法定点検とは?車検との違いや点検内容を解説!
- トリビア
- 2024.05.29
車を安全に運転するためには定期的な点検と整備が欠かせません。しかし、法定点検は車検と混同されがちで、その内容や重要性について十分に理解されていないのが現状です。
今回はこの法定点検について、車検との違いや具体的な点検内容、そして点検を受けることのメリットなどを詳しく解説します。
目次
法定点検はドライバーに課された義務の一つ
車を使用する人は、車の点検・整備をして自動車を保安基準に適合するように維持する義務があります(道路運送車両法第47条)。まずは、法定点検の基本的な概要について見ていきましょう。
法定点検とは
法定点検とは、正式には「定期点検整備」と呼ばれ、道路運送車両法第48条で義務付けられている点検のことです。この法律では、自動車の使用者に対し、一定の期間ごとに国土交通省令で定める技術上の基準にしたがって自動車を点検することを求めています。
車検や日常点検との違い
法定点検は、車検や日常点検とは異なるものです。
車検は、一定期間ごとに国が自動車の安全・環境基準への適合性を最小限チェックするものであり、新車登録から初回は3年、以降は2年ごとに受ける義務があります。車検に合格したからといって、ほかの点検・整備を省略できるわけではありません。
また、日常点検も使用者の義務である点は同じですが、法定点検よりも簡単に実施できる内容になっています(液類の量、ブレーキペダルの踏みしろ、タイヤの状態チェックなど)。自家用車の場合は走行距離や車の状態を考慮しながら適切な時期に実施しましょう。
法定点検をしなくても罰則はない
法定点検は義務規定ですが、受けなかった場合の罰則はありません。(事業用車両には罰則あり)。しかし車検や日常点検ではカバーしきれない不具合の早期発見にもつながりますので、怠らないようにしましょう。
なお、定期点検整備を受けたことを証明する定期点検ステッカー(定期点検標章)は車に貼らなくても問題ありませんが、期限を過ぎたものを貼り続けていると保安基準違反となるのでくれぐれもご注意ください。
法定点検の時期や内容は?
では、法定点検は具体的にいつ、どのような内容で行うのでしょうか。
時期と点検項目
自家用車(普通乗用車・軽自動車)の場合、1年おきに受ける「12か月点検」と、2年おき(通常は車検と同時)に受ける「24か月点検」が義務化されています。点検項目の数は、12か月点検では27項目、24か月点検では12か月点検の項目を含む57項目が定められています。
なお、中小型トラック(自家用)やレンタカー、事業用車両など、車の種類や用途によっては3か月点検や6か月点検が義務付けられている場合があります。点検項目数もそれぞれ異なるので、必要に応じて確認しておきましょう。
点検内容
12か月点検では、外からは見られない車の状態を確認・整備します。パーツを分解したりテスターを使ったりしながら、車内からエンジンルーム、下まわり、足まわりまで総合的にチェックしていきます。
さらに24か月点検では、12か月点検の項目に加えてより細かい点検が求められます。例えば、パワーステアリング装置の点検では、12か月点検ではベルトの緩みと損傷のみですが、24か月点検ではオイル漏れ、オイル量、取り付けの緩みもチェック項目に加わります。
法定点検の重要性とメリットとは
最後に、法定点検を受けることの重要性とメリットについて見ていきましょう。
故障やトラブルを未然に防ぐ
法定点検を受けることで、日常点検や車検よりも詳細な点検・整備ができるので、突然の故障やトラブルの防止につながります。また、消耗部品の適切な交換時期を見極めるのにも役立ちます。
点検の有無で事故責任割合が変わることも
整備不良が原因の事故を起こした場合、法定点検を受けていたかどうかで、ドライバーの責任割合が変わる可能性があります。点検を受けずに整備不良による事故を起こした場合、重い罰則が科されることもあるので注意したいところです。
メーカーの保証の対象になる
法定点検を受けていたにもかかわらず点検項目の不具合や故障が起きた場合は、メーカー保証を受けられます。言い換えれば、メーカー保証は法定点検の実施を前提としているため、法定点検を受けていないとメーカー保証を受けられなくなる可能性があります。
中古売却時の査定価格に影響する
法定点検の実施記録は、「点検整備記録簿」に記載されます。中古車売却時にこの記録簿があれば、きちんと定期点検を受けてきた車だと評価され、査定価格にプラスの影響を与える可能性があります。
まとめ
法定点検はドライバーに課された重要な義務の一つです。故障やトラブルの未然防止だけでなく、事故時の責任軽減、メーカー保証の適用、中古車の査定アップなど、さまざまなメリットがあります。「点検整備記録簿」は確実に保管し、次回の点検時期も忘れずにチェックしておきましょう。
なお、法定点検はユーザーが自分で行うことも可能ですが、専門知識や専用工具が必要です。特に検査項目の多い24か月点検は、ディーラーや整備工場などの専門業者に依頼することをおすすめします。法定点検をプロに依頼した場合にかかる費用は、12か月点検なら1~2万円程度、24か月点検なら2~5万円程度が目安です。車種や業者によっても異なるため、詳しい金額については各社にお問い合わせください。