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踏切前で「窓開け」しないとNG?教習所で習う理由とは

踏切を通過する際は、直前で停止して窓を開けて安全確認をしてから進行する……これは自動車教習所で必ず習う行為ですが、卒業後も日常的に行っているドライバーはごくわずかかもしれません。それでは、踏切前で「窓開け」をしないと違反になってしまうのでしょうか。今回の記事では、踏切の正しい通過方法と安全運転のポイントについて詳しく解説します。

道路交通法に「窓開け」は明示されていない

結論からいえば、「踏切前での窓開け」は道路交通法上の義務ではありません。しかし、踏切通過時に守るべきルールはいくつか存在します。

一時停止と安全確認は義務付けられている

道路交通法第33条では、踏切通過時の規定として「踏切の直前での一時停止」と「安全確認」が義務付けられています。ただし、信号機の設置されている踏切で、信号機が青に点灯している場合は、直前で停止せずに信号に従って進行できます。また、遮断機が閉じようとしている踏切や、警報機が作動している踏切への立ち入りは禁止されています。

踏切前での「窓開け」を教習所で習う理由とは

窓開けを教習所で習う理由は、国家公安委員会が作成している「交通の方法に関する教則」に基づいています。同教則では、踏切事故の重大性を踏まえ、目と耳の両方を使った安全確認の重要性を説いています。

近年は、遮断機が閉じないまま列車が通過するトラブルが発生したというニュースを耳にすることも少なくありません。このことからも、機械に頼りすぎない、人間の感覚による確認は重要といえそうです。

卒検における踏切走行の手順

ここで、自動車学校の卒業検定での踏切通過手順をおさらいしておきましょう。一般的に行われている流れは以下の通りです。

  • 踏切に進入する前から徐々に減速を始め、停止線手前で完全停止します。
  • 左右の安全を目視で確認すると同時に、運転席の窓を少し開けて、列車の警笛や接近音が聞こえないことを確認します。
  • 警報機や信号機が作動していないことと、前方に十分なスペースがあることを確認したうえで、一定の速度を保って踏切を通過します。この際、踏切内での急な加減速は避けます。
  • 通過後は後続車に注意しながら徐々に速度を戻していきます。

踏切にまつわる違反と罰則

踏切は、鉄道と道路が交差する特に危険な場所であり、法律でも厳しい規制が設けられています。違反した場合にどのような罰則が科せられるのか、具体的に見ていきましょう。

踏切不停止等違反

まず、踏切前での一時停止を怠ると「踏切不停止等違反」(道路交通法第33条第1項)として違反点数2点が科せられます。反則金は車種によって異なり、普通車で9,000円、大型車で12,000円、二輪車で7,000円、原付車で6,000円となります。

遮断踏切立入り違反

また、遮断機や警報機の作動中に踏切内に進入すると「遮断踏切立入り違反」(道路交通法第33条第2項)となり、違反点数2点が科せられます。反則金は普通車で12,000円、大型車で15,000円、二輪車で9,000円、原付車で7,000円です。

なお、これらの違反はクルマだけでなく自転車などの軽車両も対象となっているのでご注意ください。

まとめ

踏切を横断している途中でもし遮断機が閉じてしまったら、すみやかに外へ脱出しましょう。遮断機の棒は押しても破損しないように設計されているので、クルマで押して脱出できます。また、万が一、脱輪やエンストなどのために踏切内で動けなくなってしまった場合には、すぐに車外に避難して警報機の非常ボタンを押します。ボタンがない場合は発煙筒で自車の存在を知らせましょう。

踏切での窓開けは法律上の義務ではありませんが、事故防止に役立つ手段です。特に地方では警報機や遮断機のない踏切も存在するため、自分の目と耳を最大限に活用した安全確認が不可欠となります。「急がば回れ」の精神で、安全確実な踏切通過を心がけてくださいね。