤから夏タイヤへの衣替えの季節。このタイミングに買い換えようかな……と考えている人にオススメなのが低燃費タイヤ(エコタイヤ)です。その名の通り、燃費性能に優れ、かつ環境にも優しいタイヤで、近年はテレビCMやカー用品店で見かけることも多くなりました。
しかし、どうしてタイヤを履き替えるだけでエコを実現できるのでしょうか。今回はタイヤが燃費に与える影響と、低燃費タイヤによる燃費向上の目安をご紹介します。
タイヤの「転がり抵抗」がエネルギーロスを生む
走行する車は、常に進行方向と反対の方向にいくつかの抵抗を受けています。車体表面の“空気抵抗”や、加速時に慣性力によって生じる“加速抵抗”など、さまざまな抵抗がありますが、その中でもタイヤが受ける抵抗のことを「転がり抵抗」と呼びます。
路面摩擦や空気抵抗、タイヤ変形の3つの要素からなる転がり抵抗。中でもタイヤは鉄などの金属でできている鉄道車両の車輪に比べると変形しやすいので変形の影響を受けやすく、エネルギーロスが大きくなります。ゴムの性質上、変形が起こると熱に変換されるので余計にエネルギーを消費してしまうのです。
また、タイヤの空気圧も転がり抵抗に大きな影響を及ぼします。自転車のタイヤの空気が減っているところを想像してみてください。その状態でスピードを出そうとすると、ペダルが重たくて疲れてしまいますよね。空気圧が低いとタイヤの変形が大きくなるので、通常よりも多くのエネルギーが必要になる(疲れてしまう)のです。
転がり抵抗を減らすには?
車を走らせるのに余計なエネルギーを必要とするということは、当然燃費に良いわけがありません。そこで注目したいのが低燃費タイヤです。転がり抵抗を減らすための2つの要素「リブ型のトレッドパターン※1」と「低発熱ゴム配合」の開発に加え、優れた低転がり抵抗性能を発揮しつつも、雨の日にはしっかりとグリップ(ウェットグリップ)する、そんなハイパフォーマンスな低燃費タイヤを開発するべく、各社さまざまな工夫を凝らしています。たとえば、トーヨータイヤの低燃費タイヤ「NANOENERGY」シリーズでは、エネルギーロスを減らすために、サイドウォールにも発熱の少ない素材を使用しているものもあります。
また、タイヤの空気圧の自然低下は避けられません。たった1カ月で10~20kPaも低下してしまうというデータもあります。燃費だけでなく安全運転のためにも、ガソリン給油のついでのときなどに月1回程度の空気圧点検をオススメします。
※1 ブロックが少なく、直線またはジグザグの連続した溝をもつパターン。転がり抵抗が少ないだけでなく、操縦性や直進安定性が高い、排水性がよいなどの特長がある。
実際、エコタイヤに履き替えるとどのくらいエコになる?
それでは、タイヤをエコタイヤに履き替えるとどのくらいエコになるのでしょうか。日本自動車タイヤ協会(JATMA)のデータによると、一般市街地においてタイヤが実際の燃費に影響する目安は7~10%。これを10%とすると、エコタイヤによって転がり抵抗を20%減らした場合、燃費は約2%向上する計算になります。
一見、さほど大きな数字には見えませんが、ちりも積もれば……というやつです。燃費を上げるためだけにわざわざ買い換える必要はなさそうですが、ちょうど買い換えのタイミングということであればエコタイヤを選んでおいて損はなさそうですよ。ちなみに、今お使いの一般タイヤと低燃費タイヤを比較して、ガソリン代の差を計算する「燃費シミュレーション」もできます。低燃費タイヤに替えると、どれほどエコ効果があるか、ぜひチェックしてみてくださいね。
燃料シミュレーション:http://toyotires.jp/eco/
いわゆる低燃費車・エコカーでなくとも、タイヤの選び方とお手入れ次第で思わぬ燃費向上を期待できることができます。ぜひこのタイミングにタイヤの見直しをして、快適な春のドライブを楽しんでくださいね!