運転免許の「自主返納制度」は、加齢などにより運転に不安を感じる方や運転免許が不要になった方などが自主的に運転免許証を返納できる制度です。制度の存在自体は知っていても、手続きの方法や返納後の生活に不安を感じている方もいるかもしれません。
今回の記事では、免許返納の手続き方法や特典の具体例について詳しく解説します。
目次
免許返納をすると特典がもらえる
免許証を返納しても充実した暮らしを続けられるように、各地域では自主返納者を支援するさまざまな取り組みが行われています。一般社団法人全日本指定自動車教習所協会連合会が運営する「高齢運転者支援サイト」には、各都道府県で受けられる特典の情報がまとめられています。
各自治体の特典の内容の具体例
例えば東京都では以下のような特典があります。
- 巣鴨地蔵通り商店街での買い物で記念品プレゼント
- コニカミノルタプラネタリウム(サンシャインシティ/東京スカイツリータウン)の鑑賞料金20%割引
- 一部タクシー会社で乗車料金10%割引
また、大阪府では以下のような特典があります。
- 通天閣の一般展望料金(大人)100円割引
- 奈良交通・エヌシーバスの路線バス(一部対象外あり)の大人運賃が半額になる高齢者福祉割引ICカード「ゴールドパス」(6か月8,500円で販売)2回分無料
- 摂津市内在住65歳以上で申請された方を対象に所有者の引き取りがない放置自転車を無償譲渡
ここに挙げた特典はほんの一部です。具体的な内容はON THE ROADの過去記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください。
免許返納の手続きの流れ
返納手続きは、警察署や運転免許センターで行われます。また郵送や代理人による申請でも可能です。その手順を解説します。
手続きに必要な持ち物
手続きの際に必要なものは、「運転免許証」と「印鑑(自治体によっては不要)」と「運転免許取消・一部取消申請書」の主に3つです。運転免許取消・一部取消申請書は各免許センター・警察署に用意されているので、現地で記入しましょう。記入した申請書を免許証とともに提出すれば返納手続きは完了です。手数料はかかりません。
なお、免許証に記載された住所と現住所が異なる場合は、住民票の写しやマイナンバーカードなどの現住所がわかるものが別途必要です。また、家族などの代理人が申請する場合は委任状を用意する必要があります。委任状の様式や必要書類、条件などは地域によって異なりますので、お住まいの地域の警察署のWebサイトなどからご確認ください。
免許返納手続きを郵送で行う場合
また、一部の地域では郵送での返納手続きも行われています。基本的な手続きの流れは以下の通りです。
- 申請者本人が担当窓口に電話で申し込む
- 手続きに必要な申請書類が届く
- 申請書類に必要事項を記入し、運転免許証などの必要書類とともに返送する
- 提出した書類の内容に不備がなければ、手続き完了の電話連絡がくる(※この電話連絡の後に運転をすると無免許運転となります)
- 取消通知書(希望者には「運転経歴証明書」も同封)が届く
東京・大阪・神奈川・埼玉など、郵送での手続きに対応していない地域もあります。郵送での手続きを希望する場合は、あらかじめお住まいの地域の警察署のWebサイトを確認するか、警察署に対応の可否を問い合わせておきましょう。
免許証に代わる身分証「運転経歴証明書」
返納後、希望者に有料で交付されるのが「運転経歴証明書」です。運転免許証と同じように公的身分証明書として利用できるだけでなく、協賛店舗や施設で提示することで割引などのサービスを受けられます。
運転経歴証明書の有効期限は無期限だが、申請期限がある
一度交付された運転経歴証明書に有効期限はありませんが、交付申請は運転免許証の返納(失効)から5年以内に済ませる必要があります。返納と同じタイミングで、運転経歴証明書の交付申請も済ませておくと確実です。申請に必要なものは、「証明写真」と「交付手数料 1,100円」の主に2つです。
運転経歴証明書交付済シールとは
2020年からは、マイナンバーカードのケースに貼り付けて運転経歴証明書が交付済であることを表示する「運転経歴証明書交付済シール」の交付も始まりました。マイナンバーカードと一緒に提示すると、運転経歴証明書を持ち歩かなくても運転経歴証明書が交付済であることが証明できる(=特典を受けられる)ようになります。
運転経歴証明書をこれから申請する方は、申請の際に希望すれば同時に交付されます。すでに運転経歴証明書を持っているという方は、免許センターや警察署などの受付窓口で運転経歴証明書を提示すると無料で交付されます。
まとめ
今回ご紹介したように、免許返納の手続きは非常に簡単です。迷われている方は一度お住まいの地域で受けられるサービスを探してみると、返納後の生活をよりイメージしやすくなるかもしれません。この記事が、免許返納をためらっている方の後押しになれば幸いです。